家族のあり方を問う…水橋研二が映画「カゾクデッサン」に主演して感じたこと

俳優の水橋研二(45)が映画「カゾクデッサン」(3月21日公開)に主演している。同作は元ヤクザのバーテンダー剛太のもとに、元妻の息子が「自分の父親ではないか」と名乗り出たことから始まる、ある家族の物語。これが長編デビュー作となる今井文寛監督が「自分が本当に作りたい映画を作りたい」と自ら製作費を捻出。この熱い思いに、水橋を始め、「火口のふたり」でキネマ旬報ベスト・テン主演女優賞に輝いた瀧内公美、「さよなら渓谷」の大西信満ら実力派俳優が結集した。水橋と今井監督が同作について語り合った。

「カゾクデッサン」(C)「カゾクデッサン」製作委員会
「カゾクデッサン」(C)「カゾクデッサン」製作委員会

21日公開、今井文寛監督と対談インタビュー

 俳優の水橋研二(45)が映画「カゾクデッサン」(3月21日公開)に主演している。同作は元ヤクザのバーテンダー剛太のもとに、元妻の息子が「自分の父親ではないか」と名乗り出たことから始まる、ある家族の物語。これが長編デビュー作となる今井文寛監督が「自分が本当に作りたい映画を作りたい」と自ら製作費を捻出。この熱い思いに、水橋を始め、「火口のふたり」でキネマ旬報ベスト・テン主演女優賞に輝いた瀧内公美、「さよなら渓谷」の大西信満ら実力派俳優が結集した。水橋と今井監督が同作について語り合った。

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――出演の経緯を教えて下さい。

水橋研二「(『百円の恋』『お盆の弟』の)狩野善則プロデューサーからお話を頂き、今井監督との面接を受けました。元々、照明部で、自分でお金を集めてこの映画を撮りたいというわけです。すごいですよね?」

今井監督「脚本を書いている間に照明部で稼いだお金も貯まってきていたので、全部つぎ込みました。ここが人生最大の勝負時だと思いました。それでも足りないところは仲間がいろいろな形で補ってくれました。最終的な製作費は怖いので、まだ計算していません(笑)」

水橋「僕のデビュー作は『33 1/3r.p.m.(さんじゅうさんかいてん)』というインディーズ映画。監督(木澤雅博)は、高円寺にある玩具店『ゴジラや』の店主で、そのエネルギーがすごかったんです。思いが強い作品は、絶対いい方向に転がるだろうなと確信があったので、やりたいなと思ったんです」

――「カゾクデッサン」はどのようにして生まれたのですか。

今井監督「まずは僕が思う、“かっこいい人”を描きたいという願望がありました。乱暴だけど面倒見がよく、失敗しても笑って許してくれる、こういう人達が先輩にはたくさんいました。出世しようなんて気はさらさらなく、酒が大好きで、世間の尺度で言ったら“負け組”なのかもしれないけれど、かっこいい、人間くさい先輩たち。しかしそんな先輩たちも歳をとり、体を壊す人も出てきました。自分は先輩たちの良いところをうまく受け継いでいるのだろうか、という後ろめたさもあるのかもしれません。そんな先輩たちの姿をスクリーンに描きたいと思いました」

水橋「家族もの、家族を持つだろうという男の物語はやったことがなかったので、面白そうだなと思いました。直前に、死刑囚役で丸刈りにしていて、髪が少し伸びてきたタイミングだったんです。その感じがこの映画に合っているかなと思いました。それから少し太ってみたいと思いました。剛太は飲んだくれの元ヤクザ。頬がこけているよりも、生活にだらしない感じが出れば、と思いました。撮影まで1カ月くらいあったので、5キロくらい増やしました。そこから戻らなくなりましたけども(笑)」

――今井監督が水橋さんにオファーした理由を教えてください。

今井監督「剛太役は、普段のおだやかな顔と暴力的な時とのギャップが出るといいなと思っていました。実際、水橋さんにお会いして芝居をやっていただいたら、『剛太だ!』と思いました。助監督の小林さんに訊いたらやはり同じ意見。今思えばこの時すでにこれから撮る映画の手応えをつかんでいたのかもしれません」

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