村重マリア&エリカ、葛藤し続けた芸能生活 ロックバンド挑戦で手にした“フラットな目線”
村重マリア(21)と村重エリカ(19)の姉妹によるミクスチャーロックバンド・STRAWDAYがじわじわと存在感を増している。3月17日には“ロックの聖地”東京・下北沢SHELTERでワンマンライブを開催した。チケットは完売。満員のフロアを大いに沸かせた。2人は大手芸能事務所・ワタナベエンターテインメントに所属しながらも、ライブシーンで着実に地力をつけている。数年前までは、“村重杏奈の妹”としてのメディア出演がほとんどだった2人。なぜ、ロックバンドという異色の道を進むことになったのだろうか。2人の思いをひも解いていく。

“ロックの聖地”下北沢SHELTERでのワンマンは完売御礼
村重マリア(21)と村重エリカ(19)の姉妹によるミクスチャーロックバンド・STRAWDAYがじわじわと存在感を増している。3月17日には“ロックの聖地”東京・下北沢SHELTERでワンマンライブを開催した。チケットは完売。満員のフロアを大いに沸かせた。2人は大手芸能事務所・ワタナベエンターテインメントに所属しながらも、ライブシーンで着実に地力をつけている。数年前までは、“村重杏奈の妹”としてのメディア出演がほとんどだった2人。なぜ、ロックバンドという異色の道を進むことになったのだろうか。2人の思いをひも解いていく。(取材・文=中村彰洋)
ステージ上で見せる存在感とは対照的に、姉・マリアは147センチ、妹・エリカは153センチと小柄な姉妹。この日が初インタビューとなった2人は、時折緊張した様子を見せながらも、自分の言葉で今の思いを語った。
初ワンマンの舞台は下北沢SHELTER。2025年2月の結成から約1年にして、キャパ200超のフロアをびっしりと埋めた。
エリカ「バンドが始動したのが1年前で、お客さんはゼロが当たり前でした。1年前にも、下北沢SHELTERでのイベントでライブをさせてもらいましたが、その頃はフロアの床が見えるくらいガラガラでした。1年かけて、サーキットイベントなどでお客さんが少しずつ集まるようになって、今回はソールドアウトできて、客席を見た瞬間は『うわー!!』って興奮でした」
チェキや撮影会といった、いわゆるアイドルのようなファンサービスは行わないことがモットー。純粋にSTRAWDAYの音楽を好きになってくれるファンをつけられるように努力を続けている。
2人が芸能界に飛び込んだのは、約10年前のことだった。4きょうだいの長女・杏奈がHKT48のメンバーとして、アイドル活動をしている姿を見て、次第に興味を抱くようになっていった。
マリア「私たちも昔から目立ちたがり屋だったので、頑張っているお姉ちゃんを見て、興味や憧れを抱くようになりました。福岡でワタナベエンターテインメントのスクールに入ったことが始まりでした。当時から音楽は好きでしたが、これまではタレントや女優業のレッスンなどをしていました」
姉・杏奈がアイドルをしていたことから、2人もアイドルを目指していると思われることも多かったが、そろって「目指したことはない」と口にする。
エリカ「お芝居やタレント活動などやらせていただいて、いろいろ悩んでいる時期ではありました。お姉ちゃんがアイドルだったから、どこに行っても“村重杏奈の妹”と紹介されるので、アイドルを目指していると思われることは多かったです」

今後について悩んでいた頃にマネジャーからまさかの声掛け「音楽やってみない?」
マリアが中学生、エリカが小学校高学年のタイミングで、福岡から地元・山口に戻ると、バンドという存在がより身近なものとなっていった。
マリア「エリカが小6の時に初めてライブハウスに連れて行きました。私はずっとバンドに憧れていて、親にギターを買ってはもらったものの、やり方が分からずにいました。バンドを組むとなったら、メンバーが必要。でも、ど田舎だったし、私は友達がいなさすぎて、一緒に組む人もいないので、とりあえずエリカに『ベースやって!』ってお願いしました(笑)」
エリカ「ベースを初めて持ったのが中1の頃でした。『ベースってなんなんや!』ってその頃は訳も分かっていなかったです(笑)」
それから数年間は趣味としてバンド活動を続けていたが、マリアが高校卒業のタイミングで「何かやらなきゃ」という思いで上京を決断。エリカも音楽とは離れた生活を送るようになっていった。
その後も事務所に所属しながら芸能活動を続けてはいたが、これといった目標もない悶々とした日々を送っていた。
マリア「私は音楽以外にやりたいと思えることがあまりなかったので、すごく悩んだ時期でした。事務所に所属しながらバンドをすることは現実的ではないことも分かっていたので、本気でバンドを組むなら事務所も辞めたほうがいいのかなと考えていました」
エリカ「私は、お姉ちゃんへの憧れもありましたし、いろんなものに興味がありました。でも、今後自分がどうなっていくのかが分からなかったし、やっていることとやりたいことが一致していない感覚があって、すごく悩んでいました」
そんなタイミングで思わぬ転機が訪れた。時をさかのぼることバンド結成の約1年前。「音楽をやってみない?」というマネジャーからの思わぬ声掛けだった。
マリア「本当にまさかでした。バンドをやるならエリカとやりたかったので、すぐに連絡をして、山口から上京させました(笑)」
「姉妹でやりたい」という思いから、サポートドラマーを加えたスリーピースという最もシンプルな形に決めた。これまではボーカルを担当することばかりだったマリアはギターを必死に練習、エリカもベースの鍛錬を積んだ。
バンド結成までの期間はたくさんのライブやフェスに足を運び、やりたい音楽の方向を定めていく時間に充てた。中でも、最も影響を受けたのがロックバンド・RIZEの音楽だった。
エリカ「RIZEを見て、新たに音楽の基盤ができていった感じがあります。JESSEさんの言葉の一つ一つがかっこいいんです。私があの歌詞をまねしたら、ダサくなっちゃうので、そこは違うニュアンスなどを取り入れながら、自分がかっこいいと思ったことや悔しかった思いなどを込めて作っています」

