相席スタート山添、深夜ラジオのリスナーは「ズッ友」 漏らした本音「東京に来て孤独なんです」

テレビ番組で時に“クズキャラ”や“ヒール”としての立ち回りを見せるお笑いコンビ・相席スタートの山添寛。その一方で、パーソナリティーを務めるラジオ番組『サクラバシ919』(ミクチャ×ラジオ大阪)では、リスナーとの絆を大切にする熱い男という一面も持ち合わせている。山添にとって、火曜日深夜の2時間はどんな場所なのか。知られざる素顔と独自のラジオ哲学に迫った。

独自のラジオ哲学を明かした山添寛【写真:冨田味我】
独自のラジオ哲学を明かした山添寛【写真:冨田味我】

『サクラバシ919』の火曜日パーソナリティー

 テレビ番組で時に“クズキャラ”や“ヒール”としての立ち回りを見せるお笑いコンビ・相席スタートの山添寛。その一方で、パーソナリティーを務めるラジオ番組『サクラバシ919』(ミクチャ×ラジオ大阪)では、リスナーとの絆を大切にする熱い男という一面も持ち合わせている。山添にとって、火曜日深夜の2時間はどんな場所なのか。知られざる素顔と独自のラジオ哲学に迫った。(取材・文=島田将斗)

 ラジオパーソナリティーは手探りでのスタートだった。それは「ラジオリスナーを経て生きてこなかった人間」だからだ。

「どういうパーソナリティーが普通なのかっていうのが全く知らずに始まってるんです。最初は多分リスナーも『どういう風にこいつ見てええねんや』ってうかがってた瞬間があったと思うんですけど、僕がそんな人間ではないというのは、勘のいいリスナーたちが多いから一瞬で分かって。そこからお互いにポジション取ってやり合える、地元の友達みたいな感じに変わっていきましたね」

 山添が何かをしでかせばリスナーがマウントを取っていじる。逆にリスナーがやらかせば、山添が突く。「ある程度の期間一緒におらんとできひん距離感」と頼もしそうに笑った。

 そこで例えに出したのは殺伐とした現在のXではなく、面白いことで笑い合っていた初期のツイッターだった。

「他の仕事で腹立ったことがあったら真っ先に『あ、サクラバシ919で言ったる』ってなる。そういう話をするとみんなが『それは腹立つよな』とか『それはお前ちっちゃいだけやんけ』と面白がってくれる。初期のツイッターの楽しみぐらいの規模でやれているのが、僕にとってめっちゃ大事な場所になりましたね」

 数多のラジオ番組のパーソナリティーの中には、ラジオを「自分の城」と表現する者もいるが、ここは少し違って「みんなのアジト」のような場所だという。

「『自分の城』みたいに思うのが照れるっすね。トップのフリして偉そうに言うボケみたいなのはようしますけど。『みんな俺に続け』みたいなパーソナリティーにはようなれへんし。『死ね!』ってお互い言い合える友達。関西なんて『お前アホか』ぐらいのノリで『死ね』って一昔前は言い合ってた。それができるような仲間。お互いに遠慮があったら、マウント取るのにテンポ悪なると思うし。遠慮せずに衝動で行ける場所なんですよね」

 平日朝の生放送や深夜番組など幅広く活躍を見せているが、テレビとラジオでは明確に「トークの組み立て方」を変えている。

「芸人ってなったら、コンパクトにオチに向かってしゃべるセオリーがあるじゃないですか。でも、例えば女性の話し方って、朝起きた時からこの気持ちがあって、この背景があって、気持ちの揺らぎがあって……と全部ストーリーを教えてくれる。ラジオはそのトークに近い感じでしゃべれるなと。背景も知ってほしいっていうところまで話せるのがラジオの良さですね」

撮影のライトで眩しそうな山添寛【写真:冨田味我】
撮影のライトで眩しそうな山添寛【写真:冨田味我】

しんいちの“トーク成長”宣言に不敵な笑み「もう磨き終わったんですか?」

 テレビ的な「エピソードトーク」とは異なり、「モヤモヤで終わる」ようなトークの面白さにも気が付いたという。自身の哲学も明かした。

「お互いが1個ずつエピソードトークをするだけのコンビのトークライブやったら面白くなくないですか? ひとりが話したあとに『なるほどな。悲しかったで言うと俺は……』って進めたらおもんないでしょう。トークを聞いて、『俺やったらこうしたで』みたいに反応して、どう2人で積み上げていくかということがトークライブの面白さやと思うんですよ。

