カンヌのようになれたはずが…第2回熱海国際が“もったいない映画祭”となったワケ
熱海市と運営会社が第1回の負債をめぐって対立し、日本映画祭史上稀にみるドタバタ劇となった『第2回熱海国際映画祭』(6月28日~7月1日)。その1、2日目に行ってきました。これまで世界三大映画祭を始め、国内の映画祭にも足を運んできた筆者ですが、一言でいうと、“もったいない映画祭”というのが印象です。その理由とは……。
日本映画祭史上稀にみるドタバタ劇…負債をめぐって熱海市と運営会社が対立
熱海市と運営会社が第1回の負債をめぐって対立し、日本映画祭史上稀にみるドタバタ劇となった『第2回熱海国際映画祭』(6月28日~7月1日)。その1、2日目に行ってきました。これまで世界三大映画祭を始め、国内の映画祭にも足を運んできた筆者ですが、一言でいうと、“もったいない映画祭”というのが印象です。その理由とは……。
クエンティン・タランティーノ監督が『パルプ・フィクション』でパルム・ドールを受賞した1994年のカンヌ国際映画祭。これが初めてのカンヌでした。ニース空港から車移動。地中海沿いを走ると、真っ青な海が広がります。美しい。でも、どこかに似ているな。そうだ、熱海じゃないか。美しい海岸線、建ち並ぶホテル……。以来、なぜ熱海で映画祭をやらないのか? ずっと思っていました。
そんな中、飛び込んできたのは、熱海国際映画祭開催のニュースでした。日本には、京都、尾道、夕張など数多くの“映画の街”というのがあるのですが、熱海もその一つといっていいでしょう。小津安二郎監督の『東京物語』(1953年)、カンヌ国際映画祭コンペティション部門監督賞を受賞した台湾の巨匠エドワード・ヤン監督の『ヤンヤン 夏の思い出』(2000年)、高畑勲監督のアニメ『おもひでぽろぽろ』(1991年)など熱海が舞台の映画は数知れません。
熱海が舞台の映画『東京物語』『ヤンヤン 夏の思い出』『おもひでぽろぽろ』
海、温泉、観光スポットなどを有する熱海は東京駅から新幹線で約46分とアクセス至便。熱海国際映画祭はきっと素晴らしいものになるに違いない。ところが、第1回の開催中から早くも悪評が聞こえてきました。「映画祭の告知が足りておらず、会場はガラガラ」「ゲストへのホスピタリティがよくない」といった内容。しかし、第1回はいろいろと不慣れな点もあるはず。少しは目をつむってあげるところもあるんじゃないか、と思いはしました。しかし、その後、第1回大会は収支報告を遥かに超える約1465万円の大赤字、グランプリの賞金が未払いだった……などが開催1カ月前の5月に発覚……。
さらには、熱海市と運営会社がこの負債をめぐって対立。市は独自での映画祭を目指すとしましたが、結局、新たにコンペ作品を集める時間はないとして、開催を断念。一方の運営会社は新たに別会場を探し、独自で映画祭を開催することを決め、今回に至ったわけです。