姉・村重杏奈との大げんかも明かす「半年ぐらい口をきかない時期が」
性格も対照的な2人。楽曲作りでは時にぶつかり合うこともあったが、今では慣れてきたと明かす。
マリア「前は歌詞を作るのにも、全然意思疎通ができていなかったです(笑)。家族の中で私とエリカが1番仲良いんです。めっちゃけんかもしますが、すぐ仲直りします。上京したばかりの時は2人で住んでいたくらいでしたが、あまりにも日常生活で意見が食い違うので、さすがに追い出しました(笑)」
25年2月の結成からはひたすらライブに出演し、経験を積んでいった。ライブ映えする声やフロアの盛り上げ方も、すべて現場で培ったものだ。
マリア「最初の頃のライブ映像は私たちでも見てられないくらいです(笑)。もちろんあの時なりに頑張ってはいたけど、めっちゃスカしたMCをしていたり、今見たら本当にひどいです(笑)」
悩みに悩んだ末にたどりついたバンドというやりがい。家族からは心配されることも多かったと明かす。
マリア「中高校生時代はパパとママがめちゃくちゃ心配していました。ライブハウスって治安が悪そうなイメージがあると思うので、『こっそり悪いことでも始めたんじゃないか』『グレちゃわないか』って。でも、たまにライブにも見に来てくれていました。83歳のおばあちゃんもよくライブに来てくれて、この前のワンマンも超ノリノリで楽しんでくれました。学生の頃は自己満みたいなライブでしたが、本気でやっている今の姿を見てもらうことができて本当にうれしかったです」
エリカ「お姉ちゃん(杏奈)とは、東京でバンドを始める時に大げんかしました。お姉ちゃんも芸能界で、ジャンルは違えど同じ音楽をやってきた人なので、『本当に覚悟はあるの?』と心配してくれました。でも、そこで意見が衝突してしまって、半年ぐらい口をきかない時期がありました」
マリア「私と杏奈がバチバチになっちゃって……」
エリカ「いつもは私が中立なんですけど、今回はバンドのことだったり、いろんな要因も重なって大げんかになっちゃいました」
マリア「過去イチのけんかだったと思います。でも、今年に入ってから仲直りできて、ワンマンにも来てくれました。大きな祝花も出してくれて、『ライブどうだった?』って聞いたら『私の知らないマリアとエリカがいた』って言ってました(笑)。見てもらうことができてうれしかったです」

音楽の世界で感じたフラットな目線「私たちもすごく生きやすい」
これまではどこへ行っても“村重杏奈の妹”という枕詞がついてまわった。しかし、現在はSTRAWDAYの音楽を聞いた後に、素性を知って驚かれることも増えてきたという。フラットな目線で見てもらえていることが「めっちゃうれしい」と口にする。
エリカ「背も小さい女2人で、村重杏奈の妹。だから、最初は舐められることが多いです。でも、ライブを見た対バン相手やお客さんから『お前らかっこいいじゃん!』と言ってもらえたりもして、実力を見てもらえている感じが本当にうれしいです」
マリア「私たちは、妹であることに頼りたくないんです。ライブを見たら、私たちがどれだけ本気で音楽をやっているかを分かってもらえると思います。本当に音楽を好きになってくれる人たちは、フィルターを掛けずに純粋に音楽だけを見てくれるので、私たちもすごく生きやすいです」
結成当初は、自分たちの行く末さえも分からず手探りだったが、場数を踏んでいくうちに明確な目標も生まれてきた。
マリア「地道にライブハウスを回って、フェスなどで沸かせられるようなライブバンドになりたいです。不安でしたが、下北沢SHELTERを埋めることができたので、少しずつ規模を大きく、ステップアップしていきたいです」
エリカ「遠征もたくさんしたいです。いろんな出会いを大切にしながら、各地で仲間を増やしていく感じが楽しいんです。まずは私たちの存在を多くの方に認知してもらいたいです」
芸能界に飛び込んでから約10年。ようやく心から自分たちが「やりたい」と思える活動ができている。
マリア「私たちはめちゃくちゃ運が良かったです。本当のやりたいことができている人って少ないと思うんです。だから、私の人生って最高だなって思っています」
エリカ「ようやくやりたいことを全力で頑張れています。今はとにかく楽しいので、いけるとこまでやっていきたいです」
結成から約1年で見える景色も激変した。ライブシーンのど真ん中で荒波に揉まれながら、STRAWDAYはこれからも急成長を遂げていく。
□STRAWDY(すとろでい)2025年2月、姉・村重マリア(Gt.Vo.)と妹・村重エリカ(Ba.Vo.)の姉妹により結成したミクスチャーロックバンド。新宿、渋谷、下北沢のライブハウスを中心に精力的に活動中。25年10月に初EP『START』を発売。26年3月17日に下北沢SHELTERでワンマンライブを開催した。
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