相方に秘密にしていた「鉄道好き」 ダーリンハニー吉川を開花させたタモリの番組

お笑いコンビ、ダーリンハニーの吉川正洋がMCを務める旅番組「新・鉄道ひとり旅」(スカパー!『鉄道チャンネル』 )が5月7日放送分で、吉川の通算出演回数が200回を迎える。足が向くままに向かう旅を吉川は“行き当たりばっ旅”と命名。その始まりは、小1の時にさかのぼるという。

人気鉄道番組でMCを務める吉川正洋さん【写真:ENCOUNT編集部】
人気鉄道番組でMCを務める吉川正洋さん【写真:ENCOUNT編集部】

MCを務める鉄道番組、出演200回を振り返る

 お笑いコンビ、ダーリンハニーの吉川正洋がMCを務める旅番組「新・鉄道ひとり旅」(スカパー!『鉄道チャンネル』 )が5月7日放送分で、吉川の通算出演回数が200回を迎える。足が向くままに向かう旅を吉川は“行き当たりばっ旅”と命名。その始まりは、小1の時にさかのぼるという。(取材・文・撮影=西村綾乃)

 吉川が、鉄道に目覚めたのは2歳の時だった。

「(小田急線の)成城学園前駅と喜多見駅の間に橋があるのですが、そこからロマンスカーを眺めることが好きでした。2歳の時です。鉄道好きな親せきのお兄さんが連れて行ってくれたのですが、真っ赤な列車の色、音は衝撃的でした。特に好きだったのは3000形。初めて乗った時は泣きました」

 小学生になると、一人で列車の旅をするようになった。

「小1からは、学校が休みのたびに電車に乗りに行っていました。最初は『いろんな終点に行きたい』と東京の自宅から、東西線の西船橋駅とか目蒲線の蒲田とか。お小遣いと相談しながらあちこち行きました。路線図を眺めていると、『この街には何があるんだろう』と好奇心が湧いてきてワクワクしましたね。親には『かわいい子には旅をさせよ』じゃないですけど、止められることはありませんでした。今考えたらありがたいですよね」

 6歳の時に始まっていた「ひとり旅」。ただただ車窓から町を眺めることが好きだったという。

「夏休みに入った時は、(鉄道会社が企画した)スタンプラリーをしたりもしました。列車に乗るのが楽しくて、ひとりで箱根湯本まで行ったこともありました。急行だったので往復で4時間ぐらいかかったと思います。駅の脇に屋台のたこ焼き屋さんがあって買って食べたのですがそれがとにかく美味しかった。僕の中では箱根といえばたこ焼きです」

 今では鉄道番組への出演や雑誌にコラムを寄せているが、20代半ばまでは「鉄道好き」を隠していたそう。

「『鉄道が好き』というと、まだオタク、暗いというイメージが強くて、なかなかみんなには言えなかったですね。列車に乗りに行くのは休みの日でしたし、完全にその日は一人で活動していたので、家族以外は誰にも知られていませんでした。相方にも伝えていなかったのですが、ふと、『鉄道オタクのネタでも作ってみる?』ということになり、僕が東横線の駅名を早口でまくし立ててみたら『何それ、面白いじゃん!』となり、鉄道ネタを作ったんです。そのネタで『タモリ倶楽部』のオーディションを受けたら合格しまして、タモリ電車クラブに入部できました。そのあたりからですかね、ちゃんと鉄道好きを言えるようになったのは」

「鉄道好き」を口外したことで、オファーが増え、自身の名も全国区になった。そして、旅番組「新・鉄道ひとり旅」は出演200回を越えた。事前に何も決めないという『行き当たりばっ旅』には、奇跡の回がいくつもある。

「山陰本線を旅した時に、難読駅として知られる『特牛(こっとい)』で降りたんです。そのホームで『吉川さんですか?』と中国から来たという鉄道ファンのカップルに声をかけていただいたのですが、なんと『鉄道ひとり旅を見ています』と言われたんです。とにかく驚きました。お二人は『角島(つのしま)に行きたい』と言うので、一緒にバスに乗って角島大橋を渡って、砂浜を案内したり、おふたりだけの時間を作ったりしました。急にコーディネーターみたいな感じになっちゃって、楽しかったですね。

 伯備線編ではダイヤが乱れていたことで普段会えない場所で『サンライズ出雲』に会えたり、新見駅では年に一度しか行われない奇祭『土下座まつり』の大名行列も見ることができました。IGRいわて銀河鉄道編では美味しそうな瓶のリンゴジュースを買って見晴らし台で飲もうと勇んで登ったら、思いっきり栓抜きタイプのフタがついていて、結局、開けられず。見晴らし台で飲みたかったのに……。好摩駅での出来事だったので【好摩リンゴジュース事件】と呼んでいます。そんな “逆ミラクル”もありました(笑)」

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