パチンコ業界にもキャッシュレス化の波、依存症対策なるか… 上限額は1日2~3万円?
パチンコ・パチスロ業界にも、昨今のキャッシュレス化の波が押し寄せている。2027年中にはキャッシュレス対応のコインサンドが設置されるホールも出てくるようだ。しかし、導入に向けては、クリアにしておくべき課題もある。長年にわたり専門誌のライターとして活動を続ける濱マモルが、キャッシュレス化がもたらす影響を解説する。

導入するか否かはホールの裁量となる予定
パチンコ・パチスロ業界にも、昨今のキャッシュレス化の波が押し寄せている。2027年中にはキャッシュレス対応のコインサンドが設置されるホールも出てくるようだ。しかし、導入に向けては、クリアにしておくべき課題もある。長年にわたり専門誌のライターとして活動を続ける濱マモルが、キャッシュレス化がもたらす影響を解説する。(文=濱マモル)
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店内に軍艦マーチが鳴り響いていた頃、よく店員さんはマイクで客をあおっていた。「攻略法は粘りと頑張り」。そんなアナウンスを何度も聞いたものだが、昨今のパチンコ・パチスロはとにかく金がかかる。粘るためには、それ相応の財力が必要。仮にそこそこの軍資金があったとしても、コインサンドに何枚もの1万円札が吸い込まれると頑張る気も失せる。
日本遊技関連事業協会(日遊協)は3月13日、定例理事会後の記者会見で、依存症対策を前提とするキャッシュレス化の推進を表明した。アプリを通じて、利用者が遊技金額の上限を決められる仕組みを想定しているとのこと。かつてのCR機とは違って、導入するか否かはホールの任意だそうで、2027年中の導入開始を目指しているという。
一方で、全日本遊技事業協同組合連合会(全日遊連)は3月18日、定例会見で「遊びやすい環境づくりによってファン層を広げることが重要」と発言。日遊協が進めるキャッシュレス化に慎重な姿勢を示した。全日遊連は、現時点で具体的な仕組みや内容が見えないと指摘。新たな設備投資による負担についても懸念した。
ちなみに、日遊協はホール、遊技機メーカー、販社、設備機器メーカーなどが参加する一般社団法人。全日遊連は全国のホール遊技業協同組合を会員とする、内閣総理大臣の認可を受けた連合会だ。
キャッシュレス化によるメリットは、やはり現金がなくても遊技できることだろう。公共交通機関や飲食店など、さまざまな場面で電子マネーが使える昨今、「パチンコ・パチスロを打つ以外で、ほとんど現金には触れない」といったファンの声を度々耳にする。わざわざ現金を用意する手間が省ければ、稼働促進につながる可能性はある。
費やした金額が履歴として残ることも大きい。ヘビーユーザーはコインサンドに1万円を投入した瞬間、“お金”という認識が極度に薄れる。後日、冷静なタイミングで散財の事実を突きつけられるわけだし、たしかに、依存症対策にはなり得るだろう。
キャッシュレスでの上限額は1日2~3万円、月8万円ともうわさされている。月8万円にとどまれば“趣味”の範疇と言えなくもないだろうが、冒頭で述べた通り、昨今のパチンコ・パチスロはとにかく金がかかる。その1日の上限額だとパチンコの羽根モノや甘デジ、パチスロの純ボーナスタイプなら遊べるものの、パチスロコーナーのメインであるAT機を打った場合、大当たりへのチャンスゾーンすら引けないケースもある。それでは他の人にチャンスを与えるだけなのである。
当然、プレイヤーは現金で続行する。となると、上限額を決める意味はあるのか。どちらかの肩を持つというわけではないが、全日遊連が不安視するのもよく分かる。
パチンコが独自の交換システム「三店方式」を採用していることは、前回のコラムで説明した。現状、クレジットカードによる“後払い”を避けるために「デビット方式」での決済が有力とされているが、クレジットカードにひも付けすると、実質、カード会社が規約で禁止する「クレジットカードの現金化」に近い形となる可能性がある。こういったことも考えると、まだまだ解決すべき点は山積みだ。
今後、どのような議論がなされるのか。カウンターの店員さんに1000円札を渡し、1束に包まれた50枚のコインと交換していた時代を知るオールドファンとしても、非常に気になるところだ。
□濱マモル(はま・まもる)フリーライター。1976年2月4日、神奈川県横浜市出身。大学卒業後、レコード会社勤務を経て、2002年に攻略誌「パチスロ必勝ガイド」でライターとしてのキャリアをスタート。パチンコ・パチスロやギャンブル系を中心に、音楽・野球・街情報など、幅広い分野で執筆する。趣味は飲酒、特技は料理。バンドマンとしての顔も持つ。
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