桜庭和志の「マーケティング」と「観客論」 新イベント「QUINTET」 を立ち上げた理由
チケットは完売! 見たい人は「UFCファイトパス」へ!?
――「QUINTET」にはそういうゲーム性もあるんですよね。
ターザン「ああ、昔(1985年3月26日、東京体育館)、イリミネーションマッチで上田馬之助が前田日明を引きずりこんで、場外に落として両者失格になって面白い展開になったよね(笑)」
桜庭「そんな感じです(笑)」
ターザン「自分が捨て石になってね」
――要は、いかにポイントゲッターを消すかっていう。
桜庭「そこまで選手のレベルも違わないので、5人抜くっていうのはあり得ないんですけど、過去には2人抜いて3人目でドローっていうのもあって、1人で3人消せた試合もありましたからね」
ターザン「そしたら後が楽だねえ。今まで試合をしないで終わった選手もいるの?」
桜庭「ルールでそれができないようにしているんです。例えば1回戦が3人で終わった場合、2回戦(決勝戦)では残りの2人からスタートするっていうルールなので」
ターザン「そういうことなんですね」
桜庭「もし3人で終わってしまって2人が残ったとして。その2人にもファイトマネーを払わないといけないのはおかしいじゃないですか。だからそこもみんなと話して、その2人は次の試合で必ず出すっていうルールにしたんです」
――5人の合計体重も決まっているんですよね?
ターザン「どういうこと?」
桜庭「体重をフリーにすると、100キロ以上の人が並んで、重量級の試合なっちゃうので5人の合計体重が430キロ以下(軽量級は360キロ以下)に決めているんです。それだと平均86キロですかね(軽量級は平均72キロ)」
ターザン「大相撲でもそうだけど、小が大を倒す時が一番興奮するんだよね」
桜庭「はいはいはい(嬉しそうに)」
ターザン「ということは非常にゲーム性があるね」
桜庭「今頃気づいたんですか?」
ターザン「え?」
桜庭「もう2年もやっているんですよ?(笑)」
ターザン「パチパチパチ!」
――山本さん、10月27日には後楽園ホール大会がありますよ?(笑)
ターザン「桜庭さん、僕を招待してくださいよ」
桜庭「いや、実はコロナの関係で会場に入れる数が少ないから、チケットが完売しちゃっているんです」
ターザン「ええーッ! それは間が悪かったなあ!?」
桜庭「でもUFCファイトパスに入会すれば、そっちで配信されますから。10ドルで入れますから(笑)」
――会場ではなく、配信で是非にと(笑)。
桜庭「お願いします(笑)。だけど配信で見るにせよ、寝技って分かりづらいじゃないですか。だからなるべく上からカメラで映すようにして。それをモニターに映すんですけど、最初は試合中に会場に実況解説を流す案もあったんですね」
ターザン「ええ」
桜庭「だけど試合中に解説されると、実際にやっている選手たちの作戦が読まれちゃうからヤメてほしいっていう話になって」
ターザン「なるほど」
桜庭「だから試合後に2分くらい時間を取って、柔術家の中井祐樹審判委員長に映像を会場のモニターに映しながら解説してもらっていて」
ターザン「桜庭さん、いろんなことをプロデューサーの立場から考えていますね。見せ方というか」
桜庭「まあ、ちょっとカラダが使えなくなってきたので(笑)」
ターザン「普通は『やる側』は『やる側』のことしか考えないんだよね」
桜庭「そんなことより山本さん、靴下、派手ですねえ。靴下だけじゃなく、全身も(笑)」
ターザン「これ、全部もらいもの。私が買ったものはゼロですよ。あのー、パンツもプレゼントされたものだから」
――下着まで(笑)。
ターザン「パンツも赤だから全部(と赤パンを見せる)」
――見せないでください(笑)。
ターザン「赤パンツは邪気をはらうらしいよ、邪念を(笑)」
――自分が邪じゃないですか(笑)。
桜庭「そんなことをするから、自分の世界に帰れなくなるんですよ(笑)」
□桜庭和志(さくらば・かずし)1969年7月14日、秋田県出身。中央大学レスリング部出身。92年UWFインターナショナル(Uインター)に入門。「PRIDE」のリングでグレイシー一族を次々と撃破し、「グレイシーハンター」の異名を取る。2014年には「UFC」の殿堂入り。18年春より「QUINTET」を立ち上げ、現在に至る。10月27日には後楽園ホールで今年最初の大会が開催される。