【DEEP】小笠原孝成がプロMMAデビューで1R・一本負け 父は元中日・小笠原孝氏、涙ながらに語った格闘技に懸ける理由
元中日ドラゴンズの投手・小笠原孝氏を父に持つ孝成が、6日に開催された格闘技イベント「SOUMEI Presents DEEP TOKYO IMPACT 2026 4th ROUND」(東京・ニューピアホール)でプロMMAデビューを果たした。バンタム級で尚太郎(Roys GYM)と対戦し、1R・一本負け。試合後、涙ながらに自ら選んだ格闘技への熱い思いを明かした。

コンディション万全も「飲み込まれました」
元中日ドラゴンズの投手・小笠原孝氏を父に持つ孝成が、6日に開催された格闘技イベント「SOUMEI Presents DEEP TOKYO IMPACT 2026 4th ROUND」(東京・ニューピアホール)でプロMMAデビューを果たした。バンタム級で尚太郎(Roys GYM)と対戦し、1R・一本負け。試合後、涙ながらに自ら選んだ格闘技への熱い思いを明かした。
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ほろ苦いプロデビューだった。小笠原は開始早々にパンチを当て、勢いにのった。ケージ際での差し合いからうまく相手をテイクダウン。このまま試合を優位に進めるかと思えたが、グラウンドで尚太郎にうまく返され、バックポジションを奪われてしまう。リアネイキッドチョークを狙われ、はがそうとしたが、そのままきつく締まっていき、一本負けを喫した。
5週間で74キロから61キロへの過酷な減量を成功させ、「息切れも全然しないし、動けるなという感覚があった」とコンディションは万全だった。グラップリングに力を入れているというジムで寝技の強者たちに揉まれ、エスケープにも絶対の自信を持っていた。それでも、プロのケージは甘くなかった。
「組みにも自信があったんで、焦りはなかったんです。ただ試合だといきなり取りに来るというか……自分が気を抜いていた部分で持っていかれた。相手の方が試合勘を持っていたし、試合特有の一気に持っていく部分に飲み込まれましたね。あの展開も想定内ではあったんですけど、あそこで取られたというのはすごい悔しいです」
完璧な準備をして臨んだデビュー戦で1R・一本負け。しかし、試合後に口にしたのは、絶望ではなかった。
「初戦は負けちゃいましたけど、自分の人生、そんな簡単にうまく進んできた人生じゃないので。これに人生かけたいし、覚悟を持ってやっていきたい。だからこそ、簡単に心が折れるとか、辞めるとか、そういうのは頭にもう一ミリもないですね。自分がここまで来れたって感じるところまでは、諦めずにやります」
ここまで強い覚悟を持っているのには、明確な理由がある。父でプロ野球・中日ドラゴンズで活躍した投手・小笠原孝氏の存在だ。「物心ついた時から、宿命かのように」野球を始め、19歳まで続けた。キャッチャーやピッチャーもこなし、一生懸命にやってきたが、花開かず。常に「プロ野球選手の父」というプレッシャーがつきまとった。
「野球でうまくいったら『ま、お父さん野球選手だしね』と言われ、うまくいかなかったら『お父さん野球選手なのになんで?』みたいな声が聞こえてくる。比べられているのが悔しいけど、結果を出して言い返せない自分がずっといました」
涙を流し、当時を振り返る。そんな日々の中で、心の支えとなっていたのが格闘技だった。中学生の頃から大みそかRIZINを見るのが好き。「もう野球で俺は人生終わるんだろうなと思っていました。来世、自分に記憶が残っていたらやれたらいいな」と憧れを抱いていた。
運命を変えたのは、2021年の大みそかだった。“キングカズ”三浦知良の次男・三浦孝太がデビューし、KO勝利を飾る姿を目の当たりにしたのだ。「偉大な父」がいる三浦が格闘技の舞台で輝きを放つ姿は、いまでも鮮明に記憶に残っている。
「お父さんがサッカー選手で偉大な人なのに、格闘家としてデビューしてKOする姿を見て『あ、こういう世界あるんだ。こういうの良いんだ』って。それでしかないですね。自分が格闘技をやろうと思ったのは」
プロの世界の厳しさを誰よりも知る父が、簡単に首を縦に振るはずもなかった。
「おやじに頭を下げて『俺、野球じゃなくて格闘技やらせてください』と言いました。当然『お前野球やってるし、俺も野球を職業でやってるんだから、大学でも野球頑張れよ』と反対もくらいました」
物心ついたときから野球。それでも今回は譲れなかった。口で「やりたい」と言うだけでなく、野球を続けながら格闘技ジムに通い続け、行動で見せ、認めさせた。
勢いで飛び込んだ格闘技。当初は「続けれるのかな」という思いもあった。ここを踏ん張れたのは、悔しい思いをしながら続けてきた野球があったから。
「高校時代、厳しい寮に入って3年間野球をやって、先輩に言われたりして、揉まれたりしながらも続ける忍耐力を学びました。今日も、野球関係や地元の人が見に来てくれた。自分は野球をやっていなかったらここにも立てていない。野球をやっていてよかった、野球をやっていたから今の自分があると思っています」
エリート街道を歩めず、常に比較される苦しみを味わってきた小笠原はいま、格闘技で何者かになろうとしている。
「デビュー戦なので、かっこつけた試合をしたかったですけど、不甲斐ない結果になってしまって申し訳ないという気持ちです。でも、まだ俺のことを応援してくれる人がいるんであれば、ここで終わるわけない。たぶん自分って、そんな簡単にうまく行くような人生にはできてないと思うんで」
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