【週末は女子プロレス♯15】物議を醸すスターダム・フューチャー王座 王者ウナギ・サヤカがもくろむ価値観と生え抜き選手の反論

スターダム管理の7大王座の中にフューチャー・オブ・スターダムというタイトルがある。これは、20歳以下またはキャリア3年未満の者に挑戦資格が与えられる、若い選手のためのタイトルだ。このベルトのあり方が現在、物議を醸している。現王者ウナギ・サヤカが独断で次々とタイトルマッチを敢行。それはよいとしても、ウナギはスターダム初参戦となる選手の初戦に、しかもベルト初挑戦の選手たちとの試合にベルトをかけているのである。規定による挑戦資格があるとはいえ、挑戦者の資質が波紋を呼んでいるのだ。

フューチャー・オブ・スターダム王者のウナギ・サヤカ【写真提供:スターダム】
フューチャー・オブ・スターダム王者のウナギ・サヤカ【写真提供:スターダム】

揺らぐ王座の価値 歴代の激闘に見劣りする試合内容

 スターダム管理の7大王座の中にフューチャー・オブ・スターダムというタイトルがある。これは、20歳以下またはキャリア3年未満の者に挑戦資格が与えられる、若い選手のためのタイトルだ。このベルトのあり方が現在、物議を醸している。現王者ウナギ・サヤカが独断で次々とタイトルマッチを敢行。それはよいとしても、ウナギはスターダム初参戦となる選手の初戦に、しかもベルト初挑戦の選手たちとの試合にベルトをかけているのである。規定による挑戦資格があるとはいえ、挑戦者の資質が波紋を呼んでいるのだ。

 ウナギは7・17高田馬場で“闘魂Hカップグラドル”白川未奈との再戦を制しシングル初戴冠を果たしてみせた。そもそもフューチャー王座とは2018年3月に新設され、スターライト・キッドが初代王者に輝いた。第2代王者は“ビッグダディ三女”のスーパールーキー林下詩美で、新人とは思えぬ反則級の強さを発揮。若手のベルトを保持したまま、団体頂点のワールド・オブ・スターダム、ワンダー・オブ・スターダムに挑戦、20年2月に返上するまで無敵の強さを誇り続けた。第3代王者決定戦から上谷沙弥、飯田沙耶、舞華の三つどもえ闘争が勃発、舞華が新王者となると詩美政権で上がりすぎたハードルを下げるどころか、さらにハイレベルの闘いを3人で展開。20年12月に舞華は3WAY戦で負けずしてベルトを明け渡したが、21年1月には詩美が前年11月に獲得したワールド王座に挑戦。この流れから、フューチャー王座は若手の登竜門的王座どころか、頂点王座挑戦へと直結するタイトルへと昇華したのである。

 第4代王者・飯田も詩美、舞華を引き継ぐ説得力ある強さを誇示。キャリア2年未満の規定を3年に引き上げさせたのも彼女のアピールからだった。飯田はウナギ、花穂ノ利(SEAdLINNNG)、琉悪夏の挑戦を受け、団体内外で若手の高い壁となることに価値観を置いていた。が、負傷により道半ばで王座返上。新王者決定トーナメントでは白川が悲願の王座獲得も、ユニット同門対決で初防衛を許さずベルトを巻いたのがウナギだったのだ。

 新王者には歴代王者が築いてきた価値をキープできるのか、あるいは新たなる世界観をもたらすのか注目されていたが、初防衛戦の相手にアクトレスガールズを退団しスターダムに戦場を求めた桜井まいを指名し初防衛(8・13後楽園)。それ以前から決まっていた生え抜きの14歳・吏南の挑戦を退けV2に成功すると(8・29汐留)、こちらもアクトレスガールズ退団した月山和香の参戦表明時にスターダムデビュー戦でベルトをかけると宣言し、わずか2日後の9・6後楽園で3度目の防衛に成功した。

 実際のところ、桜井、月山とも大きな実績もなく鳴り物入りの参戦でもない。案の定、キャリアの浅さを露呈し、タイトルマッチと呼ぶには正直厳しい内容となってしまった。本来なら練習生からやり直すべきかもしれない。スターダムのリングに上がるには他団体でデビューしてから移籍する方がおいしい。そう思われてもおかしくはないだろう。すると、挑戦資格を有する生え抜きの選手たちが声を上げた。そこで、異を唱えた吏南、琉悪夏、レディ・Cの3人に話を聞いてみると……。

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