【Producers TODAY】フジ「知ってるワイフ」プロデューサー 「男女のしんどさを真っ向から描きたかった」
関ジャニ∞の大倉忠義が主演するフジテレビ系連続ドラマ「知ってるワイフ」(毎週木曜、午後10時)が放送中だ。夫婦関係に悩む銀行員の夫が奇跡のタイムスリップで妻(広瀬アリス)を入れ替えるところから始まる異色のファンタジーラブストーリー。原作は2018年に放送された韓国の同名ドラマで、映画「パラサイト~半地下の家族~」やドラマ「トッケビ」「愛の不時着」を手掛けたCJEMNのStudio Dragon(スタジオドラゴン)社が制作。オリジナルと日本バージョンではどのような違いと共通性があるのだろうか。同局編成部の狩野雄太プロデューサーと共同テレビジョンの貸川聡子プロデューサーに聞いた。
「パートナーシップ」という現代的テーマを描きたかった
関ジャニ∞の大倉忠義が主演するフジテレビ系連続ドラマ「知ってるワイフ」(毎週木曜、午後10時)が放送中だ。夫婦関係に悩む銀行員の夫が奇跡のタイムスリップで妻(広瀬アリス)を入れ替えるところから始まる異色のファンタジーラブストーリー。原作は2018年に放送された韓国の同名ドラマで、映画「パラサイト~半地下の家族~」やドラマ「トッケビ」「愛の不時着」を手掛けたCJEMNのStudio Dragon(スタジオドラゴン)社が制作。オリジナルと日本バージョンではどのような違いと共通性があるのだろうか。同局編成部の狩野雄太プロデューサーと共同テレビジョンの貸川聡子プロデューサーに聞いた。(鄭孝俊)
――「知ってるワイフ」の企画のきっかけを教えてください。
貨川「狩野さんと私と脚本の橋部敦子さんの3人で話し合った際、橋部さんがパートナーシップについて脚本を書いてみたいと言うので、私たちも今の時代に合ったいいテーマだと考えました。そのテーマを念頭に企画を探っていったところ、たまたま『知ってるワイフ』という韓国ドラマの存在を知り、3人ともこのドラマを見てみました。夫婦の関係をどう見つめ直すかというテーマが非常によく描かれているし、日本に置き換えても現在的なテーマだと思ったので、このドラマのリメークを決めました」
――韓国オリジナル版は「愛の不時着」を手掛けたStudio Dragon社の制作です。そのあたりは意識したのですか。
貸川「とくに韓国ドラマだから、ということではありませんでした。企画のスタートは2年前で、『梨泰院クラス』や『愛の不時着』など韓国ドラマが日本でも大きく盛り上がるよりも前でしたので。もちろんStudio Dragon社の制作力の高さは知っていましたが、今回は純粋に『知ってるワイフ』が面白いと思ったので企画を決めました」
――キャスティングの狙いは?
狩野「主人公の剣崎元春は、大学生から30代の銀行員までの年齢設定に幅があるのと、喜怒哀楽いろいろな表情を見せないといけない。そこが難しいのですが、大倉さんの主演舞台『蜘蛛女のキス』を拝見してそれができる俳優だと確信しました。特に主人公元春の切なそうな顔、身につまされている表情を大倉さんで見てみたいと思いオファーしました。妻役の澪(みお)は高校生からすごく疲れている主婦、さらにバリキャリな銀行員まで演じ分けないといけない大変な役なのですが、素晴らしい演技力と、広瀬アリスさんが持っている天真爛漫さやサバサバしたイメージで見てみたいと思ってお願いしました。間違えるとあざとく見えたりしまうけっこう大変なことになる役どころなので」
――共演の方々も個性派ぞろいです。
狩野「銀行の同僚・津山千晴役は3話以降では恋敵になっていくという役どころで、松下洸平さんは主人公と違ったタイプのかっこいい男性で、主人公より誠実なキャラクターがピッタリだと思いました。財閥令嬢でプライドが高いトンデモキャラの江川沙也佳役もけっこう難しくて、原作とは設定を少し変えているのですが、家柄や親に縛られているけれど本当は芯が強い女性で、さらに澪に負けない美貌も絶対必要なので瀧本美織さんにお願いしました。奇妙な男役の生瀬勝久さんはいそうだけどいない、非日常的な人物を象徴的に演じていただきました。澪の母親・建石久恵は認知症という重い役どころですが、片平なぎささんとも相談をさせていただき、全体的にかわいげがあるおばあちゃんを演じていただきました。広瀬さんと片平さんの2人のシーンがとても良くて、個人的に毎回見ていて泣きそうになります」
コロナ対策で撮影は通常のドラマより1か月も延長
――新型コロナウイルス感染予防もあり撮影は苦労続きだったのでは?
狩野「去年の春ぐらいに撮影を開始しようと思っていたのですが、1回目の緊急事態宣言でストップ。結果的に夏場の撮影が多くて、猛暑の中、マスクやフェースシールドを着けるキャスト・スタッフの皆さんの苦労は大変でした」
貸川「6月の頭から延べ4か月半の撮影でした。通常のドラマより1か月も長くかかりましたが、脚本が最終話まででき上がっていたことと原作もあるので、スタッフとキャストは先々どうなるか分かって撮影に入ったのでそこはやりやすかったと思いますが、一方で何話もまたいで撮影したため、つながりには苦労しましたね」
狩野「実は劇中でコロナを描くかどうかという議論がありました。今というリアリティーを追求すればドラマの中でコロナを取り扱うという考えもあったのですが、現時点でコロナ時代の解決法やゴールはまだ分からないですし、朝から晩までテレビ画面の中がコロナの話題なので、個人的にはつらいなと。せめてこのドラマの中だけはコロナを忘れてほしかった。必ずしも現実だけを描くことだけがテレビではない、と考えました」