「作り込まれたネタは作らない」 M-1最年長ファイナリスト錦鯉が貫くネタ作りのポリシー

昨年の「M-1グランプリ2020」で、49歳と42歳のコンビで“史上最年長のファイナリスト”として注目を浴びた錦鯉。今年の「M-1グランプリ2021」も予選を突破して決勝(19日、午後6時34分、テレビ朝日系)進出、史上最年長のチャンピオンを射程に捉える。今年、初の自叙伝「くすぶり中年の逆襲」を出版、50歳の節目を迎えた長谷川雅紀と相方の渡辺隆に、ネタ作りのポリシーと“笑いの世代論”について聞いた。

初の自叙伝を出版しインタビューに応じた錦鯉【写真:山口比佐夫】
初の自叙伝を出版しインタビューに応じた錦鯉【写真:山口比佐夫】

「例えるなら読み終えた漫画を何度も読み直すような感じというか…」

 昨年の「M-1グランプリ2020」で、49歳と42歳のコンビで“史上最年長のファイナリスト”として注目を浴びた錦鯉。今年の「M-1グランプリ2021」も予選を突破して決勝(19日、午後6時34分、テレビ朝日系)進出、史上最年長のチャンピオンを射程に捉える。今年、初の自叙伝「くすぶり中年の逆襲」を出版、50歳の節目を迎えた長谷川雅紀と相方の渡辺隆に、ネタ作りのポリシーと“笑いの世代論”について聞いた。(取材・文=佐藤佑輔)

――2年連続となるM-1ファイナル進出、昨年との違いは。

長谷川「去年は何もかも分からないでその場にいた。今年はまだ周りが見えてたけど、追う立場とか追われる立場というのはよく分からない。そこまでの余裕はまだないですね」

渡辺「去年の感情を忘れちゃったんですよね。今年の方がうれしかったんじゃないかな。あとはもうホッとしましたね。去年呼ばれたときは実感がなくて。今年は直でうれしさが込み上げてきた感じでしたね」

――M-1では新鮮味がアドバンテージとなる部分もあるが、ブレーク後に挑む心境は。

長谷川「これがですね、去年史上最年長で決勝進出して、今年も史上最年長での決勝。たった1年で最年長記録を更新したんですよ。これはもう自分との戦いですね」

渡辺「そりゃ、雅紀さん1人でやってて誰も参戦してない記録だからね(笑)」

長谷川「新鮮さというけど、僕らは特にネタバレというネタバレもないようなネタ。知っていただいた後の方がより見やすいというのもあるかもしれない。確かに、最初のインパクトで初決勝初優勝という勢いもあるとは思うけど、それがどっちに転ぶかは分からないですよね」

――ネタバレのないネタとは。

渡辺「なんていうか、僕らのネタは伏線が隠してあるようなギミックのあるネタじゃないんですよ。ただただバカなことをやってるだけで、例えるなら読み終えた漫画を何度も読み直すような感じというか。結末が分かってても楽しめるようなネタをやっている」

長谷川「芸人によっては、初めて見たときのインパクトを重視して、大会前には公の場で勝負ネタを見せないという戦略もある。僕らのネタは、隆が言うように伏線とかどんでん返しのような仕掛けがあるわけでもないので。それよりもその場のノリの方を大事にしてますね」

渡辺「最初はちゃんと台本を作ってネタを書いてたけど、(ハリウッド)ザコシショウから『雅紀さんはバカなんだから、バカを全面に押し出していけ!』ってアドバイスされて、そこからですかね。バカがおもしろいってわりと普遍的。僕らは周りを『おおー』ってうならせるような作り込まれたネタは作らないですね」

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