「がんよりもある意味恐ろしい」800人以上を診てきた医師が語るコロナ“後遺症”

日本で新型コロナウイルスの感染が確認されてから1年。最近では、コロナ治療を終えた後も続く後遺症の存在について語られるようになった。体を起こすことができないほどの倦怠感や、言葉でうまく説明することのできない体の不調などがそれに当たる。そんな“コロナ後遺症”に苦しむ人たちのために、東京・渋谷で「新型コロナウイルス後遺症外来」を掲げ、オンライン診察を含めて北海道から沖縄、米国に住む患者さんの治療にあたっている「ヒラハタクリニック」の平畑光一院長に“コロナ後遺症”の実情について、話を聞いた。

インタビューに応じた平畑光一院長【写真:本人提供】
インタビューに応じた平畑光一院長【写真:本人提供】

男性より女性のほうが症状重く…だるさが強い人は歯ブラシを持つのもつらい

 日本で新型コロナウイルスの感染が確認されてから1年。最近では、コロナ治療を終えた後も続く後遺症の存在について語られるようになった。体を起こすことができないほどの倦怠感や、言葉でうまく説明することのできない体の不調などがそれに当たる。そんな“コロナ後遺症”に苦しむ人たちのために、東京・渋谷で「新型コロナウイルス後遺症外来」を掲げ、オンライン診察を含めて北海道から沖縄、米国に住む患者さんの治療にあたっている「ヒラハタクリニック」の平畑光一院長に“コロナ後遺症”の実情について、話を聞いた。

 昨年の3月ぐらいに、もともとは当クリニックに通院していた患者さん2人が、今思えばコロナ後遺症らしい症状になりまして、どうしてこんなことが起きたのかなといろいろと検討していました。ちょうどコロナが日本で流行していたこともあり、もしかしたらコロナの影響かもしれないと思い、治療を始めたのがきっかけです。その治療の様子を病院のブログでつづっていたところ、次第に患者さんが集まってきました。9月ぐらいには症例も増えて、ある程度、的確なことを言えるようになってきたので、SNSでもつぶやくようになりました。

 当初は「新型コロナウイルス後遺症外来」を掲げなくても、もともとの患者さんの中に後遺症で苦しむ方が2人もいたので、他の病院でもいるはずで、治療を受けているだろうと思っていました。しかし、患者さんに聞くと「気持ちの問題」と言われてなかなか理解してもらえない現状があることを知りました。そこで患者さんが安心して診察を受けられるように、「新型コロナウイルス後遺症外来」を掲げるようにしました。

 これまでに約800人のコロナ後遺症で苦しむ患者さんを診てきましたが、一番多いのは40代の方で、次が30代、そして20代です。症状としては、約95%の方が「倦怠感」を訴えており、その次が「気持ちの落ち込み」、そして「思考力の低下」を挙げられます。もちろん体の痛みがある方もいますし、髪の毛が抜けたり、味覚嗅覚障害がある方もいたりしますが、当クリニックの患者さんで言えば、実は半分もいないという状況です。

 ただ「倦怠感」とひと口に言っても、だるさが強い人は歯ブラシを持つのもつらいという方もいますし、髪の毛を乾かすことができない人、お風呂に入ったら1日中寝込んでしまうような方もいます。要は、日常生活が成り立たない状態になってしまうんです。寝たきりになっている割合を見ると、女性のほうが男性と比べてどの年代でも割合が高く、10代に限って言えば半数以上の女性が寝たきりか、寝たきりに近い状態。10代男性でさえも半数弱が寝たきりです。

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