“文化系プロレス”が“王道プロレス”に敗退――若き逸材の再起に期待

DDTが誇る「THE FUTURE(未来)」竹下幸之介が「王道」秋山準の軍門に下った。

間違いだったのか……焦燥しきった竹下【撮影:柴田惣一】
間違いだったのか……焦燥しきった竹下【撮影:柴田惣一】

敗れた竹下「間違っていた、なんて思いたくないけど……間違っていたのかな」

 DDTが誇る「THE FUTURE(未来)」竹下幸之介が「王道」秋山準の軍門に下った。

 DDTの11・3東京・大田区総合体育館大会。全日本プロレスからレンタル移籍中の秋山に「DDTの門番」として、一騎打ちに臨んだ竹下。51歳の秋山に対して竹下は25歳。世代闘争に加えて、竹下はDDTの最高峰王座「KO-D無差別級ベルト」を4度も戴冠し、連続最多防衛記録V11も保持した男。「DDTvs王道・全日本」の構図は避けられなかった。

 世代こそ違えども、2人とも若くして闘いの最前線に躍り出た逸材。秋山は「馬場さんの最後の弟子」で、竹下の身体能力・ポテンシャルは日本マット界でも指折り。

 秋山は「馬場さんの王道に俺なりのプラス・アルファを加えた『本道』」と28年のキャリアを表現。馬場さんの教えに、四天王(三沢光晴、川田利明、田上明、小橋建太)との激闘で培ったファイトスタイルで、さまざまな闘いの歴史を紡いできた。

 竹下は幼いころからプロレスラーに憧れ、高校生の時にデビュー。恵まれた体格、運動能力で頭角を現し、19歳の誕生日に初めてKO-D無差別級王者となっている。

 注目の大一番は、秋山の厳しくエグい冷徹な攻めが目立つ試合だった。「木っ端みじんに叩かないといけない」と試合前の言葉通りの、いやそれ以上の闘いっぷりだった。

 秋山はノアで「スターネス」というユニットを結成していた。スターネスとは「冷徹」「厳格」という意味で、秋山を的確に現したもの。いつもスターネスな秋山だが、この日は特に秋山のスターネスぶりが際立っていた。

 25分を超える激闘の末、秋山がフロント・ネックロックで竹下からギブアップ勝ち。秋山は「時間がかかったら、アイツのほうが有利かな、と思ったけど、大丈夫だった。やはり昔取った杵柄はあった。竹下はいい選手だけど、経験が足りない。今の技でももっと気持ちを込めてきたら、また違うだろうけど。試合でも俺をリードできるようになったら、彼の勝ちだよ。まだオレがリードしているから」と、余裕たっぷりに竹下の課題を鋭く指摘した。

 敗戦後、リング上で大の字となりしばし放心状態だった竹下。セコンドの肩を借り引き揚げてきた。「僕がやってきたこと、信じて歩いてきた道は、正解じゃなかったかもしれない。間違っていた、なんて思いたくないけど……間違っていたのかな」と、憔悴しきった表情で絞り出すのがやっとだった。

次のページへ (2/3) 新たな戦場で輝く秋山「本当のDDT、本当はどうなのか」
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