志茂田景樹、奇抜ファッションに当時は罵詈雑言「コップ酒を浴びせられた」ことも

81歳の直木賞作家・志茂田景樹さん。9日にエッセー本「9割は無駄。」(あさ出版)が発売された。ツイッターのフォロワー数が40万人を超える志茂田さんは、若者の人生相談にものっている。エッセーの中にも「人生に不安を抱え立ち止まっている人」に向けて背中を押す言葉が並ぶ。現代社会での人間関係のコツや、今後挑戦してみたいことを聞いた。

エッセイ本「9割は無駄。」を発売した志茂田景樹
エッセイ本「9割は無駄。」を発売した志茂田景樹

志茂田景樹インタビュー後編、エッセー本「9割は無駄。」発売

 81歳の直木賞作家・志茂田景樹さん。9日にエッセー本「9割は無駄。」(あさ出版)が発売された。ツイッターのフォロワー数が40万人を超える志茂田さんは、若者の人生相談にものっている。エッセーの中にも「人生に不安を抱え立ち止まっている人」に向けて背中を押す言葉が並ぶ。現代社会での人間関係のコツや、今後挑戦してみたいことを聞いた。(取材・構成=コティマム)

「9割は無駄。」では、人付き合いや人間関係にも役立つ言葉が書かれている。「自分の評価は辛(から)くつけろ。他人の評価は甘くつけろ。それでやっと公平な評価になる」「その人がどうしようもなくつらいときに、『みんなそうだぜ』って免罪符なんか出すなよ。なお、つらくさせるだけだぜ」。どれもハッとさせられる言葉だ。

――人と関わるうえで意識した方がいいことはありますか。特に今はコロナ禍でオンラインの付き合いも多いですが、人間関係で苦しくならないためにはどうしたらいいでしょうか?

「相手の周りを、とてもよく観察しなきゃいけないと思います。ひとりひとりを観察すると、『この人はこういう考えでこういう思いで、こういう生き方をしているんだな』と、『だからこういう行動を今とったんだな』と、なんとなく察することができるようになります。相手と比べるんじゃなくて、相手の身の回りから自分自身の人生の養分をとっていくように考えたらいい。そうやって周囲を交えながら考えるだけで、とても学ぶことが多い」

――相手をよく観察し、相手から学ぶと。

「相手の年齢、職業に関係なく、そういう気持ちをコロナ禍でも収束後も大切にしなきゃいけない。このコロナ禍というのは、終わってもコロナ禍以前に戻るわけじゃない。コロナ禍の中で残ったものの中から“いいもの”はコロナ以降も続いていくけれど、(そうでないものは)逆に新陳代謝となって捨て去られる。ようするに元には戻らない。新しい世の中が始まる。だから価値観も個人の考え方もいっぱい変わってきて多様になると思います」

――価値観も考え方も多様になる新しい世界ですか。

「選択肢は意外と広がるんだと思います。特に若い人にとっては、ある意味コロナ禍以降は夢を描ける時代になるんじゃないかなと。僕は終戦を5歳で迎えて、当時はなんにもなかった。周りを見渡してもなんにもない。だからこそ夢を描けた。コロナ禍の中で廃墟になったものは、(当時の)地平に似ていると思う。その地平線上に、きっと新しい夢を描けるんじゃないかと思う。特に若い人たちは。コロナ禍以降のことを思い描きながらこの世の中を乗り越えていってほしい」

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