玄理、イ・ドンウクとの撮影秘話「すごくジェントル」 5kg増で挑んだ初アクション「またやりたい」
俳優の玄理が、ディズニープラス「スター」で独占配信中の韓国オリジナルドラマシリーズ『殺し屋たちの店2』で、本格アクションに初挑戦した。世界的な殺し屋組織「バビロン」のチームリーダー・Qを演じるため、入念なトレーニングを重ねたという。その撮影の舞台裏に迫った。

殺し屋組織「バビロン」のチームリーダー・Qを熱演
俳優の玄理が、ディズニープラス「スター」で独占配信中の韓国オリジナルドラマシリーズ『殺し屋たちの店2』で、本格アクションに初挑戦した。世界的な殺し屋組織「バビロン」のチームリーダー・Qを演じるため、入念なトレーニングを重ねたという。その撮影の舞台裏に迫った。(取材・文=猪俣創平)
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本作は、「ニューヨーク・タイムズ」の「2024年ベスト・インターナショナル・ショー」にアジア作品で唯一選出された『殺し屋たちの店』の続編。シーズン1では、保護者だった亡きおじ・ジンマン(イ・ドンウク)が残した殺し屋たち御用達の武器販売店「マーダーヘルプ」を譲り受けた大学生のチョン・ジアン(キム・ヘジュン)が、謎の殺し屋たちから自らの命と店を守るため、極限の戦いを繰り広げるサバイバル・サスペンスとして描かれた。
玄理は今回のシーズン2で、ジアンらと敵対する「バビロン」東アジア支部の傭兵チームリーダー・Qを演じる。本作のオファーを受けた当時について、「ぜひやりたい」と並々ならぬ思いがあったと振り返る。
「アクションは今までやったことのないジャンルで、『いつかやってみたい』と思っていた中、この作品のオファーをいただきました。キャスティングが決まって監督たちとお会いしたのが2024年の12月18日、ちょうど私の誕生日だったんです。今でもよく覚えていますが、そこで『アクションの稽古を来週からやろう』と動き出しました」
初めての本格アクション。準備期間には日本での舞台出演も控えていたが、その合間を縫ってトレーニングを重ねたという。
「25年の春は舞台への出演が決まっていたので、舞台の稽古がない日は日帰りで韓国へ行って練習しました。逆に、韓国のアクションチームの方たちが日本に来てくださることもありましたし、地方公演の合間の3日間で稽古をしたこともありました。舞台が終わってからは韓国に行って、月・水・金はアクション練習、火・木は射撃練習、月曜から土曜は空いている時間で毎日ジム通いという生活でした」
その成果もあり、本編では初めてとは思えないほど、キレのあるアクロバティックな“殺し屋”ぶりが光る。
「監督からは、大きな男たちを率いる女性リーダーとしての説得力がほしい、なるべくうそを減らしたいと言われました。私がもともと細身なのを監督が心配していたので役のために筋肉を中心に5キロぐらい体重を増やしました」と、肉体改造も敢行した。
そして、積み重ねてきた訓練が最初に試されたのが、第3話序盤の暗殺シーンだ。Qがロシア人男性を相手に、トイレという狭い空間で激しい攻防を繰り広げる。玄理にとって、それが人生で初めて臨むアクション撮影だったとし、興奮気味に振り返った。
「これまでの人生で、今までの人生で自分より大きい男性をぶっ飛ばす、なんてことがなかったからか、すごくアドレナリンが出てしまって(笑)。稽古が終わっても興奮が冷めず、次の日は撮影なのに一睡もできないまま朝を迎えて現場に行きました。それでも撮影は楽しかったですし、翌日も筋肉痛がなかったんですよ」
初日の撮影を終えた後、アクション監督からかけられた言葉も忘れられない。
「『お前はもう川を渡ってしまった。向こう岸には戻れない』と言われたのが、すごく印象に残っています。やってみて初めて、アクション作品でしか得られないアドレナリンや興奮があると分かりました。すごく大変でしたけど、もう一度やるかと聞かれたら、またやりたいと思います」

イ・ドンウクとぶつかる→回転シーンの舞台裏
劇中でQと行動を共にする弟・Jを演じたのは、本作で韓国作品デビューとなった岡田将生だ。きょうだい役とあって、「私には実際に弟がいて、役へ入りやすかったです」と自然と距離感をつかめたという。
そんな岡田もまた、本作がアクション初挑戦。“弟”をどのように見たのだろうか。
「岡田さんは、すごく飲み込みが早いと褒められていました。アクション監督はめったに人を褒めないのですが、『すごく運動神経がいい』『飲み込みが早い』と何度も言っていました。岡田さんがアクションをされるイメージはなかったので、『やっぱりポテンシャルが高い人なんだな』と改めて感じました」
第3話では、Qとジンマンの出会いが描かれた。Qがウェイトレスに扮(ふん)して人質救出に挑む中、ジンマンとぶつかり、そのまま抱きかかえられる場面だ。実は当日になって演出が変更されたと、撮影秘話を明かした。
「台本では、Qがジンマンとぶつかって、ただ抱えられる流れだったんです。でも、アクション監督が当日の朝にひらめいたみたいで、『抱きかかえながら回転しよう!』となりました(笑)。回るにも準備が必要ですし、私たちだけではなくカメラも一緒に回らなければいけません。午前中を全部リハーサルに費やして、回転できる装備を急いで準備し、午後の撮影に備えました」
ハイスピードカメラで撮影するため、2人がわずかでもフレームを外れてしまえば成立しない。難度の高い撮影で頼りになったのが、ジンマンを演じるドンウクだった。
「イ・ドンウクさんがとても経験豊富なので、すごく落ち着いて対処してくれました。どちらかと言えば、彼が私を抱えながらコントロールする側だったので、すごく上手にリードしてくださって、とても頼もしかったです。お互いに『難しいね』と言いながら撮っていました(笑)。ドンウクさんも『今までやってきたどのシーンよりも難しい』とおっしゃっていましたが、毎テイク、『けがをしていないか』『大丈夫か』と気遣ってくださって、すごくジェントルでした」
シーズン1では明かされなかったQとジンマンの過去も、物語を大きく動かすカギになる。
「2人が実は昔に出会っていたことが、第3話の冒頭で明かされます。シーズン1でジンマンが命を狙われたのは、彼も元バビロンの殺し屋だったからです。そのバビロンにスカウトしたのが実はQだったという話も出てきます。シーズン1でも明かされなかったQとジンマンの関係性は一つの見どころですし、あの2人がどうなっていくのか、ぜひ注目していただきたいです」
初めて足を踏み入れたアクションの世界で、玄理は肉体も感覚も大きく塗り替えた。渡った川の向こうで、俳優として新たな“武器”を手にした。
□玄理(ひょんり)1986年12月18日、東京都出身。日本語・英語・韓国語のトリリンガル。中学時代にイギリスへ短期留学し、大学在学中には韓国へ留学、現地の演技学校にも通う。2014年の主演映画『水の声を聞く』で第29回高崎映画祭最優秀新進女優賞、2017年にソウル国際ドラマアワードにてアジアスタープライズをそれぞれ受賞した。近年の出演作はNetflixシリーズ『今際の国のアリス season3』(2025年)、Netflixシリーズ『恋の通訳、できますか?』(26年)、NHK連続テレビ小説『風、薫る』(26年)など。
猪俣創平
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