「フランス、終わってる」暴動で自宅が揺れた日本人女性の恐怖 警察が来たのは約2時間後

フランス各地で17日、生活費の高騰や教育環境の悪化などに抗議する大規模デモが行われ、一部が暴徒化した。首都パリなどで警察との衝突、放火、略奪が相次ぎ、騒乱は翌18日まで続いた。大きな被害が出た南東部の都市リヨンでは、現地在住の日本人女性が自宅周辺で起きた惨状をSNSで報告。ガラスが割れる音が響き、建物が揺れる中で恐怖の一夜を過ごしたという。現地では何が起きていたのか。女性に話を聞いた。

襲撃された商店の様子【写真:あおりよん(@Aoi_lyonFR)さん提供】
襲撃された商店の様子【写真:あおりよん(@Aoi_lyonFR)さん提供】

現地在住の日本人女性が明かした実情「近所の人と『これはひどいね』と」

 フランス各地で17日、生活費の高騰や教育環境の悪化などに抗議する大規模デモが行われ、一部が暴徒化した。首都パリなどで警察との衝突、放火、略奪が相次ぎ、騒乱は翌18日まで続いた。大きな被害が出た南東部の都市リヨンでは、現地在住の日本人女性が自宅周辺で起きた惨状をSNSで報告。ガラスが割れる音が響き、建物が揺れる中で恐怖の一夜を過ごしたという。現地では何が起きていたのか。女性に話を聞いた。

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「リアルタイムで私の住んでいる通りの階下の商店が続々と強奪被害に遭っている。男性の叫び声、ガラスが壊れる音、アラームがけたたましく鳴り響く、そして止まり、静寂に、再び破壊する音が聞こえてくる……の繰り返し。万が一、下の共同扉が壊されて敷地まで侵入されたらどうすれば良いんだろうか? 金目のものが欲しいだけだから、個人宅に押し入るような馬鹿な真似はしないだろうけど…なのに警察は来ない。フランス、終わってる」

 日本時間18日、こうXに投稿したのはリヨン在住のピアノ講師「あおりよん」(@Aoi_lyonFR)さんだ。フランスで暮らして20年以上。国際結婚し、2人の子どもを育てながら仕事に励んでいる。

 リヨンでは17日、市中心部の観光案内所が放火され、多くの店舗が破壊や略奪の被害を受けた。投稿者が観光案内所の火災を知ったのは、友人から届いた安否を気遣うメッセージがきっかけだった。

「『家の近くだけど大丈夫!?』と連絡が来て、Xでフランス語の投稿を調べたところ、観光案内所が燃え盛る動画を見つけました。その日はできるだけ外出を控えましたが、窓を閉め切っていても催涙ガスや焦げ臭い煙のにおいが分かるほど。まるで爆撃のような音も定期的に聞こえてきました」

「家が揺れた」 自宅前に暴徒…警察が現れたのは約2時間後

 夜になると、恐怖は目前まで迫った。

「寝ようとしていたら、目の前の高級ブランド店のショーウインドーをたたき割る音と男性の叫び声が聞こえてきました。店の中にシャッターがあり、その集団は侵入を断念したようですが、今度は隣の店へ移動して同じことを繰り返していました。それが1時間ほど続いて、店の警報が鳴っては止まり、また騒ぐ音が聞こえてくる。私はカーテンに隠れて恐る恐る見ていましたが、向かいの住民は堂々と顔を出して見物していました」

 投稿者によると、自宅の真下の店まで襲われ、ガラスを割る衝撃で建物が揺れた。「生きた心地がしなかった」というが、警察はなかなか現れず、到着したのは騒ぎが始まってから約2時間後の深夜1時半ごろだったという。

 恐ろしい思いをした翌朝、街は静かだったが、様相が一変していた。

「翌朝はうそのように街が静かでした。野菜や花を買いにマルシェ(市場)へ行く途中、完全に壊され、商品が奪われて空っぽになった無残な状態のお店を見ました。道には盗まれた商品の空き箱が散乱していました。近所の人と『これはひどいね』と話し、心を痛めましたが、ここ数年のフランスでは残念ながら珍しい光景ではなくなっています。店の様子を見た後は普通に買い物し、今は普段通りに生活しています」

 その後、Xで普段通りの日常を発信すると、一部ユーザーからは「被害に遭った人がいるのに神経を疑う」といった趣旨の批判が届いたという。投稿者はこう思いを明かす。

「もちろん被害に遭った人には寄り添います。ただ、私も家の中で恐怖を味わいました。こんな状況がいつ終わるか分からないし、明日は生きていないかもしれない。だからこそ、今日を楽しまなければと思うんです」

「外出は日本の20倍疲れる」 それでもフランスを愛する理由

 こうした騒動が続く中、現地の日本人たちはどのように身を守っているのか。投稿者によると、在仏邦人同士で頻繁に安否を確認し、情報交換をしている。街で騒ぎがあった日は子どもたちに外出しないよう強く言い聞かせ、自身も普段から周囲への警戒を欠かさないという。

「道を歩く時は前後左右、斜めにも常にアンテナを張っているので、日本の20倍は疲れますよ。バッグはファスナーで閉まるものしか使わないと20年以上決めています。そのおかげか、スリの未遂は何度かあっても、実際に盗まれたことはありません」

 フランスで暮らしてきたからこそ、複雑な思いもある。多くの報道では「高校生を中心にした抗議デモ」とされているが、実情を目にした投稿者は「これが高校生デモなのでしょうかね?」などと率直な考えを書きつづっている。そして、暴動を起こした人々が訴える生きづらさにも理解を示しつつ、破壊行為は容認できないと語る。

「メディアの情報をうのみにしたり、自分と同じ意見の人とだけ話したりするのではなく、他の考え方も知ろうとする姿勢が大事だと思います。その上で、デモを隠れみのにした破壊行為は許さないと言い続ける必要があります」

 最後に、投稿者はフランスについて、「私は日本人として認めてもらいながら、フランスに溶け込めています。無理にフランス人風にならなくても『ありのままの私』でいられる。日本にいた時でさえ、この感覚はありませんでした」とした上で、「フランスが本来のよさを失わず、この先、正しい選択ができる未来を願っています」と語った。

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