話題の“段ボール製”美少女マスク 逗子のアート職人のこだわりが凄かった

柔らかく風になびく前髪に、大きな瞳。まるでアニメの中から飛び出てきたような美少女だが、よく見ると肌の質感がどこかおかしい……。幼い頃、段ボールを被って“ロボットごっこ”をした経験のある人でも、まさかこの美少女が段ボールでできているとは思わないだろう。神奈川県逗子市のアートギャラリー「カルティオ」で、着たまま動けるパワードスーツや人が乗れるバイクなど、数々の段ボールアートを手掛ける山口豊さんを訪ねた。

神奈川県逗子市のアートギャラリー「カルティオ」で取材に応じた山口豊さん【写真:ENCOUNT編集部】
神奈川県逗子市のアートギャラリー「カルティオ」で取材に応じた山口豊さん【写真:ENCOUNT編集部】

着たまま動けるスーツや人が乗れるバイクなど、数々の段ボールアートを手掛ける

 柔らかく風になびく前髪に、大きな瞳。まるでアニメの中から飛び出てきたような美少女だが、よく見ると肌の質感がどこかおかしい……。幼い頃、段ボールを被って“ロボットごっこ”をした経験のある人でも、まさかこの美少女が段ボールでできているとは思わないだろう。神奈川県逗子市のアートギャラリー「カルティオ」で、着たまま動けるパワードスーツや人が乗れるバイクなど、数々の段ボールアートを手掛ける山口豊さんを訪ねた。(取材・文=佐藤佑輔)

 子どものころから手先が器用で、絵を描くことやプラモデルの製作が趣味だったという山口さんが、段ボールアートに目覚めたのは2年前。勤務先のギャラリーをPRしようと、インスタグラムでよく見る「天使の羽」を段ボールで自作したことがきっかけだ。

「インスタ映えする壁の前で写真を撮るのが流行っていたでしょう。あんな感じのフォトスポットを作ろうと思ったが、壁に絵を描けるスペースがない。それなら実際に作ってしまおうと。それなりの大きさで、軽くて丈夫で、安価で調達できるものと考えたら段ボールだなと」

 レンタルスペースとしても営業するギャラリーはその後、コロナ禍で予約キャンセルが相次ぎ、メインの販売商品であるバリ島グッズも海外からの仕入れが困難な状況に。緊急事態宣言で店舗の営業自体ができないなか、空いた時間でギャラリーの展示スペースを埋めようと、この1年半で20点あまりの段ボール作品を手掛けてきた。

「1日で作れるものから2か月くらいかかるものまで、製作期間はまちまちです。商店街でもらってきた段ボールで作るので、予算はほぼ0円。作りながら付け足したり調整したりしていくので、設計図はありません。完成すると、自分が思ってもみなかったものになることもあります」

次のページへ (2/4) 特に思い入れがあるという、自身の頭の形に合わせて作った美少女マスク
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