大河ドラマ3度目の三谷幸喜が爆笑会見 「大河は元気がないと言われているがそんなことない」

NHKは8日、2022年に放送予定の大河ドラマについて、鎌倉時代の武将・北条義時を主人公とする「鎌倉殿の13人」に決定したことを発表した。小栗旬が主演を務め、三谷幸喜氏が脚本を担当する。同局で行われた記者会見には三谷氏が登場。ホワイトボードを使って解説を実施し、笑いをまじえて自身3作目となる大河への意気込みを語り尽くした。

2022年NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」について力説する三谷幸喜氏
2022年NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」について力説する三谷幸喜氏

2022年NHK大河ドラマは小栗旬主演「鎌倉殿の13人」 脚本は三谷幸喜

 NHKは8日、2022年に放送予定の大河ドラマについて、鎌倉時代の武将・北条義時を主人公とする「鎌倉殿の13人」に決定したことを発表した。小栗旬が主演を務め、三谷幸喜氏が脚本を担当する。同局で行われた記者会見には三谷氏が登場。ホワイトボードを使って解説を実施し、笑いをまじえて自身3作目となる大河への意気込みを語り尽くした。

「新選組!」「真田丸」に続き、3作目の大河ドラマ脚本を務める三谷氏は「カルロス・ゴーンの会見に先立ち、ようこそいらっしゃいました」とのっけから、“三谷節”で報道陣の笑いを誘った。

 物語は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて、新都・鎌倉を舞台に繰り広げられるパワーゲームを描く予測不能のエンターテインメントだ。「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍を指す。頼朝の天下取りは13人の家臣団が支えており、頼朝の死後に、家臣団は激しい内部抗争を繰り広げる。その中で最後まで生き残り、権力を手中に収めたのが、13人の中で最も若い北条義時だった。

 群像劇になりそうで、三谷氏は「本当に僕好み」と声を弾ませ、ユニークなタイトルについては「新しい大河をつくりたいということで、これまで絶対になかったタイトルを探して最終的に落ち着いた」と明かした。

 ここで、記者会見場にはホワイトボードが出てくる。三谷氏は13人の家臣の名前を“あいうえお作文”のように列記。「これ試験に出ますから」とギャグをかまし、「この義時が日本で一番有名な北条さんになると確信しています」と強調した。さらに、北条家の家系図を書き出し、「これは(映画)ゴッド・ファーザーの設定と似ている。それに間違いなくサザエさんでもある」などと独創的なドラマ論を展開し、会場は爆笑に包まれた。

 質疑応答に移っても、“三谷節”は止まらない。主演を務める小栗について、「役をつかむのが上手な方、芝居に嘘のない方。だからこの義時。ただ強いカッコイイ優しいだけのヒーローではない。酸いも甘いもかみ分けた男」と評価した。

 さらに、大河ドラマへの情熱を激白。「僕は大河ドラマファンで大好きで見ていて、こうして関わることができてラッキーだと思っている。ここのところ大河ドラマに元気がないと言われているなかで、いやいやそんなことはない。こんなに面白いワクワクするテレビドラマはないという信念を持っている。僕でいいのであれば何らかのお力になりたいと思っていた。これはもう頑張るしかない。大河ドラマはもう終わるんじゃないかと思っている方もいると思うが、そんなことはない。これから第2章が始まる。その1本目という気持ちでやりたい」と決意表明した。

 1年をかけて放送する連続ドラマだからこその醍醐味について触れ、「ドラマの良さは連続ドラマ。今は配信が力を持っているが、毎週同じ曜日の同じ時間にみんなで見る。みんなで共有する。それは連続ドラマにしかない。大河ドラマは1年間ですから。自分にとっての集大成、最高の大河ドラマにしたいと思っています」と熱く語った。

 昨今、大河ドラマにまつわる気になることも自らの言葉で語った。

 視聴率の目標について聞かれると、「最低視聴率は更新しないというのが目標ですけれども、正直に言うと、あまり僕は数字にはこだわっていない。面白いものをつくることが僕の使命。どれぐらいの人に見てもらうということは二の次だと思っていますが、大勢の人には見てもらいたい。どんなに僕らが力を込めて面白いものを作っても、もし誰も見なかったとしたら存在していないのと同じ。少しでも多くの人に見てもらいたいと思います。半ば冗談で、最低視聴率を更新しないと言いましたが、最高視聴率を更新したいとさえ思っています」と話した。

 ここで、最大の“サプライズ”。自ら締めの言葉を求め、「この場を借りてどうしても言いたかったことがあります。これから台本を書いてキャスティングが始まります。僕はキャスティングにもすごい思い入れがあります。俳優さんは僕は全員が大好き、歴史上の人物も大好き。大好きな人たちを一番いい役にふっていきたい。これ以上ないというキャストで今後みなさんに発表したいと思っています。本当にオファーを受ける俳優さんたちに言いたいのですけれども、俺ちょっとやばいかな、スネに傷を持っている人がいたら断ってください。本当にみんな切に思っています。ぜひ断ってほしいです」と“本音”をのぞかせ、会見を締めくくった。

 今回の大河ドラマの撮影期間は2021年の夏からスタートし、2022年の秋までを予定。残りの家臣のキャストは順次発表していくという。NHKの清水拓哉・制作統括は「今回は『決断』のドラマになります。義時はポイントポイントで決断を下していく。やらなければやられる、が中世の時代のリアルです。自分の身を守るため、家族を守るために決断をする。うまくいくこともあれば、失敗をすることもあります。まさに僕らの日常生活と同じだと思います。ただ、義時の決断の内容は重く、誰かを騙して裏切って滅ぼすことになるかもしれない。そこが歴史劇の醍醐味になると思います」と話した。

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