新進気鋭“3人の監督”による異例の演出「イソップの思うツボ」が大変だったワケ

「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2019」が7月13日、埼玉・川口市のSKIPシティ映像ホールで開幕。2012年の同映画祭で顔を合わせた浅沼直也氏(34)、上田慎一郎氏(35)、中泉裕矢氏(39)の3人が監督した「イソップの思うツボ」(8月16日公開)がオープニング上映され、監督、出演者が顔を揃えた。

「イソップの思うツボ」の監督と共演者
「イソップの思うツボ」の監督と共演者

騙しあいのバトルロワイヤルが「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」でオープニング上映

「イソップの思うツボ」はカメだけが友達の内気な女子大生(石川瑠華)、大人気“タレント家族”の娘で、恋愛体質の女子大生(井桁弘恵)、“復讐代行屋”の娘(紅甘=ぐあま)が織りなす予測不能の騙しあいのバトルロワイヤル。前売り券は完売する人気となった。

軽トラからセンチュリー、バイクにバギー…大御所タレントの仰天愛車遍歴(JAF Mate Onlineへ)

 2012年の同映画祭で知りあったという3人。以降、上田氏は「テイク8」で2016年短編部門奨励賞、浅沼氏は「冬が燃えたら」で2017年短編部門最優秀作品賞、中泉監督は2018年オープニング作品「君がまた走り出すとき」のメガホンを取る大活躍を見せた。さらに、上田氏が監督し、中泉氏が助監督を務め、浅沼氏がスチールを担当した「カメラを止めるな!」は昨年の最大の話題作に。

 浅沼氏は「まさか、こういう日が来るとは思わなかった。2012年に出会った時は、中泉さんはとっつきにくいし、上田さんとは喫煙所でちょっとしゃべったくらい。今ではマブダチになったな」と言うと、上田監督は「(取材で)マブダチと言って、受けが良かったので、言っているんです。中泉さんはぱっと見の通り、強面。2012年は仲良くなかった。(それぞれが監督した)オムニバス『4/猫 ねこぶんのよん』の時に一緒に宣伝活動をした時にちょっと仲良くなって、『また、みんなで映画をやりたいね』と居酒屋で話したのがきっかけです」と明かした。

浅沼直也監督、上田慎一郎監督、中泉裕矢監督(左から)
浅沼直也監督、上田慎一郎監督、中泉裕矢監督(左から)

 司会者から「誰が言い出したんですか?」と問われると、浅沼氏は「多分、僕が言いました」。上田監督は「3人で同時に言ったことにしようといったじゃん」とツッコミ。映画化までの苦労については「2016年に本格始動して、2年間、固まらなかった」(上田氏)、「1年経って、同じ話をしたこともあった」(中泉氏)と紆余曲折があったよう。上田氏が「締切がなければ、完成しなかった」と振り返ると、浅沼監督は「(準備期間は)好きな作品を言い合い、互いの映画を観て、濃厚な時間を過ごすことができた。長い夏休みのようなもので、8月31日に出来上がった」と話した。

 3人の監督による同時演出は異例の製作方法。オーディションでヒロインを勝ち取った3人も大いに戸惑ったようだ。「シーンごとに監督が変わった。分からないことを、どなたに聞けばいいのか、それがまず分からなかった」(井桁)、「あるシーンで3人とも熱量が合わさったことがあり、圧倒された。すごい経験したな、と思った」(石川)、「よく分からなかったですね。監督が3人いるんですけども、もはや1人もいない、ということも……。いや、悪い意味じゃないです。身近にいてくれたので……まだ、よく分かっていないです」(紅甘)。

次のページへ (2/2)
1 2
あなたの“気になる”を教えてください