自然災害や台風に便乗した損害保険トラブル急増 「無料で直せる」騙る悪徳業者の手口

 近年、多くの自然災害にさらされている日本列島。今夏は記録的な豪雨に見舞われ、7月には伊豆・熱海で大規模な土砂災害が発生、8月には九州・中国地方など西日本の広い範囲で河川の氾濫が起こるなど、各地に大きな被害をもたらした。台風にも警戒が必要となるが、一方でここ数年、自然災害に便乗した業者による損害保険トラブルが相次いでいる。高額な修理費や手数料を払わされたり、気づかないうちに詐欺に加担させられていることもあり、消費者庁も注意喚起を行っているが、一体どのような手口なのか。日本損害保険協会の担当者に実態を聞いた。

大規模災害が少なかった2020年でも相談件数は前年度の2倍に急増【写真:日本損害保険協会提供】
大規模災害が少なかった2020年でも相談件数は前年度の2倍に急増【写真:日本損害保険協会提供】

国民生活センターに寄せられるトラブル相談の件数はこの5年間で5倍に

 近年、多くの自然災害にさらされている日本列島。今夏は記録的な豪雨に見舞われ、7月には伊豆・熱海で大規模な土砂災害が発生、8月には九州・中国地方など西日本の広い範囲で河川の氾濫が起こるなど、各地に大きな被害をもたらした。台風にも警戒が必要となるが、一方でここ数年、自然災害に便乗した業者による損害保険トラブルが相次いでいる。高額な修理費や手数料を払わされたり、気づかないうちに詐欺に加担させられていることもあり、消費者庁も注意喚起を行っているが、一体どのような手口なのか。日本損害保険協会の担当者に実態を聞いた。(取材・文=佐藤佑輔)

 国民生活センターに寄せられるトラブル相談の件数は年々増加しており、2016年度の1082件から20年度には5447件と、この5年間で5倍近い件数に上る。近年増えているのが、火災保険を使って自宅の修繕ができると話を持ち掛け、保険請求を勧誘する業者との間のトラブルだ。

「自然災害に遭われた地域で『お困りごとはありませんか』『壊れた箇所はありませんか』と訪ねて回り、『保険が使えるので無料で直せますよ』とその場で契約を迫るパターンが多いです。支払われた保険金の中から高額な手数料を請求されたり、実際には保険が支払われずに修理費だけ請求されたり、キャンセル料や違約金が設定されていたりするケースもある。『保険が使える』『無料で直せる』と言われたら、まずはご自身が契約する損害保険会社や代理店に確認することが重要です」

 仮に損害保険会社から正当に保険金が支払われる場合でも、金額は災害で破損した箇所の修理に必要な相当額に限られるため、実際には代行業者を挟むことで修理費が足りなくなる場合が多い。保険請求で手数料が発生することはなく、仲介業者や代行業者を挟むメリットはないが、代行業自体に明確な違法性があるわけではないため、摘発や規制が進まないのが現状だ。これらの業者を警戒すべきは災害発生直後だけではないという。

次のページへ (2/2) 知らず知らずのうちに保険金詐欺に加担させられているというケースも
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