今も続く『金八先生』の絆 伊藤つかさが明かすLINEグループと「桜を見る会」
前川泰之主演の映画『宣誓』(柿崎ゆうじ監督、3月6日公開)に出演した俳優の伊藤つかさ。子役時代から数えきれない現場を経験し、1980年代にはトップアイドルとして一世を風びした。伊藤が、これまでの激動のキャリアと、今も続く恩師や仲間たちとの深い絆について明かした。

『3年B組金八先生』第2期への出演が転機に
前川泰之主演の映画『宣誓』(柿崎ゆうじ監督、3月6日公開)に出演した俳優の伊藤つかさ。子役時代から数えきれない現場を経験し、1980年代にはトップアイドルとして一世を風びした。伊藤が、これまでの激動のキャリアと、今も続く恩師や仲間たちとの深い絆について明かした。(取材・文=平辻哲也)
伊藤の運命を大きく変えたのは、1980年に放送され社会現象を巻き起こしたTBS系ドラマ『3年B組金八先生』第2期への出演だ。実は第1期の際にも所属事務所はオーディションを受けさせようとしたが、「当時まだ中学1年生で子どもっぽすぎる」という理由で見送られていた。
「受かるかどうか分からないけれど出たいと思っていたので、パート2のオーディションがあると聞いた時は本当にうれしくて。でも、行ったらすごい人数だったので、『あ、もう絶対無理だな』と思っていましたね」
見事合格を果たし、教室内で最も目立つ席に座ることになった。当時の出演者は、中学1年生から高校3年生までが「一つのクラス」に混在しており、当初は年齢差による戸惑いもあった。
「子どもとお兄さん、お姉さんみたいな感じの差があったので『大丈夫かな』というのもありました。でも、午後からのリハーサルや土日のロケなどをやっていくうちに年齢差も感じず、本当の1つのクラスになっていきました」
驚くべきことに、その絆は現在も全く色褪せていない。B組のグループLINEが活発に動き、同級生の舞台を連れ立って見に行くなど交流が続いている。さらに、パート1からパート8までの全シリーズのメンバーが集結する大規模な「桜を見る会」も開催され、主演の武田鉄矢や、脚本を手掛けた小山内美江子さんも参加したという。
「私たちにとっては、プロデューサーの柳井(満)さんがお父さんで、作家の小山内先生がお母さん。自分の本当の学校の校歌と、金八先生の校歌が頭の中で混ざってしまって『あれ、どっちだったかな?』と思うこともあるくらい、本当にかけがえのない一つの学校ですね」

『少女人形』でアイドルデビュー「まさか自分が」
金八先生での大ブレークを受け、翌81年には楽曲『少女人形』でアイドルとして華々しくデビュー。近藤真彦や野村義男らと同世代で、まさに80年代アイドルブームのど真ん中だった。しかし、学校の音楽の授業で歌うのが大の苦手だった伊藤は事前に歌のレッスンを懇願したものの、「もうそのままでいいです」と事務所から却下されてしまったという。
「まさか自分がそういう世界に入るとは思わなかったですね。歌の世界は俳優さんたちの世界とではキラキラ感が違いすぎて、『私がここにいていいの?』とすごく恥ずかしい思いがありました」
学校と芸能活動の両立は過酷を極め、午前中は学校に通い、午後からは裏で待つマネジャーの車に乗り込んでテレビの歌番組、深夜にはラジオや取材をこなす毎日だった。
「マイクを持って歌うとリズムが取れなくなるので、ただ立って歌っているだけでした。いつも『歌詞を間違えないように』とばかり考えていて。ただ、仕事が終わって夜中に行うレコーディングは、身内のスタッフしかいなくて、ちょっぴり『大人の時間』という感じがして。夜な夜な食べる夜食が大人だなって思ったり、そういう些細なことが楽しかったですね」
そんな歌への強烈な苦手意識を変えてくれたのは、16歳で初挑戦したミュージカル『不思議の国のアリス』(1983年)だった。白の女王役で共演したのは、大先輩である淡谷のり子さんだった。
「雲の上のすごい人で、本当に怒られると思ってけいこの時からすごい緊張していました。でも実際はとても優しくて、昔の話をいろいろしてくださったりして。私が自分の荷物をマネジャーさんに持たせず、全て自分で持っていたことを褒めていただいて、ポシェットをプレゼントしてくださったんです。それがすごくうれしくて、それがあったからこそ、歌が楽しいと思えるようになりました」
その後、大竹しのぶがかつて主演を務めた日生劇場の名作舞台『にんじん』(1983年)で、自らが主演に抜てきされると、伊藤の意識はさらにプロフェッショナルなものへと変わる。
「1か月公演を成功させなきゃいけないという責任感が出てきた時期でした。私は器用ではないので、おけいこの期間を経てやる舞台の方が自分には合っているんです」
以降、舞台作品を中心にキャリアを構築し、来年には60歳の節目を迎える。
「なんだか信じられないですね。昔の60歳の人と今の自分は全然違うし、いつになったら本当に大人になれるんだろうって考えます。でも、健康で思うように動けるのはあと約20年くらいだと考えると、いつまでもお仕事を続けていきたいですね。とにかく体だけは健康でいられたらと思います」。その笑顔の輝きは少女のままだった。
□伊藤つかさ(いとう・つかさ) 1967年2月21日、東京都生まれ。幼少期に「劇団いろは」に入団し、子役として活動を開始。1980年、TBS系ドラマ『3年B組金八先生』に赤上近子役で出演しブレークを果たす。81年に楽曲『少女人形』でアイドル歌手としてデビュー。翌82年にはテレビドラマ『アイコ16歳』で初主演を飾った。以降、現代劇をはじめ『暴れん坊将軍』などの時代劇にもレギュラー出演。84年からは声優としての活動もスタートさせるなど、女優・歌手・声優として多岐にわたって活躍を続けている。身長155センチ、血液型O。
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