【気になる人】74歳で歌手デビューした「笑点」落語家・三遊亭好楽師匠が語る涙をポロポロ流した夜

毎週日曜日放送の長寿演芸番組「笑点」(日本テレビ系)のレギュラーを務める落語家・三遊亭好楽師匠。ピンク色の着物で場を和ませ、自虐ネタで笑わせ人気だ。そんな好楽師匠がこの1月、芸歴55年、74歳にして突然、「熱燗二本~噺家一代~」で歌手デビューした。いったい何があったのか!? 東京・台東区の自宅1階を改装して作った寄席「池之端しのぶ亭」で好楽師匠に聞いた。

「笑点」でも人気の落語家・三遊亭好楽師匠【写真:荒川祐史】
「笑点」でも人気の落語家・三遊亭好楽師匠【写真:荒川祐史】

「恥ずかしい」から「自分ががんばらなきゃ」という気持ちに変化

 毎週日曜日放送の長寿演芸番組「笑点」(日本テレビ系)のレギュラーを務める落語家・三遊亭好楽師匠。ピンク色の着物で場を和ませ、自虐ネタで笑わせ人気だ。そんな好楽師匠がこの1月、芸歴55年、74歳にして突然、「熱燗二本~噺家一代~」で歌手デビューした。いったい何があったのか!? 東京・台東区の自宅1階を改装して作った寄席「池之端しのぶ亭」で好楽師匠に聞いた。

 岡本圭司さんってコミックバンド「バラクーダ」のリーダーが作詞して、デュエットソング「もしかしてPARTII」の美樹克彦先生が作曲して、「歌ってよ。あなたしかいない」ってオファーがきましてね。「落語家の人生の歌だから」って。2人とも50年来の友人なんです。「歌は下手だよ」って言ったら「普通に、歌詞を読むように歌えばいいから」って言うから、「それなら」と。楽譜なんて読めないから、美樹先生が歌って吹き込んでくれたテープを、ウチで何度も聴いて覚えて稽古して。間奏のセリフはスタジオで、アドリブで入れたんです。それで、出来上がったCDは歌が5分弱、カラオケが5分弱入って、あとの40分を落語の「芝浜」が入ってるんだから、何のCDなんだか(笑)。

 最初は恥ずかしかったんですけど、「面白いね」って言われたり、関係者に期待されたりするうち、「せっかくだから聴いてもらいたい」「自分自身ががんばらなきゃ誰ががんばるんだ」っていう気持ちになってきました。ラジオの司会やってる人とか、「送って」っていう全国の知り合いに、ひとつひとつ手紙書きながら送っています。老骨に鞭打って(笑)。今、そういう慌ただしい状態ですけど、それであたしのほうが元気をもらっています。もともとが呑気で、落語やって、ありとあらゆる歌が大好きでカラオケは年中。毎日のようにしゃべって歌っているから、74歳でも声が出たんでしょう。だから自然体。あたしをよく知っている人たちは「好楽さんらしい」って受け止めています。

58歳で運転免許取得に挑戦した!

 58歳で運転免許を取った、なんてこともあったんですよ。当時、六本木で後輩が店やってて、そこのマスターが昔、教習所の教官だったんです。つい酔っ払って「オレも明日から通うか」って言っちゃった。言った手前、やるしかないから次の日、目黒の教習所に出かけてって通い始めたんです。いつも教室に一番のりして一番前に座り、先生が入ってきたら「起立!」「おはようございます」ってあいさつして授業を受けていました。若いうちは頭ん中へ、落語がどんどん入りましたけど、運転免許の学科試験は3回落ちましたねぇ。実技のときは教官のほうが緊張してたり、「『笑点』のお話聞いてもいいですか?」なんて喜んで隣に座ってくれたり。みんな優しくしてくれました。

 ところが、免許取ったとたん「車がビュンビュン飛ばしてる東京で運転するなんてとんでもない!」って怖くなって、結局1度も運転してないんです。万一、人様にぶつけたりしたら、せっかく愛してやまない落語家になったのにできなくなっちゃうでしょ。家族や弟子にも迷惑をかけちゃう。だから、ずっと身分証明書がわり(笑)。面倒臭くて3、4年前に更新もやめました。ただ、免許を取ったおかげで交通ルールの勉強になって良かったです。58の手習いも満更じゃあなかったですね。

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