約4000人のオーディションで合格→芸能界へ 事務所所属からわずか1年で大河出演「名前を覚えてもらえるように」

芸能事務所・レプロエンタテインメントが2024年に開催した「第2回レプロ主役オーディション」に合格し、わずか1年で放送中のNHK大河ドラマの出演を勝ち取った、注目の新人俳優がいる。宮城県出身の23歳・伊藤絃だ。春からは、3月31日スタートMBS/TBS系連続ドラマ『失恋カルタ』(MBS:火曜深夜0時59分、TBS:深夜1時26分ほか)へのレギュラー出演も決まり、勢いに乗る。このほど伊藤をインタビューし、快進撃を続ける今に迫った。

伊藤絃は宮城県出身の23歳【写真:矢口亨】
伊藤絃は宮城県出身の23歳【写真:矢口亨】

『失恋カルタ』で同性愛者役に挑戦

 芸能事務所・レプロエンタテインメントが2024年に開催した「第2回レプロ主役オーディション」に合格し、わずか1年で放送中のNHK大河ドラマの出演を勝ち取った、注目の新人俳優がいる。宮城県出身の23歳・伊藤絃だ。春からは、3月31日スタートMBS/TBS系連続ドラマ『失恋カルタ』(MBS:火曜深夜0時59分、TBS:深夜1時26分ほか)へのレギュラー出演も決まり、勢いに乗る。このほど伊藤をインタビューし、快進撃を続ける今に迫った。(取材・文=水谷賀奈子)

『失恋カルタ』は、芸人で作家のピース又吉直樹が、自身の朗読会で読むテキストとして書いた「失恋カルタ」の“句”を原案にしたオリジナルドラマ。失恋の孤独や恋愛の瞬間が描かれた、恋に悩みながらももがき続ける、等身大のラブストーリーだ。乃木坂46の梅澤美波、俳優の西垣匠、加藤小夏がトリプル主演し、伊藤は西垣演じるフリーライター・馬路光の恋人で光と同棲中の百々陸役に挑む。陸は、寡黙で言葉数が少なく、感情が表に出にくい性格で、同性愛者を周りにカミングアウトしていないという設定だ。

「恋愛ものは役者としてやってみたいと思っていましたし、メインキャストとしての出演は素直にうれしかったです。陸は、厳格な父から離れるために自分で貯金して、北海道から上京してきました。真面目で内気で、自分が同性愛者だということをカミングアウトすることに抵抗を持っています。彼の過去や性格を理解しながら大事に演じました」

 芝居の経験数としては多くない伊藤だが、自身の性格に似た、陸の役作りにそこまで苦戦はしなかった。

「言いたいことが言えずに我慢してしまう性格は自分と重なる部分もあったので、役作りにおいての抵抗は特別ありませんでした。世の中にも、素直になれない人はたくさんいると思います。陸のそういう性格が、見ている人に共感してもらえたらいいなと思ってます」

 さらに、今作で描く等身大のラブストーリーに自信を見せ、恋をする人々にエールを送った。

「『言いたいのに言えない』という人が、このドラマを見て、言えるようになってくれたらうれしいです。恋愛において、いろんな悩みを抱えている方が多いと思いますが、すれ違いは誰にでもあることです。でも、このドラマでも言っているように『それでも人はまた恋をしてしまう』と思います。また前を向けるはずです」

 そう話すとさわやかに笑った。共演者とも、いい距離感を保てているようで、初共演となる恋人役の西垣については「お兄ちゃんみたいだった」と話し、言葉を続けた。

「シリアスなシーンで息詰まっている時に『力抜いて気負わず、大丈夫だよ』とアドバイスしてくださいました。撮影の合間にもプライベートの話で気さくに声をかけてくださって、すてきな方だと思いました」

民放ドラマへの出演は2作目となる【写真:矢口亨】
民放ドラマへの出演は2作目となる【写真:矢口亨】

NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』に出演

 今作で民放ドラマへの出演が1月気のカンテレ×FOD連続ドラマ『顔のない患者―救うか、裁くか―』に続き2作目になるが、この世界へ飛び込んだのは、あるオーディションがきっかけだった。

