“元総理の孫”でのデビューから15年 宮澤エマ、大河に『国宝』…ドラマ初主演も「まだぺーぺー」

俳優・宮澤エマが、ドラマ初主演のテレビ東京系『産まない女はダメですか? DINKsのトツキトオカ』(月曜午後11時6分)で好演している。タイトルのインパクトもさることながら、「子どもはいらない」と宣言して結婚した夫が、密かに避妊具に穴を……という狂気の行動に出ることで、夫婦関係が崩壊してゆくセンセーショナルなストーリー。宮澤に役作りの苦労や現場の雰囲気、作品を通して感じた結婚観などを聞いた。

大河出演にドラマ初主演。充実の時を迎えた宮澤エマ【写真:高田啓矢】
大河出演にドラマ初主演。充実の時を迎えた宮澤エマ【写真:高田啓矢】

テレ東系連ドラで好演

 俳優・宮澤エマが、ドラマ初主演のテレビ東京系『産まない女はダメですか? DINKsのトツキトオカ』(月曜午後11時6分)で好演している。タイトルのインパクトもさることながら、「子どもはいらない」と宣言して結婚した夫が、密かに避妊具に穴を……という狂気の行動に出ることで、夫婦関係が崩壊してゆくセンセーショナルなストーリー。宮澤に役作りの苦労や現場の雰囲気、作品を通して感じた結婚観などを聞いた。(取材・文=渡邉唯恩)

 宮澤はミュージカル、舞台、NHK連続テレビ小説『おちょやん』、同大河ドラマ『鎌倉殿の13人』などに出演し、着実にキャリアを積んできた。デビュー当時は「宮澤喜一元総理の孫」冠が必ずついたが、もはやそれが不要なほどに知名度は高まった。現在もNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』で主人公の秀長と秀吉の姉・とも役を演じている。その撮影と並行してのドラマ初主演。宮澤は疲れた様子も見せず、笑みを浮かべていた。ただ、声のトーンは終始落ち着いていた。作品テーマの重さも考えてか、質問には飲み込むように確認した後に言葉を選んで答えた。

「最初にお話をいただいた時にはまず題名に驚きました。慎重な気持ちで原作漫画を読み始めたところ、心をえぐられる展開に夢中になり、結末が知りたくて一気に読み進めました。子どもを持つ持たないということに対する意識の違いだったり、それを決断する権利だったりというリアルな問題を丁寧に描いている作品だと認識しました。でも、果たしてこれをドラマとしてどうエンタメ化させていくのか想像もつかなかったのですが、やりがいのあるテーマだなと思いお受けさせていただきました」

『産まない女~』は、北実知あつきの電子漫画『DINKsのトツキトオカ「産まない女」はダメですか?』が原作。フリーの美容師として働く主人公・金沢アサ(宮澤)の夫・金沢哲也(浅香航大)、夫の裏切りに困惑し取り乱してゆくアサのよき理解者となる同僚・緒方誠士を北山宏光が演じている。同作はテレビ東京系「ドラマプレミア23」の枠で放送され、10話以内が定番化した昨今の連ドラでは珍しい全13話だ。

「なかなか聞かない話数ですよね。それを約2か月で撮り終えるため、かなりタイトなスケジュールになっています。撮影は半分くらい進んでいますが(取材時)、1日で台本20ページ分を撮ることもあり、出演者同士で雑談をする余裕もないくらい目まぐるしい毎日です。そんな中、ヘアメイクやセットチェンジの合間に北山さんと好きなアイスクリームやお菓子の話をするのが息抜きになっています。夫役の浅香さんはハードな役柄なので、台本と向き合ってらっしゃる邪魔をしないようにと、お菓子談義は控えてますが(笑)」

 アサは、実母のネグレクトが原因で「自分は母親にならない」と決意。夫となる哲也のプロポーズに戸惑いながらも、「俺も子どもはいらない。君がいればいい」という言葉を信じて結婚を受け入れる。だが、夫はいつしか本音を抑えきれなくなり、避妊具に穴を開けてしまう。

「予期せぬ妊娠で理想的な夫との結婚生活がどんどん崩れ去っていく時に、(2人は)立派なDVの関係性であり、同時に共依存の関係だったことが判明していくのですが、その言葉だけを切り取るとイメージが独り歩きしてしまいます。今回は13話あるので、人と人のぐちゃぐちゃした関係性を解決することの難しさを問うと同時に、自分にもこういう瞬間はあるという気づきも得られるのではないか。そう思っています」

