【愛車拝見】17歳の吉永小百合が鮮烈な姿 時代先取り、日本初「女性仕様車」の色あせない魅力

女性のドライバー向けに、細部までこだわった名車が昭和に作られていた。1961年に発売された日産自動車のダットサン・ブルーバード ファンシーDXだ。車内には一輪挿しやハイヒール立て、カーテンなど、女性のための36個の特別な装備がついており、当時は、日産のカレンダーにテニスウエア姿の17歳の吉永小百合との2ショットが掲載された。この名車をほぼ完全な形で2台所有している掛川正俊さん、千鶴子さん夫妻に日本初の女性仕様車の魅力を聞いた。

1963年式ブルーバード ファンシーDX【写真:ENCOUNT編集部】
1963年式ブルーバード ファンシーDX【写真:ENCOUNT編集部】

日本初の女性仕様車 おしゃれで華やかな車内

 女性のドライバー向けに、細部までこだわった名車が昭和に作られていた。1961年に発売された日産自動車のダットサン・ブルーバード ファンシーDXだ。車内には一輪挿しやハイヒール立て、カーテンなど、女性のための36個の特別な装備がついており、当時は、日産のカレンダーにテニスウエア姿の17歳の吉永小百合との2ショットが掲載された。この名車をほぼ完全な形で2台所有している掛川正俊さん、千鶴子さん夫妻に日本初の女性仕様車の魅力を聞いた。(取材・文=水沼一夫)

 ファンシーDXには、ボディーカラーにレモンクリーム系とピンク系の2色があり、正俊さんは両方を所有している。レモンクリーム系は1963年式で、10年ほど前に購入したものだ。

 約60年前に作られたとは思えないほど、おしゃれで、内装は凝っている。

 女性専用に作られたユニークな車だ。ハイヒールスタンドにハンドバック置き、傘立てや化粧ポーチなど、特別な装備は見ているだけ楽しくなる。令和になっても、ほぼオリジナルのまま、小物がここまでそろっているのはかなり珍しいという。

「なかなか昔にしてはおしゃれですよね。今は助手席にミラーがついているのは当たり前ですけど、その当時はなかったみたい。ウインカーを出すとメロディーが鳴る。それが一番好きです。カーテンとかいろいろかわいらしいし、車の色も淡くていいですよね。花瓶にお花を挿していると華やかです」と千鶴子さんは気に入っている。

 まるっこいフォルムもキュート。3速ギアのマニュアル車で「意外と慣れると乗りやすいです」と、走り心地も好印象だ。

「私は車はさほど興味はないんですけど、主人が昔から好きで、愛着がありました。2人で一緒に乗ったりします。値段ですか? 知らないですね。ピンクも全部、主人が自分で仕上げて、車検を通してから持ってくるんです」。車を通じてうらやましいほどの夫婦愛が伝わってくる。

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