日産の599万円新型車は「人間より見えている」 試乗で驚いた運転支援技術 360度の状況を検知
最新鋭のEV(電気自動車)に乗ったら、「すげぇ」が止まらなかった。日産の新型「リーフ」。空気抵抗を抑えてパフォーマンスを高める空力性能は「トップクラス」を実現。技術的な設計面を向上させながら、存在感を与えるデザインを追求し、総力戦で作り上げたという。先進運転支援技術によって、高速道路での“手放し運転”や、車が自ら正確に車庫入れする自動駐車の機能も充実。進化するリーフの現在地、“開発秘話”に迫った。

先進運転支援技術「プロパイロット2.0」を搭載
最新鋭のEV(電気自動車)に乗ったら、「すげぇ」が止まらなかった。日産の新型「リーフ」。空気抵抗を抑えてパフォーマンスを高める空力性能は「トップクラス」を実現。技術的な設計面を向上させながら、存在感を与えるデザインを追求し、総力戦で作り上げたという。先進運転支援技術によって、高速道路での“手放し運転”や、車が自ら正確に車庫入れする自動駐車の機能も充実。進化するリーフの現在地、“開発秘話”に迫った。
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今年1月から販売が始まった3代目リーフ。魅力やポイントは書き切れないほどだ。2010年12月の登場から15年。「世界の販売台数70万台以上、総走行距離の合計280億キロ」の実績を誇る。日本・欧州・米国の開発チームが重ねてきたさまざまな実験・テストを含めた膨大なデータが、新型リーフの肝になるという。
今回試乗したのは、78kWh(キロワット時)のバッテリーを搭載するB7仕様で、トップのGグレードだ。最大航続距離685キロ。Xグレードだと最大702キロになるとのことだ。いざ乗ってみると、「横長」をテーマにしたデザインだけに、広々とした車内空間。空調をモータールームに移動させたことで、足元のスペースを拡充させたという。運転席からの視界も広く見渡せる。
モーター音はほとんど聞こえず、ひと言で「静か」。加速も減速もスムーズだ。同乗した日産の担当者で開発を担った田尻政義さんが力説するのは「しなやかさ・柔らかさ」。それをいくつもの場面で実感できた。建物に入る際の段差、下り坂から水平な道に変わる時の落差、高速道路の継ぎ目……。「ドスン」「ガタン」となってちょっと不快さを感じることがある。それが、嫌な振動をあまり感じない。
新開発のEVパワートレインユニット、高品質のリアサスペンション、それに、「日本専用に作り上げた」という足回りとステアリングの仕様が心地よさを生み出しているという。
日本ならではのこだわりとして、鮮明なカメラ映像が映し出される「インテリジェント ルームミラー」。ヘッドレストには「Bose」のスピーカーが内蔵されており、カーナビの音声が語りかけてくるように聞こえ、BGMも上質なサウンドで、異空間のような感覚だ。

「プロパイロット パーキング」機能にも驚き
高速道路を走ってみると、度肝を抜かれた。複数のカメラ・レーダーを駆使して360度の状況を検知する先端技術で、ドライバーの運転をサポートする「プロパイロット2.0」。前の車との車間距離をしっかりキープ、渋滞を自動的に認識して先回りして減速する。ハンドルに手を添えるだけで、安全運転を助けてくれた。
ここで、田尻さんが「ぜひハンズオフ(手放し)を体験してみてください」。高度なセンサーと3D高精度地図データとの連携によって、一定の条件下の高速道路運転で手を放すことができる「ハンズオフドライブ」にトライした。直線でハンドルから手を放してみると「ちゃんと走ってる!」。カーブに差しかかって一瞬ドキッとしたが、滑らかにハンドルが自動で動き、スムーズに走り抜けた。ちなみに、プロパイロット2.0はメーカーオプションだ。
「プロパイロットシステムは安全を追求しています。ドライバーを常時カメラでチェックしているので、横を向いたり、うとうとすると、警告を出してしっかり注意してくれるんですよ。それにハンズオフドライブの際に、ドライバーはハンドルを握らないため、体がフリーな状態になります。その場面でも体がぐらぐらしないように安定性を高める設計になっています。この車は正直、人間より見えています」と田尻さん。人間の知覚能力より、正確に状況を確認している――。この言葉はうなずけた。
大黒パーキングエリア(PA)でちょっと休憩。充電のやり方をレクチャーしてもらった。充電性能が向上し、さらにすごい機能がある。Googleマップと連動しており、例えば、カーナビに「東京から博多に行きたい」と聞いてみると、最新の渋滞・交通状況を踏まえて予測。途中の充電ポイントを含めて、最適解ルートをはじき出してくれる。目的地に到着時にどれだけ充電の余力を残しておきたいか。希望に合わせたルートも教えてくれて、スマートそのものだ。
最後に地下駐車場に到着。白線のない場所でも自動制御でドライバーをアシストする「プロパイロット パーキング」(グレード別設定)を体感してみる。たまたま見つけた2つ空きの駐車スペース。設定をしてディスプレーのボタンを押すと、車がきびきびとハンドルを切ってバックする。丁寧に3回切り返して、ピタッと駐車した。縦列駐車も対応可能だという。
さらに、「プロパイロット リモート パーキング」(メーカーオプション)。車外からインテリジェントキーで遠隔操作して、ドライバーが乗っていなくても車を前後に動かすことができる。狭いスペースでドアの開閉が難しい場所でも、乗り降りや荷物の出し入れが楽になるという、目からウロコの最新機能だ。

デザインと空力性能をとことん追求
デザインを担当した田勢(たせ)信崇さんにも貴重な話を聞くことができた。新型リーフはデザイナーと設計部門の担当者が意見をぶつけ合い、すべての面の角度、ミリ単位まで「詰めて」完成に至ったという。
デザインの大きなテーマは「メインストリームの大衆向けながらも、埋没しない強い存在感を出す」こと。一方で、高水準の空力性能を目指したい。技術的な視点から考える設計と創造性を大事にするデザインは、時にマッチしないこともある。「こんなに空力実験をやった車はないです。もう無理かも……と思ったこともあります」。苦労に苦労を重ねた。
クロスオーバーEVの車種カテゴリーに位置付けられるリーフ。「顔」を巡っても、せめぎ合いがあった。前面のライトのデザインでその車の個性を表現する「シグネチャーライト」。空力性能を重視する設計エンジニアの要求に合わせながら、ライトの幅を拡大させて「存在感」を際立たせた。また、ボディーのリア部分は空力性能を最大限に発揮する「特別な角度」に設定。洗練された滑らかなデザインを追い求めて、後部座席のドアノブを思い切って上部に移すなど、こだわりを凝縮させた。
LEDのリアコンビネーションランプは、世界初という3Dホログラム仕様だ。リアランプは、スマホのような長方形の角を丸くした意匠になっており、しかも、この長方形を組み合わせて「II 三」(ニッサン)の文字に見えるよう巧みに表現。この長方形デザインは、ディスプレーなど新型リーフの至るところにちりばめられている。田勢さんは「独自性のキャラクターというものを出したかったんです」と笑顔を見せた。
試乗したB7 Gグレードは車両本体価格599万9400円(税込み)だ。2月20日時点で約6000台を受注しており、順調に販売を増やしているという。技術の粋が詰め込まれた“未来のクルマ”は、さらなる話題を呼びそうだ。
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