小川直也とRIZIN榊原CEOが仰天プラン 「五輪金・ウルフアロン」参戦に言及、二刀流「やろうと思えばやれる」
“暴走王”小川直也が自身のYouTubeチャンネル「暴走王ch」でRIZINの榊原信行CEOとの再会動画第2弾を公開した。前回の動画ではRIZINに足りないものとして、二枚目ではなく三枚目の存在と語っていたが、今回もまた、両者ならではの視点で語られる格闘技観が興味深い。

「俺の考えるプロレスはUFCを含めたもの」(猪木)
“暴走王”小川直也が自身のYouTubeチャンネル「暴走王ch」でRIZINの榊原信行CEOとの再会動画第2弾を公開した。前回の動画ではRIZINに足りないものとして、二枚目ではなく三枚目の存在と語っていたが、今回もまた、両者ならではの視点で語られる格闘技観が興味深い。(取材・文=“Show”大谷泰顕)
前回は、小川がPRIDEという「(異種)格闘技」と「ハッスル」という「プロレス」の二刀流を実戦してきた稀有な存在だったとの内容がテーマだったが、今回もそれに類する話が展開されていく。
話は小川がPRIDEに初参戦(1999年7月4日、横浜アリーナ)した際のこと。当時の小川には「オーちゃん(小川)が『分かった、やるよ』というだけでは決まらない、いろんなしがらみもたくさん……」(榊原CEO)という、政治的なハードルが存在した。
以下、両者のやりとりを再録する。
小川「(俺自身はルールやリングの違いに)こだわりはなかったんだけど、周りの人はこだわっていたからさ」
榊原「(「格闘技」の世界から)転向してプロレスラーになりました、はあったし、その逆もあったかもしれないけど、同時並行で走るっていう人は、後にも先にオーちゃんだけですよ」
小川「(二刀流を)やってほしいんだけどね」
榊原「やってほしい。まあ、そんな器量がある……(新日本プロレスでプロレスラーとしてデビューした、東京五輪柔道金メダリストの)ウルフアロンもやろうと思えばやれると思うんだよ」
小川「言ってない(オファーをしていない)んですね、ウルフにはまだ」
榊原「言ってないです、言ってない」
そこまで話した榊原CEOは、「(ウルフに)そういう器量と感性があるかどうかと、そういうチャレンジ精神があるかどうかじゃない?」「ウルフアロンが(RIZINに)出るかどうかはプロレス界にとっては大きなこと」「もちろん(RIZINと新日本で)重なっているファンもいる(はず)だけど、まったくプロレスを見ていない、大多数のRIZINファンにリーチする、ひとつの大きなきっかけにはなる」と語る。
これには小川も思わず、「今の可能性からしたらウルフかなあ」と答えたが、この見解は、小川自身が全日本柔道選手権7回制覇、柔道世界選手権4回優勝、バルセロナ五輪銀メダリストという輝かしい実績を引っ提げてのプロレス入りに関して、アントニオ猪木から直接、説明を受けた頃にまで遡る。
当時、小川はプロレス入りに関して前向きに検討しつつも、猪木から「俺の考えるプロレスはUFC(格闘技=他流試合)を含めたもの。だからプロレスラーはそれに対応できるだけの練習もする必要がある」と説明されたという。この話は小川が1997年4月にプロデビューしたことを考えると、時期的には1996年末から1997年初頭の話になると推測される。
翻って21世紀の今、海の向こうのUFCとWWEは全く別のイベントを開催しているものの、同じTKOグループの傘下にある。そうなることを猪木がどこまで予見していたのかはともかく、猪木は「双方を含めたものが俺のプロレス」だと小川に告げたというのだ。
この話を耳にした榊原CEOは「アントニオ猪木ってすごいですね」「その視点があるっていう」と驚きを隠さず、同席していたRIZINの笹原圭一広報も「ホントにすごいと思います」と同意した。
もちろん、当時の小川は「どういうことなのかさっぱり分からない」と思ったそうだが、猪木からすれば、自身がミュンヘン五輪柔道金メダリストの“赤鬼”ウィレム・ルスカやプロボクシング世界ヘビー級王者のモハメッド・アリと「格闘技世界一決定戦」という他流試合を闘ってきただけに、「プロレス」と「格闘技」を分ける発想はナンセンスだと考えていた。

「プロレス」と「格闘技」は別物ではなく、地続きの関係
事実、小川は「そしたらこんなこと(PRIDEの誕生)が起こるんだってことを予言するからさ」と猪木の先見性に目を見張ったという。
続けて笹原広報が口を開く。
「(猪木が)その当時から言っていたのはすごいですよね」「格闘技もプロレスもリングは闘いなわけじゃないですか。そこは変わってないので、その本質は絶対に忘れちゃダメよってことだと思うんですよ、言葉にすれば」と話すと、小川は「みんな『真剣勝負』の定義がそれぞれ違うわけじゃない。みんな真剣勝負でやっているんですよね。お客さんとの対戦だからさ」と語り、プロの世界は対戦相手以外に「観る側」との勝負が入ってくるとの見解を示した。
さらに笹原広報は、「PRIDEも『ハッスル』もRIZINも同じものを作っている感じなんですよ。言っちゃうと、猪木さんがやってきた、猪木さんならどうするか。プロレスならどう表現するか。たぶんそれを意識して(向き合っている)。だからやっていることは変わっていないと思います」と語る。
要は、今言われている「プロレス」と「格闘技」は別物ではなく、地続きの関係にある、という解釈である。それが世界基準と合っているかはともかく、とくにこの日本という国の歴史を考えた場合、単純に割り切れる二元論では説明できないものがある。
だが、もし作り手側がそう思ったとしても、「今のお客さんたちが猪木さん世代じゃない」のが伝わりづらいと小川は肩を落とす。実際、2022年10月に猪木がこの世を去って以降、加速度的に猪木の記憶や功績が忘れ去られつつあるのは事実だろう。
そのなかにあって、小川は「どうやってバラさん(榊原CEO)はそれ(プロ意識)を(選手や関係者に)植え付けているのか」と問うと、榊原CEOは以下のように話した。
「オーちゃんとやっていた、PRIDEをやっていたことでの成功体験もあるわけじゃないですか。(その経験で)何がお客さんに届くのか(を把握できている)」
「それは猪木さんの世代かどうかは関係なく、客が何を求めているかを僕らは作り出す。そのアプローチ(方法)が(時代によって)違うだけ」
その上で榊原CEOは、「観る側」をどう熱狂させるかという部分に関して、「猪木さんの全盛期に新日本でハルク・ホーガンとやったり、アブドーラ・ザ・ブッチャーとやったり、タイガージェットシンとやっていた時と同じ熱狂が、伝え方と闘う人は違っても、たぶん一緒なんだよね」と話した。
そして、榊原CEOは「そこが理解できている人が選手ではいないかなあ。たまさか受けているっていうだけで…」と語ったが、この言葉は前回の動画で話していた、「三枚目が欲しい」という話につながっていくような気がする。
なお、小川ですらPRIDE参戦はデビューしてから2年3か月後だったのだから、もしもウルフがRIZINや他流試合に挑むとしても、それ相応の準備をする必要がある。それでも、こうして名前が上がっているのはそれだけウルフが注目されている証拠だと思い、今は新日本のリングで「プロとは何か?」を学ぶことに精進すべきだと考える。
(一部敬称略)
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