「帰ってきたレインメーカー」オカダ・カズチカはいかにして“最強”を証明するのか

「レインメーカー」オカダ・カズチカの逆襲が始まった。秋でも真夏でも激闘で日本列島を熱くさせた新日本プロレスのG1クライマックス。31回目の今年は、決勝戦で史上初のV3を目指した飯伏幸太を下したオカダが、7年ぶり3度目の優勝を飾った。

G1チャンピオンのトロフィーと優勝旗を手にしたオカダ・カズチカ【写真:柴田惣一】
G1チャンピオンのトロフィーと優勝旗を手にしたオカダ・カズチカ【写真:柴田惣一】

G1クライマックスで7年ぶり3度目優勝、オカダの目に映る景色とは

「レインメーカー」オカダ・カズチカの逆襲が始まった。秋でも真夏でも激闘で日本列島を熱くさせた新日本プロレスのG1クライマックス。31回目の今年は、決勝戦で史上初のV3を目指した飯伏幸太を下したオカダが、7年ぶり3度目の優勝を飾った。

 飯伏の負傷によるレフェリーストップ勝ちと、オカダ本人が言うようにいささか「不完全燃焼」に終わったが、20選手が出場し1か月に渡って展開されたサバイバルウォーを勝ち残った価値は微塵(みじん)も揺るがない。

 胸を張るオカダの佇まいは、新日本プロレスだけでなく日本プロレス界のトップランナーとしての誇りと自負、自覚で神々しいほどだ。

 2020年1・5東京ドーム大会のIWGPヘビー級王座、同インターコンチネンタル王座のダブル選手権に敗れてIWGPヘビー級王座を失って以降、しばらくベルトからは遠ざかっている。

 2年弱、丸腰になると、どうしてもスランプ説が浮上してくる。群雄割拠の新日マットにあって、それだけオカダは「常勝」のイメージが強いのだ。

 この間にオカダが愛するIWGPヘビー級王座は同インターコンチネンタル王座と統一され、今年3月、IWGP世界ヘビー級王座が誕生している。

 オカダはIWGPヘビー級王座に5回君臨。最多連続防衛回数、最多通算防衛回数、最長保持期間…多くの歴代記録を保持しており、愛着が強い。インターコンチネンタル王座との統一、IWGP世界ヘビー級王座には否定的だった。

 IWGP世界ヘビー級王座戦線をオカダは微妙な気持ちで眺めていたのではないか。同王座誕生を推進し、初代王者となった飯伏はV1戦でウィル・オスプレイに敗れ、一度も防衛することなく王座転落。2代王者オスプレイはV1こそ果たしたが、王座君臨1か月半にして首の負傷を理由に英国に帰国。王座も返上している。

 3代王者・鷹木信悟はIWGP世界王者としてG1に参戦したもののAブロックを突破できなかった。

 従来、G1覇者は翌年の1・4東京ドーム大会でIWGPヘビー級王者に挑戦する「権利書」を獲得してきた。ところが、オカダは「挑戦」を拒否。「G1チャンピオンの僕が挑戦ですか?」とぶち上げた。そして権利書の代わりに、封印されたIWGPヘビー級王座のベルトを飯伏との再戦への証しとして保持したいと主張した。IWGP世界ヘビー級王座への複雑な思いと飯伏の無念を思いやっての発言だろう。

次のページへ (2/3) 9年前を思い出す、オカダの快進撃
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