平良達郎は「倒すと決めている」 神龍誠がUFC王者目前“怪物”へ明かす本音「今は比べられてもいない」

“神童”が勝負の一年に挑む。史上最年少の18歳で総合格闘技団体「DEEP」王者となった神龍誠(25=American Top Team)は、昨年開催された「RIZINフライ級トーナメント」で失意の敗戦。一方、ライバルと目されていた元修斗世界フライ級王者・平良達郎(26)は「UFC」で躍動し、4月12日に最高峰の舞台でのタイトル戦が決まった。逸材は今、何を思うのか。2026年の開幕試合を前に心境を明かした。

インタビューに応じた神龍誠【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた神龍誠【写真:ENCOUNT編集部】

堀口恭司とのタイトル戦で挫折「負けるべくして負けた」

“神童”が勝負の一年に挑む。史上最年少の18歳で総合格闘技団体「DEEP」王者となった神龍誠(25=American Top Team)は、昨年開催された「RIZINフライ級トーナメント」で失意の敗戦。一方、ライバルと目されていた元修斗世界フライ級王者・平良達郎(26)は「UFC」で躍動し、4月12日に最高峰の舞台でのタイトル戦が決まった。逸材は今、何を思うのか。2026年の開幕試合を前に心境を明かした。(取材・文=浜村祐仁)

 RIZIN史に残る名勝負をただ見つめることしかできなかった。昨年の大みそかに開催されたフライ級トーナメントの決勝戦。ベテラン同士の壮絶な殴り合いに湧くアリーナも、神龍にとっては複雑だった。

「試合は本当に素晴らしかったと思いますよ。でも、なんだろうな。僕があの場にいないことがすごく悔しくて、試合を見ながら『なんでだろう』ってずっと思ってました。あそこに僕が行かないといけなかった」

 前王者・堀口恭司のUFC復帰によりベルトが空位となっていた25年のフライ級。優勝者が新王者となるトーナメントに神龍もノミネートしたが、準決勝でベテランの元谷友貴に敗戦した。3-0の判定以上に力の差を見せつけられた完敗だった。

 トップファイターの壁を超えられずにいる。22歳の若さでたどり着いた堀口恭司とのタイトル戦もそうだった。

「(あの試合は)まあ挫折ではあるっすよね。あの頃は自分が世界で一番強いと思ってたんで」

 アイポークにより第1戦は無効試合となり、迎えた23年大みそかの再戦。2Rで一本負けを喫した。試合後に過呼吸に陥るほど号泣した当時から約2年経ち、遠くを見つめながら激闘を振り返る。

「あの時はプライドで『俺ならやれる』『もう一回やれば勝てる』って負けず嫌いなんで考えてた。でも引き出しの多さも違ってたし、やっぱり差はあった。今振り返ってみれば、負けるべくして負けたんだなって思います」

堀口恭司との一戦は“挫折”と語る【写真:山口比佐夫】
堀口恭司との一戦は“挫折”と語る【写真:山口比佐夫】

平良達郎へ「いつか必ずまくってやる」

 中学卒業後、高校には進学せず15歳でプロデビュー。DEEPを主戦場に初戦から勝ちまくり、史上最年少の18歳で王者となった。

 世界への進出も早かった。22年11月にはUFCへの登竜門となる米国の団体「CFFC」でフライ級のベルトを獲得。4Rで極めたスピニングチョークは大きな話題となり、海外メディアからもトッププロスペクトとして注目を浴びた。

 当時UFCとの契約も間近に迫っていた。しかし、選んだのはRIZINでの挑戦だった。

「UFCのリストに名前が入っていたんですよ。誰かがリリースされれば僕が入るみたいな。でもタイミングが読めなかった。待てば本契約になったと思うんですけど、待てなかった。僕若いし、ガンガン試合して経験を積みたかったんで。そういう意味で、RIZINでもう一回名前を売って、(UFC)行くのもいいかなって思ってました」

 一方で同時期にUFCとの本契約を掴み取ったファイターもいた。21歳6か月の若さで修斗王者となった平良達郎だ。22年5月にUFCデビュー戦を勝利で飾ると破竹の勢いで連勝し、米国で積み重ねた戦績は8勝1敗。2月22日にはついにタイトル戦への挑戦が決まった。日本人初の偉業を狙う同年代に、神龍も率直な思いを口にする。

「やっぱり素直にすごいなって思うし、ジェラシーもありますね。ほぼ同い年、彼が一個上なんで。今、彼は僕のことは眼中にないと思う。でも僕は彼を倒すって決めてるんで。それまでは積み上げていくしかないですね」

 過去にはSNS上で「平良くん年末俺とやろうよ」と対戦要求をするなど明確に意識してきた存在だった。ファンからも比較の声が上がることもあるが、現状を受け止めている。

「(比較は)どうなんすかね。今とかは比べられてもいないと思います。全然彼の方が上の位置にいる、そこは素直に認めている。でもいつか必ずまくってやるって思ってます」

RIZINベルトへの思いを語った【写真:山口比佐夫】
RIZINベルトへの思いを語った【写真:山口比佐夫】

未来のUFC参戦は「どういう選択肢があるか」

 昨年9月のトーナメント敗戦後、神龍は大きな決断を下した。米国の名門ジム・アメリカン・トップ・チーム(ATT)への移籍だ。

「負けたのが一番ですけど、その前からATTに行きたいとは思ってた。でも決断っていう意味では、堀口さん、元谷さんに負けた時。『ちょっと頑張り方変えるしかないな』って。努力はめっちゃしてるつもりなんすよ。でもそのやり方を変えてみる必要があるのかなと思いました」

 世界有数のメガジムでは、前UFCフライ級王者のアレッシャンドリ・パントージャに練習で極められるなど、日々ハイレベルな環境で刺激を受けている。

「ポジションスパーリングしたんすよ。やっぱ、めっちゃ極めが強くてすごいなって。でも、やられたほうが自分は入りやすい。そこで『意外とみんなやっつけられました』だったら、そこにいてもって感じじゃないですか。改めて環境すごいなと思います。アメリカの練習って、技術練習してスパーリングの繰り返しで。本当に格闘技始めた頃の入門クラスみたいな初心に戻る感じですね」

 日本語が通じず、物価の高い米国での生活は容易ではないと明かす。しかしその環境が大きな学びとなっている。

「本当に孤独だし、格闘技しかやることがないから時間は長く感じます。でもメンタル的には絶対強くなる。堀口さんがメンタル鬼じゃないですか。感情をあんまり表に出さない。そういうのってああいう環境から出てくるんだろうなって行ってみて思いました」

 26年の初戦は「RIZIN LANDMARK 13」でのエンガジムーロ・ズールー戦。真価の問われる一戦を前に、今年への決意を語った。

「僕は今年絶対にチャンピオンになる。必ずやります。(将来のUFC参戦?)それは分かんないっすね。RIZINのフライ級はめちゃくちゃレベルが高い。まずはそこで一番にならなきゃ話にならないです。チャンピオンになって、どういう選択肢があるか。そこから考えます」

 18歳でベルトを巻いた少年は今年で26歳になる。苦しんで涙を流した日もあったはずだ。しかし、大人びた表情はそれが決して無駄ではなかったことを物語っていた。未来をどれだけ大きなものにできるか。可能性を自分自身に問いかける1年が始まろうとしている。

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