 近年、輝きを増している宮澤は、実写邦画史上最高の興行収入を記録し、日本アカデミー賞を総なめした映画『国宝』にも出演している。これで朝ドラ女優、大河女優に続き、『国宝女優』の肩書がついた。その感想を問うと、はにかみながら答えた。

「いえいえ、そんな(笑)。でも、とても不思議な気持ちです。歌とお芝居が好きで、将来そういう仕事をしたいと思ってこの世界に入った私ですが、やりたい作品もたくさんありますし、出会ってない人の方が多いです。ここ5年ほどは映像作品に多く出させていただいているのですが、映画は5本くらいしか出てないんです。なので、まだまだ私はペーペーの気持ちです」

『国宝』では冒頭の抗争場面で印象的な演技を見せた。主人公・立花喜久雄(吉沢亮)の父親で組長・立花権五郎(永瀬正敏)が命を落とすシーンだ。

「李(相日)監督がこだわり抜いたシーンでしたので、そこに出演できたのは光栄でした。実は台本上では襲撃を受けて、立花マツ役の私はセリフもなく引っ張られて出ていくだけだったのですが、私は『これで最後の別れになるかもしれないのだから、絶対に何か言うはず』と思い、アドリブで『あんた~っ』と叫んだんです。カットされても仕方ないと思っていましたが、監督がカメラマンさんに『あそこは撮らなきゃダメでしょう』と言ってくださり、ちゃんと本編に残っていたんです。それはすごくうれしかったですね」

 振り返ると、早くもデビュー15年が過ぎた。今回のドラマと同様、周りからの「結婚は?」「早く子どもを産まないと」というプレッシャーもあるだろう。

「聞かれることが多くなったなとは思います。ハラスメントとか、そういう文脈じゃなく、シンプルに友人同士で話題になったりとか。でも、ヒロインのアサみたいに孤立するようなことはなく、独身でいることを理解してくれる友人も多いので、ありがたいですね」

「元総理大臣の孫」の枕詞も必要なくなった宮澤エマ【写真:高田啓矢】
「元総理大臣の孫」の枕詞も必要なくなった宮澤エマ【写真:高田啓矢】

こだわりは「一食たりとも無駄にしない」

 宮澤は祖父が元総理大臣で、父は米国の外交官。絵に描いたようなお嬢様育ちと想像してしまうが、それを伝えると「お嬢様だなんて……。普通にズボラですよ」と一笑に付した。

「例えば、靴下は穴が開くまで替えないこともあるし、脱ぎっぱなしの服が散らかってる時もあります。調味料の賞味期限がちょっと切れても全然使います。帰宅してお酒を飲みながら終わりのないSNSの動画を見ながら、『早く寝ろよ』と自分に突っ込んだりしてますから(笑)」

 そんな中でも、食へのこだわりは相当に強いようだ。この回答から声が弾み始めた。

「『一食たりとも無駄にしない』というのがこだわりですね。自分の機嫌は自分で取るじゃないけど、好きなものを食べていきたいからです。現場へ自分でご飯を持っていくなどもしています。そう言うと『丁寧な暮らし……』みたいに聞こえるけど、コンビニのサラダチキンやゆで卵に頼ることもありますよ」

ドラマ初主演で、夫の裏切りに美容師を演じる宮澤エマ【写真:(C)『産まない女はダメですか?』製作委員会】
ドラマ初主演で、夫の裏切りに美容師を演じる宮澤エマ【写真:(C)『産まない女はダメですか?』製作委員会】

 宮澤はデビュー当時から「将来はCDも出したい。そのために歌詞も書き溜めている」と話していた。その夢も一部、叶い始めているという。

「『女優倶楽部』という、私を含めた5人の女優(まりゑ、関谷春子、皆本麻帆、万里紗)によるユニットを組んでいるんです。活動を始めてもうすぐ10年になります。即興芝居をしたり、ライブ活動をしています。実は昨年、配信シングルも出したんですよ。YouTubeもやっていますし、ミュージックビデオも出しているので、ぜひ、ご覧くださいね」

 まさに充実の時。存在感が増すばかりの「ペーペー」だ。

□宮澤エマ(みやざわ・えま) 東京都生まれ。聖心インターナショナルスクール卒業後、米オクシデンタル大に入学。2012年、芸能活動を開始。ミュージカル、舞台出演を重ね、2024年には第49回菊田一夫演劇賞、第31回読売演劇大賞 優秀女優賞を受賞。近年は、映画、連続ドラマなども多数出演。血液型O。

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