人気作品の舞台化は「原作をお預かりして、大切に育てる」 原作リスペクト忘れず、本質届ける

10月から上映される舞台「バクマン。」THE STAGEの制作発表会が2日、都内で行われ、ダブル主演の鈴木拡樹、荒牧慶彦、演出・脚本のウォーリー木下氏とプロデューサー・松田誠氏が登壇した。

「バクマン。」THE STAGEの制作発表会で学生の質問に答える鈴木拡樹(左)と荒牧慶彦【写真:ENCOUNT編集部】
「バクマン。」THE STAGEの制作発表会で学生の質問に答える鈴木拡樹(左)と荒牧慶彦【写真:ENCOUNT編集部】

10月から上映の舞台「バクマン。」THE STAGE 鈴木拡樹&荒牧慶彦がコンビ

 10月から上映される舞台「バクマン。」THE STAGEの制作発表会が2日、都内で行われ、ダブル主演の鈴木拡樹、荒牧慶彦、演出・脚本のウォーリー木下氏とプロデューサー・松田誠氏が登壇した。

「週刊少年ジャンプ」で連載されていた、大場つぐみ・小畑健による大人気漫画『バクマン。』を初の舞台化。「週刊少年ジャンプ」の連載を目指す高校生漫画家コンビのうち、高い画力を持つ真城最高を演じるのは鈴木。最高とコンビを組む、同級生で文才に長けた高木秋人を演じるのは荒牧。人気実力もトップクラスの俳優2人が、青春のすべてを漫画にかける最高&秋人を演じる。

 漫画というエンターテインメント業界を駆け抜ける作品にちなみ、制作発表にはエンタメ界を志す学生も参加。学生たちは、この日登壇した業界のトップランナーたちに赤裸々な疑問をぶつけた。

 参加した大学生から、「(2.5次元舞台の)役作りで一番大切にしていること」を聞かれた荒牧は「僕は『バクマン。』にかかわらず、アニメやゲーム、漫画が大好きだったので、ファン目線というか、作り手側ではない意識を昔から持っています」と観客目線を大事にしていると回答。

 鈴木は「原作ファンの方の期待を裏切らないことが前提」と前置きをした上で、「実写化、特に舞台でやる形なので、作者さんの意図は漫画を読んで反映させないと。(作者が)現場にいらっしゃるわけではないので」と、作者が伝えたいことを原作からくみ取ることの重要さを力説した。

 さらに鈴木は原作のカメラ(コマ)割りやテンポの再現性についても言及。「距離感や世界観は、絵に描いている通り、全く同じというわけにはいかない。そこをどう折り合いをつけていくのか、代わりにどういうことをしていけばいいのかというのが(舞台の)オリジナル性だと思いながら作品作りに励んでいます」と自身のこだわりを明かしていた。

 また、他の学生からは2.5次元ミュージカルになじみのない観客へのアプローチについて質問が飛び出した。数々の2.5次元作品を手がけてきたプロデューサーの松田氏は「カンパニーが大切な原作をお預かりしている。究極で言えば、漫画家の方が描かれたお子さんを預かっている気持ちで、大切に大切に育てなきゃと思っています」と原作への並々ならぬリスペクトを口にした。

 松田氏は「(原作)ファン心理としては『どうやってやるんだろう』という不安もあると思うんです」と原作ファンの心情を理解しながら、「『余計なことをやってくれるな』『好きな作品に変なことをしないでほしい』という気持ちをひっくり返さないといけない。原作者の先生がどういうことを考えているのか、作品で何を伝えたいのかをわれわれが理解することが重要。コスプレや物まねをするわけではないので、まずは作品の本質をつかむことがかなり重要なこと」と熱弁した。

 松田氏は「バクマン。」を舞台化することは「チャレンジ」だとも発言。「歴史もあって成功している作品を舞台化するのはかなりハードルが高いけど、『見たことのないものを作る』というところで、通常の2.5次元よりもさらに演劇的なことにチャレンジしたい」と意気込んだ。

 締めのあいさつでは鈴木が「こういう話をしていると、すぐに稽古したい気持ちになってくる」とニッコリ。「舞台には想像してもらう力があります。たくさん想像してもらって、お客さまのピースも加えて(作品を)完成させたい」と舞台の成功を誓っていた。

○2.5次元ミュージカルとは

 一般社団法人「日本2.5次元ミュージカル協会」によると、2次元の漫画・アニメ・ゲームを原作とする3次元の舞台コンテンツの総称。「ぴあ総研」が2019年7月に報告したデータによると、2000年から2018年までで、上演作品数は約13倍、動員数は約10倍、市場規模は約16倍の226億円に成長。

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