【週末は女子プロレス♯17】朱里、2022年は「“朱世界”の幕開けにしたい」 スターダムが見せた圧倒的スケール感

スターダムのシングルナンバーワンを決めるリーグ戦「5★STAR GP(ファイブスター・グランプリ)」は、“モノが違う女”朱里の初優勝で幕を閉じた。このシリーズは旗揚げ翌年の2012年にスタートし、今年で10回目。しかも年々スケールアップしており、今回は史上最多の20選手がエントリー。約2か月に及ぶ長丁場で、7・31&8・1横浜武道館2連戦でスタート、9・25大田区総合体育館までの全17大会で熱戦が繰り広げられた。各地を回るツアー体系に加え、開幕戦と最終戦はビッグマッチ仕様。すべての点において、そのスケール感は圧倒的だ。

「5★STAR GP」初優勝の朱里【写真提供:スターダム】
「5★STAR GP」初優勝の朱里【写真提供:スターダム】

コロナ濃厚接触者や休館などアクシデント乗り越える

 スターダムのシングルナンバーワンを決めるリーグ戦「5★STAR GP(ファイブスター・グランプリ)」は、“モノが違う女”朱里の初優勝で幕を閉じた。このシリーズは旗揚げ翌年の2012年にスタートし、今年で10回目。しかも年々スケールアップしており、今回は史上最多の20選手がエントリー。約2か月に及ぶ長丁場で、7・31&8・1横浜武道館2連戦でスタート、9・25大田区総合体育館までの全17大会で熱戦が繰り広げられた。各地を回るツアー体系に加え、開幕戦と最終戦はビッグマッチ仕様。すべての点において、そのスケール感は圧倒的だ。

 しかしながら、すべてが順調に進んだわけではない。(全団体に言えることだが)昨年に引き続き、今年も新型コロナウイルス禍の影響を大きく受けた事実は触れなくてはならないだろう。当初は全21大会が予定されていたものの、濃厚接触者が複数出たことや緊急事態宣言下での休館などにより、5大会が中止となった。たとえば、8・14上越は前日に選手スタッフが現地へ向かう途中に中止が決定し、引き返すという慌ただしさ。約4年ぶりの四国遠征も目前でキャンセルされてしまった。これにより、リーグ戦の日程は大幅な修正を余儀なくされる。既定の大会だけでは間に合わず、急きょ9・16後楽園を追加し、最終日までに全リーグ戦が終了できる措置を取ったのである。

 昨年は最終戦で朱里と舞華がダブルヘッダーを敢行。優勝戦線に残っていた朱里は、決勝に進出すれば1日3試合という過酷なスケジュールになっていた。このときは決勝戦まであと一歩というところで涙を飲んだが、今年の優勝は同じダブルヘッダーでも公式戦から決勝戦とあって大きな進化、昨年のリベンジを果たしたと言えるだろう。

 試合はどれもがタイトルマッチ級の闘いが必至とあって、アクシデントによるリタイアも危惧された。腰を痛めていた渡辺桃は途中で戦線離脱し治療に専念、シリーズ中に再合流することが発表されていたものの、すぐに大会そのものが立て続けに中止になった。そのため桃は予定より遅れ8・29汐留で復帰しリーグ戦を再開、9・6後楽園では唯一の公式戦ダブルヘッダーを敢行した。こちらも腰を痛めていたひめかは、四国遠征で復帰予定も大会中止からさらに待たされ、8・28名古屋でカムバック、連敗スタートから徐々に調子を戻し優勝戦線に参入した。唯一の他団体参戦となったマーベラスの彩羽匠はスケジュールの都合上8・29汐留から参加、予想通り台風の目となりリーグ戦を盛り上げてくれた。

 ただ残念だったのは、ジュリアの途中リタイアである。優勝候補の1人でもあり、現実に初制覇の可能性を残していたのだが、首の負傷により9・6後楽園での白川未奈戦を最後に欠場、残りの公式戦は不戦敗となった。白星こそ重ねていたものの、白川との試合では見る側にも不調が伝わってきていただけに、ここは休んで正解だろう。完走できなかった悔しさは、復帰後に晴らすしかない。

 リーグ戦を消化しなければならないと同時に、大会では感染リスクを防ぐため数々の工夫もなされていた。通常の対策はもちろん、8・28名古屋から最終の9・25大田区まで、全カードがシングルマッチとなったのだ(9・23富山で例外的に1試合のみ6人タッグが組まれた)。たとえばタッグマッチで陽性者が1人でも出てしまえば、残りの選手が濃厚接触者と認定され、欠場のおそれがある。大会自体の中止もあり得るだろう。だとすればこの期間、シングルリーグ戦であることが不幸中の幸いでもあったか。原則として試合数は減らさず参戦選手を減らすことで、リスクの低下をはかったのだ。全対戦カード、出場選手の告知が事前にしっかりされていれば、ファンの理解も得られるはずだ。

次のページへ (2/3) 朱里はなぜ赤いベルト戦の舞台を両国に選んだのか
1 2 3
あなたの“気になる”を教えてください