人気でも運でもない、完全実力勝負の“ガチ歌バトル”――。数々のドラマとヒロインを生んできた「AKB48グループ歌唱力No.1決定戦」は、2020年12月に開催された第3回大会でも、STU48の2期研究生・池田裕楽が初出場・初優勝、初代女王である野島樺乃の“凱旋”、ファイナリスト8人と審査員特別賞に選ばれた1人が歌うオリジナル曲制作のサプライズ発表など、強烈なインパクトを残した。

　学生時代に吹奏楽部に所属するなど音楽経験を持ち、大会の仕掛け人であるTBSの竹中優介プロデューサーは、立候補した計134人の全メンバーに対して「みなさんに愛着があります」と思いを述べる。そのなかで、決勝大会に出場した19人への感謝のメッセージを、グループ別に全4回にわたってお届けする。

・1曲目／くちばしにチェリー（EGO-WRAPPIN’）

　豊永さんは音楽的な表現の幅が広い素敵なメンバーで、年齢（21歳）以上の大人な見せ方ができる。生バンドと一緒にやることでより魅力が深まりますね。「くちばしにチェリー」はほかのアイドルが選ばないような、彼女にしかできない選曲でした。決勝大会は生バンドとクオリティーの高い音楽を一緒に作るんだというインパクトとしては、完璧なオープニングアクトだったと思うので、感謝しています。

　豊永さんは選曲のセンスが本当に素晴らしい。「この曲きたか」と一番うならされましたし、準備していた2曲目を含めて、今回の“ベスト選曲賞”でした。本人はベスト8を逃して悔しかったと思いますけど、ファイナリストLIVEに届くレベルの高さだったと思います。今大会を盛り上げてくれた功労者の1人で、豊永さんの歌は何回も聞きたくなります。

・1曲目／スピーチレス～心の声（映画「アラジン」より）

　優勝を狙っていた山崎さんは、1曲目は一番の武器を温存して、また違う表現でアプローチしていました。選曲の妙もあってベスト8は逃してしまいましたけど、ベースの実力はプロアーティストのレベルだと思います。（2019年1月の）第1回大会の時はまだNMB48の研究生だったので、歌の大事なパートを任されていたりする今の姿を考えると、歌唱力No.1決定戦を成功に導いてくれているシンデレラの1人です。

　普段はふわふわしている感じなのに、歌っている時はめちゃくちゃカッコいい。そのギャップがまた可愛いんです。ゴスペラーズの黒沢（薫）さんもおっしゃっていましたけど、まだ未完成な部分があるからこそ、今後も彼女の歌は魅力的に成長していくはず。このイベントを続けている限りは、すべて皆勤で出場してほしいです。