「『産んだら自己責任』という風潮がある」 “あと1人”にためらい…1児母の叫び、拭えない不安

「負担ばかり強いられて『産んだら自己責任』で済まされるから『産みたいけど無理…』になるんだよ」――。2022年に生まれた赤ちゃんの数(出生数)が79万9728人で、統計開始以来初めて80万人割れとなったことが大きな話題を集める中で、1児の母によるツイートが反響を呼んでいる。少子化に歯止めがかからない厳しい現実があり、より確実な子育て支援は急務だ。一方で、不景気・物価高といった経済問題や世界情勢など、将来への不安感は拭えない。投稿者の杏さんに切実な思いを聞いた。

より確実な子育て支援は待ったなしだ(写真はイメージ)【写真:写真AC】
より確実な子育て支援は待ったなしだ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

2022年の年間出生数が初の80万人割れ どうすれば子育てしやすい社会を実現?

「負担ばかり強いられて『産んだら自己責任』で済まされるから『産みたいけど無理…』になるんだよ」――。2022年に生まれた赤ちゃんの数(出生数)が79万9728人で、統計開始以来初めて80万人割れとなったことが大きな話題を集める中で、1児の母によるツイートが反響を呼んでいる。少子化に歯止めがかからない厳しい現実があり、より確実な子育て支援は急務だ。一方で、不景気・物価高といった経済問題や世界情勢など、将来への不安感は拭えない。投稿者の杏さんに切実な思いを聞いた。

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「出生数が初の80万人割れで『若い世代が子どもを産まないから』って言うのは簡単だけど、生活が安定してて、教育費の心配がなくて、老後も保証されてるなら『あと1人2人産みたい』って層は確実にいるよ。負担ばかり強いられて『産んだら自己責任』で済まされるから『産みたいけど無理…』になるんだよ」

 出生数80万人割れのニュースが駆け巡った2月28日、杏さんは率直な思いをツイートした。4400件以上のリツイート、2.2万件超のいいねが集まっている。

 杏さんは「子育て世代が一番『それはそうだろう』と感じていると思います。実際にリプライや引用リツイートでも共感の声は多くありました。国の子育て支援が見当違いだと思っている人もたくさんいるのではないでしょうか」と、反響の受け止めについて明かす。

 ネット上では実際に、「私も年齢的にはまだまだ産めますし欲しい気持ちもありますが、金銭的な事とこの国の未来を考えるとこれ以上はやめておこうかな…っていう気になります」「本当にそれです。大学費用のことを考えなければ、あと一人産みたいです‥」「産みたくても育てるお金が無いから産めないだけ。国は察してあげなきゃね」といった声が寄せられている。

 1児を育てる杏さん自身、“あと1人”を考えると、ちゅうちょしてしまうという。「本当はあと1人2人欲しいと思ったときに『将来への不安』が拭えません。『産めばなんとかなる』と言う人もいますが、十分な教育や経験、私立でも留学でも進路選択の自由を与えたいと思うと、経済的な余裕は必要です」。楽観的に考えることは難しいとのことだ。

 さらに、「再び疫病が流行しても、戦争が起こっても、物価高や増税が続いても、子どもが生涯に関わるけがや病気をしても、それでもなんとかしてあげられる環境でないと、複数人は産めないと思っています」。複雑な思いでいる。

 自身の老後についても深く考えたうえでの意見発信だといい、「『老後は子どもに見てもらえばいい』と言う人もいましたが、私たち夫婦は子どもに迷惑をかけない老後を過ごしたいですし、むしろ子どもが老後に困らない資産を残したいので論外だなと…」との思いを明かした。

 子どもを育てやすい社会実現に向けて、政治が果たす役割は大きい。杏さんは、第2子以降の保育料の完全無料化など手厚い子育て施策で注目を集める兵庫・明石市を引き合いに、「『産んだら自己責任』という風潮がある以上、『じゃあ産まない』となる人が増えるのは必然です。本音を言えば、明石市のような子育て政策を国にしていただきたいです」と、政府に注文を付けた。

「ただ、今同じような政策を打ち出しても『どうせそのうち所得制限がかかる』『子どもが成人するまで維持されるわけない』という不信感もあります。政治家が思っているほど、国民は国の在り方を信用していないのではないでしょうか。その不信感がある限り『じゃあ産もう』という人はすぐには増えないと思います。だからこそ今すぐにでも子育て支援を始めて信頼を積んでいくしかないはずなのですが……」。閉塞感に覆われている子育て世代の切なる思い。国を挙げての子育て支援策の強化は待ったなしだ。

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