中野たむからの「継承技」で王者・上谷沙弥から直接フォール コズエン存亡を背負う玖麗さやかが語る“覚悟”

プロレスによって人生が大きく変わった。そして、デビュー時には今の自分は想像できなかった。キャリア2年4か月、4.26横浜アリーナ大会で団体最高峰王座ワールド・オブ・スターダムへの2度目の挑戦が決まった玖麗さやかだが、王者・上谷沙弥の誘い文句に乗る形で、所属するユニット・コズミックエンジェルズの存亡を懸けてしまった。その玖麗へのインタビュー前編は上谷戦へ至るまでのお話を。

上谷沙弥への思いを語った玖麗さやか【写真:橋場了吾】
上谷沙弥への思いを語った玖麗さやか【写真:橋場了吾】

“シンデレラ優勝者”ではなく“玖麗さやか”個人の挑戦を上谷沙弥に認めさせたかった

 プロレスによって人生が大きく変わった。そして、デビュー時には今の自分は想像できなかった。キャリア2年4か月、4.26横浜アリーナ大会で団体最高峰王座ワールド・オブ・スターダムへの2度目の挑戦が決まった玖麗さやかだが、王者・上谷沙弥の誘い文句に乗る形で、所属するユニット・コズミックエンジェルズの存亡を懸けてしまった。その玖麗へのインタビュー前編は上谷戦へ至るまでのお話を。(取材日/4月1日、取材・文=橋場了吾)

 2023年12月25日、上谷沙弥を相手にデビューした玖麗さやか。その1年4か月後の『Cinderella tournament 2025』で優勝を果たした。2年連続の優勝を目指した今年のトーナメントだったが、昨年決勝で破った吏南の奥の手・リバースゴリースペシャルボムで敗れ、準々決勝でトーナメントを去った。

「めちゃめちゃ悔しいです。『お互い1年間でどれだけ変わったのか』という話を吏南選手もしていたので、今年も同じカードで勝ち抜いて優勝することに意義を感じていたんです。自分も吏南選手のことはすごく意識していますし、自分がデビューしたときには(フューチャー・オブ・スターダムの)チャンピオンとしてNEW BLOODで活躍されていたので、その選手に自分が去年勝って優勝したということで意識してもらえていたのかなと思いますね」

 筆者は3月初旬に行われた記者会見で、玖麗に優勝した暁にはどのような願いを叶えたいかヒントをもらっていた。もちろん、多くの方の想像通り、上谷の持つワールド・オブ・スターダム王座への挑戦だったわけだが、優勝を逃したことで遠のいた感があった。
「(上谷に対する)執着心というか、どうしてもこのタイミングで挑戦したかったということがあります。焦りもあったのかもしれないですね。何が何でも、どんな方法でもこの戦いを実現させたいという気持ちが根底にはありました」

 結果、玖麗は上谷の自伝本お渡し会に乱入するなどリング外でもアピールし続け、最終的には上谷から直接フォールを奪い挑戦を認めさせた。

「2.7大阪で挑戦表明をしたときには、上谷選手からもケチョンケチョンに言われて、お客さんからもいいリアクションはもらえなかったので、逆に燃えたというか実現させてやろうという気持ちになりました。去年は、シンデレラに優勝して赤いベルトへの挑戦が実現しましたけど、今年は“シンデレラ優勝者”というよりも“玖麗さやか”個人の挑戦を、上谷沙弥に認めてもらいたいという気持ちが強かったですね」

上谷からフォールを奪った日の玖麗の入場【写真:(C)スターダム】
上谷からフォールを奪った日の玖麗の入場【写真:(C)スターダム】

“特別な選手”が“特別な選手”を内包しているからこそ自分が奪いたい

 上谷は2024年12月末に赤いベルトを中野たむから奪い、9回の防衛に成功してきた。片や玖麗は、NEW BLOODタッグ王座を戴冠し、GODDESS OF STARDOMで優勝を果たした(ともにパートナーはさくらあや)。

「去年は『挑戦させてください』という気持ちだったんですけど、今年は『絶対勝つ、絶対倒す』という気持ちです。自分でコズエン(コズミックエンジェルズ)を懸けてしまったので、色々なものを自分で背負っていることもあり、去年とは全然違いますね」

 どうしても上谷に挑戦を認めさせたかった玖麗は、所属しているユニット・コズエンの解散を賭けてしまう。自身のベルト挑戦に仲間を巻き込むほど、玖麗は切羽詰まっていた。

「挑戦を認めてもらえないときに、上谷から『大事なものを賭けろ』と言われて悩みに悩んで……やっぱり嘘をつきたくないなと思ったんです。自分が賭けられるものはいろいろあったと思うんですけど、本当に価値のあるもの、赤いベルトに匹敵する価値のあるもの、失いたくないものは何だろうと考えたときにコズエンでした。それで、コズエンが思いついてしまったのに、ほかのものを賭けるというのは“逃げ・嘘”だなと思って。

 これだけの覚悟で赤いベルトに挑戦するというのは、ほかのコズエンのメンバーには話しづらかったというのはありました。だからこそ、コズエンのメンバーも大事な試合がある中、戸惑わせたり困惑させたりして申し訳ないなとは思います。ちょっと様子見のような感じにもなっているので……事前に(ほかのメンバーに)言わなかったことに対して、少し後ろめたさというか申し訳なさみたいなものもあるので、自分からも今までとはちょっと違う雰囲気を出してしまっているのかもしれないですね」

 先述の通り、玖麗は上谷からタッグながら直接フォールを奪った。そのフィニッシャーとなったのが、バイオレットスクリュードライバー。いわずと知れた、中野たむから玖麗に引き継がれた技だ。

「上谷選手は自分にとって特別な思いのある選手です。もちろん、デビュー戦を務めてもらった選手でもありますし、そもそも自分の憧れの選手だったので、デビュー戦の相手に上谷選手をやってほしかったというのもあります。自分がデビューしてから導いてくれた、たむさんのすべてを奪った……自分にとっての“特別な選手”が“特別な選手”を内包しているからこそ、自分が奪いたいという気持ちですね」

(10日配信の後編へ続く)

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