桜井日奈子、パブリックイメージを「裏切り続けたい」 30代目前での清純派からの脱却

俳優の桜井日奈子が、映画『死神バーバー』(6月26日公開)で主演を務める。主演映画は『殺さない彼と死なない彼女』(2019年)以来7年ぶり。桜井が演じるのは、新米死神のミスから余命数日となってしまう主人公だ。本作に限らず、近年は振り切った役柄にも挑み、表現の幅を広げている。「イメージはどんどん壊していくもの」と話す彼女が、主演作への思いや、30代に向けた展望を語った。

インタビューに応じた桜井日奈子【写真:高田啓矢】
インタビューに応じた桜井日奈子【写真:高田啓矢】

7年ぶり主演映画『死神バーバー』へ懸ける思い「気持ちに応えられるよう」

 俳優の桜井日奈子が、映画『死神バーバー』(6月26日公開)で主演を務める。主演映画は『殺さない彼と死なない彼女』(2019年)以来7年ぶり。桜井が演じるのは、新米死神のミスから余命数日となってしまう主人公だ。本作に限らず、近年は振り切った役柄にも挑み、表現の幅を広げている。「イメージはどんどん壊していくもの」と話す彼女が、主演作への思いや、30代に向けた展望を語った。(取材・文=堀タツヤ)

――主演映画は『殺さない彼と死なない彼女』以来でしたが、オファーを受けたときの心境はいかがでしたか。

「主演映画が久しぶりだったので、『やってやるぞ』という気持ちでした。今回キャスティングしていただいたのは、2年前に出演した舞台『138億年未満』を観に来てくださったことがきっかけだったんです。一緒に仕事をしたい、とオファーをくださった気持ちに応えられるよう頑張りたいと思いました」

――本作は、人との「別れや死」をテーマに描いたオリジナルストーリーです。

「別れや死を扱っているので、重たい話になりそうなのに、ポップで温かいんですよね。観たあとに、大切な人をもっと大切にしようと思えるような、前向きな気持ちになれる作品です」

――桜井さんが演じた美帆は、どんな人物だと捉えましたか。

「不器用な人だなと思いました。職場でもプライベートでもうまくいかずに、一生懸命強がるんですけど、本当は自分の弱いところを見せられないという弱さがある。だからイライラしてしまったり、人に当たってしまったりするんだなって。本当は人間関係をもっと上手に築けるはずなのに、自分の弱さを隠すために、強がってしまう。そんな子なのかなと思いました」

――いまおかしんじ監督の演出は独特だったそうですね。

「一見、何の脈絡もないような動きをつけるんです。『大声を出してみて』とか『変な動きを入れてみて』とか。最初は、役の整合性が崩れるんじゃないかと不安になることもありました。でも、顔合わせの時に監督が『どんなふうに演じても、ちゃんと作品にするから大丈夫』と言ってくださっていたので、安心感はありました。実際に完成した作品を見ると、ひとつひとつの動きが美帆の強がりに見えたり、素直になれない気持ちの表現になっているんです。全てに意味があったんだと分かりました」

――人の「別れや死」と同時に、人との「出会い」や「つながり」も描かれているように感じました。

「この仕事を始めて12年目になるんですけど、最近は、前に現場でご一緒した方と再会することがよくあるんです。お互いが成長した姿でまた再会して、そういう出会いがあると、『頑張ってきてよかったな』と思います。この仕事って、つながりの連続だと思うんです。逆につながらなければ終わってしまう仕事でもあります。だから映画でもドラマでも舞台でも、どの現場でも必ず思うのは、“次につながるように”ということです。今回の『死神バーバー』に出会えたのも、舞台からのつながりでした。いいご縁がつながったと思いますし、この作品がまた次につながればいいなと思っています」

30代に向けてチャレンジしたいこととは【写真:高田啓矢】
30代に向けてチャレンジしたいこととは【写真:高田啓矢】

バラエティーにも全力投球「面白い役者だと思われたい」

――最近の作品では、桜井さんの演技の幅が広がっているように感じていて。テレビ朝日系ドラマ『余命3ヶ月のサレ夫』でも、かなり振り切った演技を見せていましたよね。

「今までは、健気でおとなしい役だったりすることが多かったんですけど、最近はいただける役の幅が広がっていて、すごくうれしいです。やりがいのある役を任せてもらえるようになってきたこともそうですし、実際に私のお芝居を見て、オファーをいただけるのは、本当にうれしくて。信じていただけて重要な役を任せていただいているなら、その気持ちに応えたいと思っています。初めて挑むような役だと、『イメージが壊れたらどうしよう』という不安はもちろんあります。でも、私は役者である限り、イメージはどんどん壊していくものだと思うんです。だから、自分のパブリックイメージというものがあるなら、それをいい意味で裏切り続けたいと思っています」

――そういう思いは以前からあったのでしょうか。

「ありました。どんな役でも面白く演じられる役者に憧れているので、どんな役でもやりたいと思っています」

――現在29歳で、20代最後の年でもありますが、30代に向けてチャレンジしたいことはありますか。

「アスリート役がやりたくて。バスケを13年くらいやっていたこともあって、運動神経には自信があるんです。映画『SAKAMOTO DAYS』では、撮影前にアクションの稽古を4か月くらいやっていました。その期間がすごく楽しくて。役のために身体的に追い込むことが、自分には向いているかもしれないと思ったんです。そうであれば、まだ体が動けるうちに、ストイックに追い込める役をやってみたいなって。今の私なら、どこまでも自分を追い込めると思うんです(笑)」

――5月に放送された『王様のブランチ』(TBS系)では、『SAKAMOTO DAYS』で共演された小手伸也さんとバスケットボールをされていましたが、桜井さんの全力で挑む姿に驚きました。

「あの時は、本当に死にそうなくらい息が上がりました(笑)」

――テレビであんなに息が上がっている女優さんは見たことがありません(笑)。

「そうですよね(笑)。スイッチが入っちゃうんですよね。バスケが好きですし、体を動かすのも好きなので、それを役に落とし込めたらもっと楽しいだろうなと思います。バスケって、男子バスケの物語はあっても、女子バスケの物語ってあまりないと思うんです。だから、どなたか作ってほしいです!」

――桜井さんは、お芝居だけでなく、バラエティー番組でもいつも全力ですね。

「スタジオでニコニコしているだけよりも、自分自身も楽しんで、見ている人に笑ってほしくて。自分がきれいに映ることも重要だとは思います。でもそれよりも、『桜井日奈子って面白い』と思ってもらいたいんです。だから、バラエティーでも前のめりなのかもしれないですね。面白いことが大好きですし、これからもずっと、面白い役者だと思われたいです」

□桜井日奈子(さくらい・ひなこ)1997年4月2日、岡山県出身。2014年「岡山美少女・美人コンテスト」で美少女グランプリを受賞。16年『そして、誰もいなくなった』(日本テレビ系)で連続ドラマ初出演。18年には映画『ママレード・ボーイ』で初主演を飾った。26年はヒロインを務める『余命3ヶ月のサレ夫』(テレビ朝日系)、映画『SAKAMOTO DAYS』、『ラストノート』(フジテレビ/7月9日スタート)など話題作への出演が続いている。

○『死神バーバー』6月26日公開
桜井日奈子、日穏、岡部大、平井亜門、猪塚健太、工藤遥、宇野祥平、美保純
監督:いまおかしんじ
原案:梅木陽一
脚本:谷口恒平
主題歌:Furui Riho『太陽になれたら』

スタイリスト:有咲
ヘアメイク:Hitomi(Chrysanthemum)

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