京大→外資銀からポーカーの道へ「仕事が嫌で…」 世界2連覇“ポーカー女王”岡本詩菜が明かす華麗な転身の裏側

錚々たる実績を誇る国内のトップポーカープレーヤーが集結する『ABEMA POKER INVITATIONAL』。そのシーズン2が25日午後10時から配信がスタート。優勝賞金1000万円というビッグイベントにディフェンディングチャンピオンとして臨むのが京都大卒の岡本詩菜だ。世界最高峰のポーカーイベント「World Series of Poker」(WSOP)の「Ladies Championship」で2年連続優勝。日本人初の快挙を成し遂げた岡本をインタビュー。その独自の哲学に迫った。

世界2連覇の女王・岡本詩菜が明かす独自の哲学【写真:増田美咲】
世界2連覇の女王・岡本詩菜が明かす独自の哲学【写真:増田美咲】

「二連覇は運半分」王者が語るプレッシャーを排除する独自の勝負論

 錚々たる実績を誇る国内のトップポーカープレーヤーが集結する『ABEMA POKER INVITATIONAL』。そのシーズン2が25日午後10時から配信がスタート。優勝賞金1000万円というビッグイベントにディフェンディングチャンピオンとして臨むのが京都大卒の岡本詩菜だ。世界最高峰のポーカーイベント「World Series of Poker」(WSOP)の「Ladies Championship」で2年連続優勝。日本人初の快挙を成し遂げた岡本をインタビュー。その独自の哲学に迫った。(取材・文=角野敬介)


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 ディフェンディングチャンピオンとして臨む岡本。周囲は連覇を期待するが、本人は驚くほど冷静だ。

「WSOPの時もそうでしたが、ポーカーは運の要素もあるのでプレッシャーは感じないようにしています」

 もしスキルだけで決まるならプレッシャーも感じるだろうが、ポーカーとはそれだけでは決まらないことを知っている。「『ポーカーに真摯でありたい』からこそ、優勝できるか分からないものに対してプレッシャーは感じるべきではないと思ってます」という言葉には、勝負の不確実性を愛する岡本の哲学が滲む。

 番組上では「絶対に連覇します」と口にするものの、内実はもっとフラットだ。「運が悪くて勝てなかったことに対しては、正直そんなに悔しいとは思っていないんです」。プロ同士の戦いでは、GTO(理論上の最適な戦略)を超えた「人へのアジャスト」が最大の魅力。「積み上げてきた実力半分、運半分」と割り切り、最高峰の心理戦を純粋に楽しもうとしている。

岡本がポーカーを通して感じた「人生の不条理さ」とは【写真:増田美咲】
岡本がポーカーを通して感じた「人生の不条理さ」とは【写真:増田美咲】

「京大・外資銀の肩書きに未練なし」エリート街道を捨てた意外な本音と決断

 京大工学部を卒業し、外資系投資銀行で約10年間勤務。安定した高収入、誰もが羨むキャリアを捨てた岡本だが、そこにあった決意は悲壮なものではなかった。

「ポーカーで食べていこうと思ったわけではなく、会社に不満はなかったけど仕事というものが嫌で辞めたくて。ポーカーで遊びたい、という気持ちでした」と意外な本音を明かす。10年働いたのだから一度くらい遊んでも許されるだろう、という軽やかな感覚だ。世間では「勝算があったから辞めた」と思われがちだが、本人は否定する。

「ポーカーで稼げる手応えなんて全くなかったです。稼げなかったら1、2年で再就職しようと思っていました」

 岡本にとってポーカーはあくまで「ハマれる遊び」であり、仕事の“代替品”ではなかった。「稼げるなという感覚がついたのは、実際に優勝してメディアやスポンサーの注目が大きくなってから」。高額な賞金の使い道についても「下振れた時の埋め合わせに取っておくだけ」と極めて現実的で、地に足の着いたプロの姿勢を貫いている。

「A判定で落ちる不条理」連覇の歓喜と同時に人生の不条理さを痛感

 世界最高峰の大会WSOPで連覇。世界的に誰もが認めるポーカープレーヤーとなったが、偉業を成し遂げた瞬間、岡本が抱いたのは喜びではなく「人生の不条理さ」だった。

「相当ラッキーがないと、どれだけスキルがあってもできないことをした。これだけラッキーな人がいるということは、超アンラッキーな人も世の中にいて、実力があるのに能力がないと思われて死んでいく人がいっぱいいるんじゃないか」と勝負の世界の残酷な側面を吐露する。

 これを大学受験に例え、「模試でA判定(合格率80%)が出ていても2回落ちたら、その人は能力がない人だと思われてしまうことのほうが多い。人生ではそれがアンラッキーでは済まされないことが起こりうる」と、ポーカーを通して人生の不条理さを鋭く分析する。

 勝者として脚光を浴びる裏で、運に見放された才能たちが埋もれていく不条理。その「世の中の怖さ」を知っているからこそ、勝って奢ることなく、常に「強くあり続けたい」という渇望を抱き続けている。

「日本人はメンタルが弱い?」世界を制した女王が説く、メンタルと理論の重要性

 海外でのプレイ経験も豊富な岡本に海外プレイヤーと日本人プレイヤーの違いを問うと、言葉を選びつつ、日本人は「ティルトしやすい」と分析した。

 ティルトとは合理的な判断をできなくなり、感情的な行動をしてしまう状態のこと。

「自己肯定感が低い環境で育っている日本人は、メンタルが不安定でティルトしやすい」と鋭い指摘。だからこそ、彼女は「自分はこれだけ勉強した」という自負によるメンタルの安定を重視する。

 会社を辞めた直後は、1日8時間を座学に費やした。「勉強することが遊びの一環だった」と語る岡本は、センスよりも「理論(GTO)」の徹底を勧める。

 さらに、ライブ対局特有の戦略として「相手から自分がどう見られているか」というイメージ戦略を挙げる。「アグレッシブだと思われていることが分かれば、それを利用してアジャストできる」。性格を変えるほどにメンタルを律し、睡眠や食事まで管理して100%のコンディションを保つ。「初心者でない限り、1か月座学をしても伸びるスキルは数%。しかしコンディション次第でプレイは50%も変わりうる」という言葉に、女王の勝負哲学が凝縮されている。

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