アントニオ猪木氏、プラズマを使って地球まるごときれいに 描いた壮大な野望

“燃える闘魂”アントニオ猪木氏が31日、横浜市内で水プラズマの公開実験を行う。77歳の喜寿を迎えた猪木氏が、メラメラと情熱を燃やすプラズマとは、いったい何なのか。そして、猪木氏の描くゴールとは? 心境を聞いた。

“燃える闘魂”アントニオ猪木氏【写真:ENCOUNT編集部】
“燃える闘魂”アントニオ猪木氏【写真:ENCOUNT編集部】

「人が住めば、そこにゴミがたまる」

“燃える闘魂”アントニオ猪木氏が31日、横浜市内で水プラズマの公開実験を行う。77歳の喜寿を迎えた猪木氏が、メラメラと情熱を燃やすプラズマとは、いったい何なのか。そして、猪木氏の描くゴールとは? 心境を聞いた。

 プラズマとは、最大2万度の高温で、金属などを瞬時に蒸発させる技術全般のことを指す。猪木氏は昨年6月、テレビ番組で偶然、プラズマのことを知り、すぐに出演していた九州大学の渡辺隆行教授に連絡。実用化に向けて協力を打診した。プラズマを使えば、地球規模で問題になっているゴミ問題をまとめて解消できると意気込んでいる。

 猪木氏「コロナが通り過ぎて、次来るのはゴミ問題ですよ。地球に住めない状態になっているということを我々日本人は知らない。だけど、一歩(外に)出てみてください。ときどき映像でやるけど、映像で見るだけで実感はないですよね」

 不法投棄のゴミの山、悪臭漂う河川、海洋ごみの汚染……、日本のようにクリーンな国はまだまだ少ない。プラズマは例えば、鉄パイプなら、ものの数秒で蒸発させてしまう。ゴミを海に埋め立てたり、燃焼させて有毒ガスを発生させる心配もない。実用化されれば、焼却炉が不要になるかもしれない画期的なものだ。

 猪木氏「いろんな人が環境問題ってひと口に言うけど、いっぱいある。水の汚染から、ゴミから、大気汚染も含めて。俺もいろんなところに行った。難民キャンプとか、(パキスタンの)ペシャワールとか、いろんなところのゴミも見てきた。人が住めば、そこにゴミがたまる。それはしょうがない。プラズマがもっと実用化しなければ。こういうことができましたよ、すごいでしょ、鉄のパイプが溶けちゃうんですよ。そんなことは通り越して、実行に移していく」

 一般ゴミだけではなく、新型コロナウイルスの対応により、新たに問題化している医療廃棄物の処理もこれなら担えると考えている。プラズマは移動式のトラックに積んでいる。それを病院に横づけし、患者の治療に使った防護服やフェースシールド、マスク、グローブ、注射針、検査キットなどをその場で処理することができれば、これほど効率的なものはないだろう。

「一番は医療廃棄物。すごい量でしょ。防護服を着て、1回1回取り替えて。こんなの言い方を変えれば簡単ですよね。シャッと消えちゃう。病院に置けば。そんな大きいスペースはいらないですよ。それこそ、何十坪あれば。分かりやすく言えば、医療廃棄物をそこで処理する。移動させないでね。一瞬でしょう。1万、1万5000、2万度ですから」

 もともと、猪木氏は環境問題に取り組んできた。2003年には、ブラジル・アマゾン川で熱帯雨林保護を訴える格闘技イベントを開催。パラオでは、温暖化で減少しているサンゴの保護活動にも携わっている。プロレスラーや政治家として世界各地を飛び回り、悲惨なゴミの現状を目撃してきた。

 猪木氏「私の役割はなんだっていったら、告知して、もっと波紋を広げること。この発想はなかなか理解しにくい人もいる。パフォーマンスじゃないかとか。そうじゃなくて、知ってもらうことが大事。YouTubeでも流してるので、世界でも結構すごい人が興味を持って『もっと資料がほしい』とか連絡も来てたりしている。コロナで足踏みした状態から、いよいよこれから踏み出すよ、というのが今の現状」

 公開実験では共同プロジェクトを進める株式会社Helixのプラズマ実験トラック(INOKI Lab 号)を使用。トラック1台あたり2~3億円のコストがかかり、量産できるかどうかが今後の課題だ。現状は2~3台にとどまっている。

 猪木氏「何万台あったって足りない。世界中のゴミがある。値段もあるような、ないような話。増産するしかない。早く生産体制に入って、もっと安価でね。とにかく世界に早く普及しなければ意味がないよと」

 燃える闘魂の野望は果てしない。

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