「Shadowverse Premier Series」設立 新リーグはドラフト&オーディションで“ショー化”加速か
次世代スマホカードゲーム『Shadowverse: Worlds Beyond(シャドバWB)』(iOS / Android / PC)の新リーグ「Shadowverse Premier Series(プレミアシリーズ)」の設立が5日に発表された。選手選考の基準や過程など、これまで運営されてきたプロリーグとは異なる取り組みが印象的だ。ゲームのリリース1周年というタイミングでの新たな試みの先には、どのような未来が待っているのだろうか。

「Shadowverse Premier Series」に8チームの参戦が決定
次世代スマホカードゲーム『Shadowverse: Worlds Beyond(シャドバWB)』(iOS / Android / PC)の新リーグ「Shadowverse Premier Series(プレミアシリーズ)」の設立が5日に発表された。選手選考の基準や過程など、これまで運営されてきたプロリーグとは異なる取り組みが印象的だ。ゲームのリリース1周年というタイミングでの新たな試みの先には、どのような未来が待っているのだろうか。
今回の設立発表とともに公開された「『Shadowverse Premier Series 26-27』参戦チーム発表および選手公募開始のお知らせ」では、「Crazy Raccoon」「ZETA DIVISION」「DetonatioN FocusMe」「VARREL」「MURASH GAMING」「REJECT」「RIDDLE ORDER」「レバンガ北海道」の8チームの参戦を伝えるとともに、年間優勝チームへの賞金が1億円であること、国際大会へのプレミアシリーズ選手出場枠が設けられることも発表。さらに、選手選考が「逆指名制度」「ドラフト会議」「オーディション選考」を通じて行われることも明らかになった。
すでにプロ選手を保有するチームに関する例外などは考慮せずシンプルに説明すると、選手側から逆指名を受けたチームは1名のみ獲得することが可能で、それ以外はドラフト形式となり、逆指名枠と合わせて最大4名まで獲得できる。その後、オーディションで勝ち残った選手を最低1名獲得する、という流れだ。リーグ参加希望者の公募は22日に締め切られているが、これから逆指名&ドラフト会議を皮切りにチームが徐々に出来上がっていくことになる。
ドラフト会議は、日本ではプロ野球とバスケットボールBリーグで採用されているシステムで、各チームが1人ずつ選手を指名して交渉権を獲得していく方式だ。戦力の均衡を保つため、前年度の順位が低いチームから順に指名する形が一般的で、アメリカンスポーツ的な考え方が根底にある。過去の『Shadowverse』におけるプロリーグをはじめ、多くのeスポーツは選手獲得を自由競争とすることがほとんどで、こちらは欧州のプロスポーツに近い。
形式に優劣はないが、ドラフト形式を採用する場合、ドラフト会議自体が一種のエンターテインメントとなる(プレミアシリーズも配信を実施予定)ことに加え、戦力面の均衡から試合の勝敗に不確実性が増し、リーグ戦の順位も予想が難しくなるとされる。「誰がどこに入るか分からない」「どこが勝つか分からない」という予測不可能性が、ショー的な面白さを担保するという考え方だ。『シャドバWB』はカードゲームであり、元より結果に運の絡みやすいタイトルでもある。そうした意味で、制度との親和性も高いという見方もできそうだ。
そして、今回のフォーマットではオーディション選考が開催されることも決定している。ドラフト会議が“スポーツにおけるエンタメ”という発想から来ている一方で、オーディション選考は完全に直球のエンタメ要素と言っていい。古くは『スター誕生!』、平成初期を彩った『ASAYAN』『ガチンコ!』のようなオーディション番組が人気を博し、その後は視聴者参加型のリアリティーショーの隆盛を経て、近年では再びオーディション番組が全盛期を迎えている。
番組の作りが参加者への感情移入を促し、オーディション後の活動を応援する動機が発生するというのは大きな強みだろう。新リーグ発足後にありがちな「どのチームを応援すればいいのか分からない」という事態に対する、一つの回答にもなり得る。チームごとのホームタウンを設定しないことが多いeスポーツにおいては、とりわけ重要な要素と言えるかもしれない。オーディションを通じてスター候補生を複数人生み出すことができれば、取り組みは大成功と言えるのではないだろうか。

“魅力的な人間”であることが求められるプロシーンへ
また、選手選考において重視される要素として、実力以外に「自身の考えや『Shadowverse: Worlds Beyond』の魅力を、自らの言葉で伝えられること」「『Shadowverse: Worlds Beyond』の未来を担う一員であるという自覚があること」「『Shadowverse: Worlds Beyond』を代表する選手として、模範となる行動ができること」の3点があることも発表されている。すべてに共通するのは、ファン、コミュニティ、関係者などと良好な関係を築き、『シャドバWB』というタイトル自体の価値を上げる存在になれるか、という視点だ。
ドラフト制度やオーディション選考の開催意図にも通じるところであり、プロ選手だからこそ、実力だけではなく、ファンが応援したくなる魅力的な選手、さらに言えば魅力的な人間であることが求められている。「プロは結果がすべて」との言説もあるが、これはプロ選手や監督が敗戦の責任を引き受けるための言い回しであり、優勝チーム以外が無価値になってしまうような価値観をプロシーンの根幹に据えるべきではないだろう。ファンからの反応が勝敗にある程度左右されることは避けられないものの、それを受け入れた上で競技やファンに向き合って発信することが、プレミアシリーズの選手には求められることになりそうだ。
プレミアシリーズのリーグ戦開幕は『シャドバWB』の1周年に近いタイミングとなっており、様々な意味でタイトルの今後を占う時期になると言える。国内の有力チームが勢揃いしていることもあり、開幕後は一定の盛り上がりが担保されると思われるが、重要なのはその盛り上がりがどれだけ継続するか。そのためにも、新たにプロとなる選手たちにはポジティブな発信力が求められるという側面もある。
デジタルカードゲームの特性として、定期的に新カードが追加され、既存のプレイヤーにとっては刺激でありモチベーションとなる一方、新しいゲーム性に付いて行けず脱落するプレイヤーが存在することや、複雑化するゲームを前に新規プレイヤーが参入ハードルを高く感じてしまうということがある。プロ選手が実力と発信力を正しく備えることは、そうした“弱点”をカバーすることにもつながるはずだ。
従来のプロリーグから大きな変化を経て始まるプレミアシリーズ。旧作『Shadowverse』時代の経験値も踏まえて運営されるであろうリーグの成否は、今後数年の『シャドバWB』の行方にも密接に関わってくるような予感がしている。
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