芸能界入りのきっかけは「図書カード3万円分が欲しくて」 朝ドラ出演控える26歳・中田青渚の転機

映画『街の上で』で脚光を浴び、第43回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞した中田青渚(26)がさらなる飛躍の時を迎えている。映画『ゾンビ1/2 ~Right Side of the Living Dead~』(3月20日、キネカ大森ほか順次公開、太田えりか監督)でヒロインを務めるほか、2026年度前期のNHK連続テレビ小説『風、薫る』(3月30日スタート)への出演も控えている。10年以上のキャリアを持つ中田の素顔とは……。

インタビューに応じた中田青渚【写真:藤岡雅樹】
インタビューに応じた中田青渚【写真:藤岡雅樹】

映画『ゾンビ1/2 ~Right Side of the Living Dead~』でヒロインに

 映画『街の上で』で脚光を浴び、第43回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞した中田青渚(26)がさらなる飛躍の時を迎えている。映画『ゾンビ1/2 ~Right Side of the Living Dead~』(3月20日、キネカ大森ほか順次公開、太田えりか監督)でヒロインを務めるほか、2026年度前期のNHK連続テレビ小説『風、薫る』(3月30日スタート)への出演も控えている。10年以上のキャリアを持つ中田の素顔とは……。(取材・文=平辻哲也)

 映画は、ゾンビ・ウイルスに感染したものの、人間としての理性を保った「半ゾンビ」の主人公・新宮龍馬(芳村宗治郎)が巻き起こす異色のブラックコメディー。中田は、主人公を無邪気な優しさで翻弄(ほんろう)するヒロイン・燕慈(えんじ)える子を演じる。

「半分だけゾンビという今まで見たことがない設定だったので面白くなりそうだなと思いました」と第一印象を振り返る。役名の由来は「エンジェル」で、みんなに優しいキャラクターだ。中田自身は「える子ほど『みんなを助けたい』という気持ちが強いわけではないので、みんなに分け隔てなく優しいえる子に対して、すごいなという気持ちで演じていました」と笑う。

 本作でメガホンを取ったのは、映像制作会社MMJ入社2年目で23歳の新鋭女性監督・太田えりか氏。監督デビュー作となる現場は非常に熱量が高かったようで、「監督はすごくゾンビがお好きらしくて、撮りながら『うわ、すごいゾンビいる!』と声を出して喜んでいました」と振り返る。「エキストラの方もゾンビ好きが集まっていて『もっと血のりが欲しい』と喜んでおり、ちょっとカオスな状態でしたね」と楽しげに語った。

 一方、『風、薫る』では、主人公(上坂樹里)たちが訪れる鹿鳴館で働く先輩給仕・河合志麻を演じる。少し不真面目でおしゃべりなキャラクターだという。朝ドラへの出演は『らんまん』(23年前期)に続き2度目。影響力は大きく「友達のお母さんからも連絡をもらうことが増えて、見てもらえている実感があります」と喜ぶ。

「鹿鳴館が華やかでダンスシーンもあり、外国の文化が入ってきた感じがすごく出ています。上坂さんは凛とされていて、帰る時もスタッフ端から端までみんなにあいさつして帰るような、すごく真面目な方。周りが年上の方が多いから緊張するとおっしゃっていたのに、全然そうは見えなかったです」と、頼もしい座長ぶりを称賛した。

今後のビジョンを語った【写真:藤岡雅樹】
今後のビジョンを語った【写真:藤岡雅樹】

「青渚」は本名。「母が青色が好きで、『青』という漢字をつける名前を考えていたら青渚になったそうです。生まれた時から名前に青が付いているので、青いものばかりプレゼントされて育ちました。だから必然的に青が好きになり、パーソナルカラーみたいになっていてありがたいです」と飾らない笑顔を見せる。

 今や数々の作品に引っ張りだこの中田だが、芸能界入りのきっかけは「グランプリの景品だった図書カード3万円分が欲しかったんです。漫画(『メイちゃんの執事』)を全巻そろえたくて応募しました」。その後、芝居の楽しさに目覚めていったが、「オーディションに全然受からない」つらい時期もあったという。

 ターニングポイントとなったのが、公開5周年を記念して、4月10日からテアトル新宿などでアンコール上映が予定されている映画『街の上で』(2021年)だ。

「キャラクター名のあるしっかりした役を少しずついただけるようになったので、そこは一つターニングポイントかなと思います」

 さらに昨年は、橋本淳、黒木華との三人芝居『ここが海』(作・演出=加藤拓也)で初舞台を踏んだ。

「立ち方から何から、映像とは全部違いました。テレビならカメラがズームしてくれますが、舞台は全身で表現しなければならない。他の方の影に隠れないように立つなど、基礎的なことから学び直す毎日でした」と苦労を明かす。一方で、「本番中は意外と冷静で、客席のお客さんの表情や服までよく見えて不思議でした」とも語り、初舞台にして堂々とした大物ぶりをうかがわせた。

 今後のビジョンを聞くと、「10代は家の中で過ごすことが多かったので、20代はもっとアクティブに動きたいです。去年初めて台湾や韓国に行ったので、もう少し距離を伸ばしてベトナムなどに一人で海外旅行に行ったり、山に登ったりしてみたい。これまで学生役が多かったので、ナースや弁護士など、役職を持っている『お仕事系の作品』にも挑戦してみたいです」と力を込めた。

 スクリーンでゾンビと対峙(たいじ)し、朝ドラの華やかな舞台で給仕を演じ、舞台で全身の表現を学んだ中田。一つひとつの経験を血肉に変え、大人の俳優へと脱皮していく今後に、ますます目が離せない。

□中田青渚(なかた・せいな)2000年1月6日生まれ、兵庫県出身。漫画雑誌のオーディションでグランプリを獲得し芸能界入り。映画『街の上で』『あの頃。』などで注目を集め、第43回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。2026年は映画『ゾンビ1/2 ~Right Side of the Living Dead~』のほか、NHK連続テレビ小説『風、薫る』への出演も控える。

次のページへ (2/2) 【写真】中田青渚のインタビューアザーカット
1 2
あなたの“気になる”を教えてください