劇場版「鬼滅の刃」が社会現象に PG12指定も「涙なしには見られない」成功の理由

数字が証明…驚異の満足度「98.4%」

「アニメの終了後の昨年終わりから、原作コミックの、8巻が品切れになるという不思議な売れ方でした。7、8巻はアニメの終了後あたりで、ちょうど劇場版“無限列車編”のエピソードです。アニメを見たファンが、続きが気になって買い求めたんだと思います」と書店関係者。LiSAの歌う主題歌「紅蓮華」もメガヒットし、年末の紅白歌合戦出場を果たすなどアニメ外の人々にも広く届いた。コロナ禍の今年は配信サイトが加入者を増やす中、最大手のNetflixのベスト10でも常にランキング入りするなど高い支持を集めた。

「無限列車編」は前半部で最も盛り上がりを見せた人気エピソード。炭治郎が夢で惨殺された家族と再会を果たし、夢と現実の間で苦悩。さらには、絶対的な力を持った鬼が登場し、鬼を退治する「鬼殺隊」のリーダー的存在、煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう)が壮絶なバトルを繰り広げるという物語のターニングポイントになっている。

 映画では、多量の血が飛び、鬼の首が飛ぶといった残酷な描写もあり、映倫区分では「PG12」(12歳未満の年少者の観覧には、親又は保護者の助言・指導が必要)となっているが、実際は全年齢が鑑賞可能。小さい子どもを持つ親からは「残酷なシーンが多いのでは」との心配の声もあるが、亡き家族との再会、壮絶なラストは「涙なしには見られない」と評判で、2、3度見たいというファンも少なくない。アニメの大ヒットの鉄則である、コアファンの高いリピート率もクリアできそうだ。

 パソコンと携帯電話を使ったウェブ初日アンケートによると、満足度は、「非常に良かった」84.6%、「良かった」13.8%を合わせて98.4%と非常に高く、さらなるファン獲得も見込める。今後もコロナ禍でライバルとなるハリウッド大作もないことから、シネコンのスクリーン数を減らすこともないだろう。20年は過去最低の興行収入になるのでは、と言われたが、“鬼滅”が映画館の救世主となるのは間違いない。

※煉獄の煉の正式表記は火に東。

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