GoToトラベルが山谷にもたらす影響は? 格安ホテル「もう限界です」悲痛…現地ルポ

1日から東京でも適用が始まったGoToトラベルキャンペーン。規定によれば一部民泊のほか、ゲストハウス、ドミトリー、ユースホステル、カプセルホテル、ウイークリーマンションなども「旅館業法の許可を受けた施設であれば、適正な執行管理のための体制が確保されている」ことを条件に支援対象になるという。高級ホテルに人が殺到するなか、格安ホテルの現状はどうなっているのか。格安宿泊施設の激戦区で知られる台東区・山谷の現状をルポする。

南千住駅の歩道橋から撮影した山谷方面とスカイツリー【写真:ENCOUNT編集部】
南千住駅の歩道橋から撮影した山谷方面とスカイツリー【写真:ENCOUNT編集部】

【現地ルポ】異質さ際立った山谷 宿泊施設関係者「はなから期待なんかしていない」

 1日から東京でも適用が始まったGoToトラベルキャンペーン。規定によれば一部民泊のほか、ゲストハウス、ドミトリー、ユースホステル、カプセルホテル、ウイークリーマンションなども「旅館業法の許可を受けた施設であれば、適正な執行管理のための体制が確保されている」ことを条件に支援対象になるという。高級ホテルに人が殺到するなか、格安ホテルの現状はどうなっているのか。格安宿泊施設の激戦区で知られる台東区・山谷の現状をルポする。

 生活保護受給者、日雇い労働者が集ういわゆる“ドヤ街”としてのイメージが強い山谷だが、近年は浅草や東京スカイツリーといった東京観光の拠点としても人気が高く、若者や訪日外国人などでにぎわう一面も見せていた。ようやく活気ある街になりつつあった山谷も、新型コロナウイルス禍で状況が一変。10月第2週の日曜日に訪れると、多くのホテルが締め切ったまま。人気がないためだろうか、「玉姫公園」では全裸の男性がタオルで体を拭いていた。少し離れた東京ソラマチでは家族連れやカップルなど、多くの人手でにぎわっていただけに、徒歩20分ほど離れただけの山谷の異質さが際立っていた。

 国内旅行料金の約半分を国が支援する事業で、給付額のうち、70%は旅行代金の割引に、30%は旅行先で使える地域共通クーポンとして付与される同キャンペーン。吉野通り沿いにあるビジネスホテルでは、「GoToトラベル宿泊料金実質半額」と書かれたのぼりがはためいていた。看板には「1泊3800円×35%→1330円割引」「1泊3800円×15%→1000円地域共通クーポン」「実質1470円」とある。

 支配人の男性は「この辺でGoToをやってる宿はほとんどない。うちの他に2~3軒じゃないですか。ここらみたいに安さを売りにしているホテルじゃ、やったところであまり変わらない。それでも何もしないよりはマシかと思ったんですかね」と語り始める。

 簡易宿泊所も含めた山谷一帯の相場は1泊あたり2000~3000円。しかし、それでは宿泊費の15%が四捨五入して地域共通クーポン1枚分に相当する500円に届かないため、やむを得ず料金を引き上げたという。それでも、1枚1000円というクーポン券には扱いづらさもつきまとう。

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