【花田優一コラム】花田優一が危惧するマスクによる“弊害” 若者は威風堂々と生きていく気概を持てるのか

靴職人の花田優一の連載【花田優一コラム】。第65代横綱・貴乃花と元フジテレビアナウンサー・河野景子の長男で、靴職人の活動を中心に、画家としての活動、タレント業、歌手活動などマルチに活躍する優一。最新のニュースや世相をどう感じているのか。優一の視点で伝えていく。第8回は、マスクについて考える。

花田優一【写真:荒川祐史】
花田優一【写真:荒川祐史】

第8回はマスク 世代間で生まれるギャップとその理由

 靴職人の花田優一の連載【花田優一コラム】。第65代横綱・貴乃花と元フジテレビアナウンサー・河野景子の長男で、靴職人の活動を中心に、画家としての活動、タレント業、歌手活動などマルチに活躍する優一。最新のニュースや世相をどう感じているのか。優一の視点で伝えていく。第8回は、マスクについて考える。

「屋外・会話なしならマスク不要」という政府の新たな見解が記事になり、「やっとか」という気持ちになるのだが、日本人の勤勉さなのか、世間体で生きるからなのか、マスクを取って歩く人はまだほとんど見かけない。

 週刊誌の見出しにも、「芸能人のノーマスクデート」などと、何をあおりたいのかわからないような記事を見かけるのは、そろそろ、飽き飽きとするものである。

 学生の頃は特に、「最近の若者は…」などと大人に言われると、「大人達が作り上げたのが、この若者達だろう」と無性に腹が立ったのを思い出す。

 僕の世代はちょうど、「ゆとり世代」と「脱ゆとり世代」の分岐点にいるような世代であり、学校の教育方針も、年々と変わっていたように思う。学生が携帯を持ち始める初期のような世代でもあり、交換日記や掲示板でもなく、ガラケーを開いて「センター問い合わせ」というボタンを押すと、何故か、届き忘れていたメールが受信ボックスに入っていたものだ。

 中学生になった頃には、今の世代が携帯でYouTubeを見るように、僕たちはワンセグを使って携帯でテレビを見た。

 僕たちの親は、大人になって、やっとポケベルを持ったような世代だったが故に、親子間において携帯電話に対しての価値観は、今でも違うように思う。

 もし今僕に子供がいたとしたら、その親子間には、どんな理解し難い相違点があるのだろうと考えてみることにした。

 コロナ禍による運動会の中止、修学旅行に行けずに終わった学生生活、それもまた思い出を失うという悲しい現実ではあるが、僕と学生の価値観において、最も違う点を作り出すものは「マスク」ではないかと思う。理由は3点ある。

 まず一つ目は、教育において。

 僕が学生の頃は、風邪でマスクをしていたとしても、「ごあいさつする時は必ずマスクを外しなさい」と教えられたものである。今のご時世であっても、個人的には必ずマスクは外すべきだと思うが、数年間の子供時代をマスクと共に過ごした子供は、「どんな時でもマスクをつけておきなさい」と教えらえたのだから、マスクがない時代に戻った時に、どうなってしまうのだろう、と考えるのだ。

 二つ目は、人格。

 僕も経験は山ほどあるが、嫌な人間に会うときや、社会に出てから謝罪をするとき、できることならマスクは外したくないものである。顔を隠して済ませたいことなど、生きていれば嫌気がさすほどあるもので、それでも隠れず前に進むことに意味があると思うのだ。

 インターネットや、マスク、匿名性が根深く浸透してしまった現代社会において、果たして、威風堂々と生きていく気概のようなものを理解できる若者は生まれてくるのだろうかと、恐怖さえ感じてしまうのである。

 三つ目は、対外性。

 これにはいくつかの要因があるが、まずは表情。大人であっても、マスクをしていると、口角が落ちてきたり、表情筋は衰えていく。それを子供時代に経験している子供たちを、どうやって表情豊かな人間にしていくのか、大人達は考えなくてはならない。

 そして、声である。僕は、はっきりと腹の底から声を出すということを、マスクをしている日々で忘れてしまったように感じるのだ。それは、黙食、などという文化も相まって、仕方がないことだったのはわかる。しかし、目を見てはっきりと喋ることは、精神の構築においても非常に大切なことなのだから、大きな声ではっきりと叫ぶ子供時代は、芯のある大人になるためにも、とても大切なことだと思うのだ。

 マスクのある数年間を過ごした子供達は、僕らには違う新たな価値観や、人の見え方を持っているだろう。それは、僕たちが学んでいかなくてはならないことであり、自分達の貴重な学生生活を、コロナによって異質なものに変えられた彼らの声を、尊重しなくてはならない。

 その一方で、僕らは現状を当たり前とは思わず、自らの人生をひもとき、今の子供達が知らないことを伝えていくのが、責任なのではないだろうか。

 日本という国は、必ず衰退していく、それを食い止めるために、一人一人が気付いて行動していかなくてはならないのだ。

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