「2023年に行われた雑誌『メンズノンノ』のモデルのオーディションが最初でした。友だちに誘われて、軽い気持ちで受け、ファイナリストとして最後の7~8人に残りました。でも、最後に落ちて専属モデルになれなかったことがめちゃくちゃ悔しくて……。『自分を選ばなかった人たちを見返したい』という気持ちで、翌年の『第2回レプロ主役オーディション』を受けました」

 悔しい気持ちをバネに突き進み、同オーディション応募総数3,985人の中から合格。自ら勝ち取った芸能界への道だった。突然見つけた“やりたいこと”だったが、家族は応援してくれた。

「家族は『一人暮らしは大学生の間に経験しておくべき』という考えだったので、大学進学の時に上京しました。モデルオーディションのファイナリストに残った時に初めて両親に話したのですが、驚いてはいたものの、反対することなく応援してくれました。東京に出てこなければ、この仕事に出会うこともなかったので、家族に感謝しています」

 演技経験はなく、合格後、約1年間はワークショップで0から学んだ。

「演技のレッスンが始まった時は、もう全てが課題でした。恥ずかしさで殻を破れなくて『どうしよう、やりたくない。レッスンにも行きたくない』ともがいていました。でも、結果的には、熱を出した時以外はレッスン一回も休みませんでした」

 その“忍耐力”も過去の苦い思い出があったからだ。

「やっぱり、メンズノンノのオーディションに落ちた悔しさがあったので、辞めるわけにはいきませんでした。いち早く基礎を身につけて現場に行きたいという思いでした。すごく負けず嫌いで、同い年で活躍している人に負けたくないんです。今は『やるからにはいち早く売れて活躍したい。芝居をしたい』という思いが強くなっていっています。まずは芝居でちゃんと生きていけるようにして、気を抜かず調子に乗らず、やっていけたらと思います」

 信念を持って歩んだ結果、大きな運を手にする。俳優・仲野太賀が主人公の豊臣秀長(小一郎)を演じる現在放送中のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』(日曜午後8時)で加藤清正役に抜擢された。

「いくつかオーディションを受けていて、初めて合格したのが大河ドラマでした。まさか決まると思っていなかったので衝撃的でした。でも、受かると思っていなかったからこそ、リラックスして思い切り飛び込むことができたのかなと思っています」

 現場では学ぶことばかりだが、プライドものぞかせる。

「すごい方々がいらっしゃるし、自分は“名も知られていない立場”を自覚しています。それでも爪痕を残せるように、視聴者の皆さんに少しでも印象を残したいと思います。名前を覚えてもらえるように日々挑戦していきたいと思っています」

 しっかり前を向く姿は仕事に燃える男を印象付けた。もっともプライベートでここまで熱くなることはないようで、「学生の時はサッカーをやっていましたが、当時はそうでもなかったですし、今でもプライベートだとまったくです(笑)」と打ち明けた。最後に今後の抱負について尋ねると、ていねいに言葉を紡いだ。

「10~20年後は、どうなっているか分かりませんし、今はまだそこまで考える余裕はないです。まずはメインの出演者として呼んでもらえるように、一つひとつの作品を大事にして、自分の芝居が評価されるように頑張っていきたいです」

 明るい未来へ向け、23歳の挑戦はまだ始まったばかりだ。

□伊藤絃(いとう・げん)2002年10月30日生まれ、宮城県出身。演技未経験ながら「第2回レプロ主役オーディション」にて約4,000人の応募の中から合格を勝ち取る。約1年間のワークショップで演技力を磨いたのち、26年1月期のカンテレ×FODドラマ『顔のない患者 ―救うか、裁くか―』でドラマ初出演を果たす。同年放送のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』では、若き日の加藤清正役に大抜擢され注目を集める。趣味はドライブ、野球観戦。特技はサッカー。

ヘアメイク:イケナガハルミ
・レザージャケット:AllSaints ¥102,300
・半袖シャツ:Pendleton ¥11,000
・デニム:UOOYAA 
・リング:THE OBJECT ¥44,000

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