【プロレスこの一年 ♯34】“仮面貴族”マスカラスの初来日 猪木が日プロ除名 71年のプロレス

今からちょうど50年前、1971年のこの週、ミル・マスカラスがメキシコから飛来。“仮面貴族”“千の顔を持つ男”の初来日で、日本マット界は大いに沸いた。今回は、71年(昭和46年)のプロレス界を振り返る。

初来日から50年の歳月が流れたミル・マスカラス(写真は85年の来日時)【写真:平工 幸雄】
初来日から50年の歳月が流れたミル・マスカラス(写真は85年の来日時)【写真:平工 幸雄】

“仮面貴族”が初来日で見せたフライングボディーアタック

 今からちょうど50年前、1971年のこの週、ミル・マスカラスがメキシコから飛来。“仮面貴族”“千の顔を持つ男”の初来日で、日本マット界は大いに沸いた。今回は、71年(昭和46年)のプロレス界を振り返る。

 2月18日、マスカラスとスパイロス・アリオンの2選手が初来日。マスカラス見たさに多くの少年ファンが空港に詰めかける異例の事態となった。マスカラスは翌19日の後楽園ホールから日本プロレスのリングに参戦。「ダイナミック・ビッグ・シリーズ」開幕戦の模様はテレビで生中継され、マスカラスは星野勘太郎とのシングルマッチでフライングボディーアタックを浴びせ快勝。ここからマスカラス・ブームがスタートする。

 マスカラスは翌日の大阪で、ダグ・ギルバートと組んでアントニオ猪木&吉村道明組が保持するアジアタッグ王座に挑戦した。3・2蔵前国技館でもアリオンと組んでBI砲ジャイアント馬場&猪木組のインターナショナルタッグ王座に挑戦。また、3・6前橋では猪木との初シングルも実現させている。上記の3試合はいずれもマスカラス(組)が敗れているが、人気は急上昇。

 前年12月18日、ジン・キニスキーをロサンゼルスで破りインターナショナル王座を奪回した馬場が、2・2広島でザ・ストンパーを破り初防衛に成功すれば、3月26日には猪木がロスでジョン・トロスからUN王座を奪取した。このとき猪木は、女優・倍賞美津子との婚約を発表。挙式&披露宴は11月2日、新宿・京王プラザホテルにて各界の著名人が列席し、盛大に執り行われた。

 春には日プロ、国際プロレスのシングルリーグ戦が豪華外国人選手の参戦でスタート。3月31日、国際の「第3回ワールド・シリーズ」が板橋で開幕。ビル・ロビンソン、カール・ゴッチ、モンスター・ロシモフ(アンドレ・ザ・ジャイアント)をはじめ8人の外国人レスラーがエントリーされた。対する日プロの「第13回ワールドリーグ戦」は4・2後楽園で初戦。ザ・デストロイヤー、アブドーラ・ザ・ブッチャー、キラー・カール・コックスら海外から9選手が総当たり戦に参加した。

 国際4・3横浜では、公式リーグ戦でロビンソンVSゴッチが実現。試合は30分フルタイム戦っての引き分けに終わった。「ワールド・シリーズ」はロビンソン、ゴッチ、ロシモフの優勝争いとなり、5・18大田区で優勝者が決定。ポイントで最高得点を獲得したロシモフがリーグ戦を初制覇した。

 翌19日には日プロ「ワールドリーグ戦」が大阪で最終戦。決勝戦は馬場VSブッチャーとなり、馬場が2年連続制覇を果たしてみせた。試合後の控え室では猪木が「馬場さんに挑戦したい。どちらが強いか決める時期にきた」と爆弾発言。翌日には「挑戦願い」を正式に提出したのだが、28日に芳の里代表が「時期尚早」とし、猪木の願いが却下されてしまった。

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