ひとり親の7割以上が養育費もらえず 「連絡つかない」「怖くて言えない」事情も

ひとり親家庭のためのフードバンク「グッドごはん」をする運営する認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンが、主に離婚によるひとり親家庭の養育費受け取りの実態調査を実施。さまざまな理由により、多くのひとり親家庭が養育費をきちんと受け取ることができず、また、その状況を変えることが難しい現実が浮き彫りとなった。

養育費を受け取れていないひとり親家庭は7割以上に上る
養育費を受け取れていないひとり親家庭は7割以上に上る

関東1都3県の494人および大阪の388人、計882人のひとり親を対象に調査

 ひとり親家庭のためのフードバンク「グッドごはん」をする運営する認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンが、主に離婚によるひとり親家庭の養育費受け取りの実態調査を実施。さまざまな理由により、多くのひとり親家庭が養育費をきちんと受け取ることができず、また、その状況を変えることが難しい現実が浮き彫りとなった。

「2019年国民生活基礎調査」によると、ひとり親家庭の48.3%(新基準)が相対的貧困の状態と言われている。ひとり親が経済的に困窮しがちな要因として、子どもがいる女性の非正規雇用の多さや就労の難しさによる低収入があげられる。一部では公的な手当てや元配偶者の養育費など一定の収入があるという認識もあるが、厚生労働省の「平成28年全国ひとり親世帯等調査」によると、養育費を継続して受け取っている母子世帯は24%ほどという実情が明らかとなっている。

 今回の調査は、ひとり親家庭のフードバンク「グッドごはん」利用者で、18歳未満の子どもを養育し所得が限度額未満かつ生活保護を受けていないひとり親家庭等に交付される医療費助成制度の医療証「ひとり親家庭等医療費受給者証」を持つ関東1都3県の494人および大阪の388人、計882人のひとり親を対象に実施した。

 ひとり親になった経緯については、離婚が8割以上を占めるものの、未婚・非婚も約1割、その他さまざまな事情を持つ人がいることが分かった。扶養している子どもの人数は、東京・大阪ともに1人が約半数と最も多く、大阪では若干多子世帯が多い傾向が明らかに。養育費受け渡しの取り決めについては、東京・大阪ともに「取り決めはしていない」と回答しているひとり親が4割以上にのぼった一方、公正証書や家庭裁判所を介するなど強制執行可能な方法で取り決めをした人は東京で17%、大阪では12%に留まっている。

「養育費の取り決めをした」と回答した人を対象に、具体的な取り決め金額から子ども一人当たりの金額を換算したところ、「月々2万円~3万円台」が全体の5~6割を占める結果に。最高裁判所が発表している「養育費算定表」によると、「14歳以下の子ども一人/権利者の年収200万円/義務者の年収500万円」の場合、養育費の目安は4~6万円となっており、第3者を介さず本人同士の口約束などで取り決めた場合などでは、相場よりも低額になってしまう可能性が考えられる。

 また、実際の受け取り状況については、「毎月受け取っている」と回答した人は東京19%、大阪13%で、「今までに何度か貰えないことがあった」「毎月貰っているが減額されることがある」と合わせると、養育費を継続して受け取っている母子世帯は厚労省調査の24%と近い結果に。一方、「一回も貰えていない」「数回貰った(現在は貰えていない)」と回答したひとり親は、合わせて東京70%、大阪74%にものぼるなど、実に7割以上のひとり親家庭が養育費を受け取ることができていない現状が明らかになった。

 さらに、実際に受け取っている養育費の金額(子どもが複数いる場合は合計額)を調査すると、1万円~3万円が最も多く、1万円以下という回答も少なからずあるという結果に。取り決め金額の調査と比較すると、取り決めた金額より実際に支払われる金額が低くなっていることもうかがえる。

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