 ラジオに届いたメールに対して『俺、私もその話確かに腹立ちました』でもいい。みんなでこうトークをセッションしたら面白い。無理にオチつけて、『はい、じゃあ次の話行きますね』のつまらなさはもうしたくない。それが向いてる土壌は他にある。ラジオをその場所にするのは嫌ですね」

 自身のトーク哲学を築き上げる中で、番組を共にする他曜日のパーソナリティーの存在も刺激になっている。月曜担当のお見送り芸人しんいちがインタビューで「サクラバシ919でトークが磨かれた」と語っていたことを伝えると、「もう磨き終わったんですか? 僕はまだ勉強中ですけどね」とニヤリと笑い、こう続けた。

「しんいちって、目の前のことに情熱的に一生懸命なやつなイメージなんですよ。だからバラエティーでドッキリに引っ掛けられても、6速のギアで一気にパーンって着火できる。それがいいと思うんです。2時間ずっとフルスロットルとか普通は無理じゃないですか。だからラジオってなったら大変すぎるんちゃうかなと、心配はしてました」

 今度は直前の不敵な笑みとは打って変わって真面目な表情になった。

「ラジオなんて1速から見せていい。しんいちがいろんな球種も投げられるようになって、もっと分厚くなりそうな気がします。俺としては脅威ですね。キャスティングしたやつに文句言いたいです、これ以上芸人増やすなと(笑)」

 他曜日のパーソナリティーにライバル心をのぞかせつつも、一番の関心事は、リスナーの存在だ。今後リアルイベント開催などで直接顔を合わせる機会があるならば、どんなことをしたいかと問うと、意外な答えが返ってきた。

「ラジオはタダやし、お金払ってくる? 1個いま浮かんだのは、『お金払ってんねんから、いつもと違うお金に見合うトークせえよ』って思って来るなよ、ってことですね。クオリティーは変わらへんから。でも、来てくれる人がいるんやったら特別感は出したいですよね。全国ネットじゃないから何でもしゃべれるし」

 普段は顔の見えないリスナーとの対面を楽しみにはしている。

「ラジオネームを聞いて『え、ここにおんの?』って直接しゃべりたいっすね。俺だけ顔出しして、所属事務所も出身地もバレてる。向こうの方が楽じゃないですか。だからイベントでリスナーをめくって、イーブンまで持っていきたいっすね。お互いリスクを背負って対等にしゃべれたら。イベントのその後も『あいつがくれてんねやメール』って思えたら、うれしいっすね」

リスナーは「ズッ友」と語った山添寛【写真:冨田味我】
リスナーは「ズッ友」と語った山添寛【写真:冨田味我】

 リスナーとは対等な関係でありたいと冗談交じりに語るが、その存在は、今や山添にとって欠かせないものとなっている。

「東京に来て、芸人の同期とか仲良い先輩後輩も、それぞれ主戦場が変わってきたりするから、言ってもまあ孤独なんですよ。マネジャーもめっちゃ優秀で友達みたいに接してくれたり、相方の(山崎)ケイさんもいろいろ話聞いてくれるけど、やっぱり女性やから気配ってる部分もある。でもラジオに関しては本当に包み隠さずできるし、好きなことを好きな分量で聞いてもらえる」

 深夜の秘密基地に集う仲間たちに向ける思いは、テレビで見せるヒールキャラとは無縁の、どこまでも真っすぐで温かいものだった。

「腹立ったら話を聞いてもらいたい。『この間こんなやばい奴おったで』って。普段、お酒飲まへんから飲み友達もいないので、ほんま(リスナーは)友達っすね」

 ポツリと本音を漏らすように語ったが、ふと気恥ずかしさが込み上げたのか「友達って言うのは恥ずかしいな……『ズッ友』っすね(笑)」と照れ隠しのようにおどけてみせた。

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