井口綾子、会社経営学ぶ“二刀流”の今 タレント経験生かし「新しい風を入れられた」
青山学院大のミスコン準グランプリをきっかけに芸能界入りし、グラビアやバラエティーで存在感を放ってきたタレントの井口綾子。現在は芸能活動とともに、父親が代表を務める美容室チェーン「EXCEL美容室」でエグゼクティブマネージャーとして会社経営を学んでいる。タレントと実業家の“二刀流”で奮闘する、29歳の今に迫った。

父が代表の美容室チェーンで会社経営を勉強中
青山学院大のミスコン準グランプリをきっかけに芸能界入りし、グラビアやバラエティーで存在感を放ってきたタレントの井口綾子。現在は芸能活動とともに、父親が代表を務める美容室チェーン「EXCEL美容室」でエグゼクティブマネージャーとして会社経営を学んでいる。タレントと実業家の“二刀流”で奮闘する、29歳の今に迫った。(取材・文=猪俣創平)
白のハイネックブラウスにグレーのカーディガンとパンツを合わせた洗練された装いで取材現場にさっそうと現れた。スラリとしたスタイルが印象的だ。“モッツァレラボディー”の愛称で親しまれたグラビア時代から雰囲気の変わった現在について尋ねると、「当時からかなり痩せましたね。一番太っていた時より今は15キロぐらい痩せています」と明かし、同席していた関係者を驚かせた。
そんな井口は、幼い頃から芸能界に憧れがあったものの、父親から反対され続けていたという。「ミスコンをきっかけに、良くも悪くも話題になったこともあって、『ここまで知名度がついたなら応援する』と承認してもらえたのが大学3年生の時でした」。
21歳で長年の思いが実り、本格的にデビュー。お笑い好きだったこともあり、バラエティー志向だったが、飛躍のきっかけはグラビアだった。『週刊プレイボーイ』で表紙を飾り、“モッツァレラボディー”の愛称で注目を浴びた。
「雑誌が発売されてからキャッチコピーを知ったので、びっくりしました(笑)。私、もともと太りやすい体質で、グラビアの撮影前は断食したり、ジム3つぐらい掛け持ちして1日中回ったりとすごく頑張っていました。自分の好みは細い体型だったんですけど、周りからは『あまり絞りすぎない方がいい』とも言われ、自分の理想とギャップは感じていました」
葛藤を抱えつつも、グラビアをきっかけにテレビ出演など露出が増え、知名度も上がった。「やっぱりうれしかったですね。テレビに出るのも夢だったので、そういう場に行けたのは幸せでした」と回顧する。
2019年には1st写真集『いのあや』(集英社)を発売。集英社の「グラジャパ!アワード2019」でグランプリを獲得するなど、芸能活動が軌道に乗り始めた。
しかし、憧れの世界は甘くなかった。「バラエティー番組も好きで見ていましたけど、出るのとは全然違うなと……」。当時は“爪痕を残さなければ”と必死なあまり、思いが空回りしていたと苦笑する。
「『こうしたらスタッフさんから“頑張ってる”と思ってもらえるかな』と考えて、共演者に噛み付いたり、無理していたと思います(笑)。本来の自分というよりは、こうしたらバラエティーっぽいかなと考えたり……たまに『しくじり先生(俺みたいになるな!!)』(テレビ朝日系)に出ていた時の切り抜き動画とかが、いまだに回ってくるんですけど、恥ずかしくて見られないです(笑)」
さらに、コロナ禍で活動は停滞。「テレビ番組も出演者を減らしていく中で、何か一つに秀でてないと出られない時期でしたし、頑張りたいのに何を頑張っていいのか分からなくて、結構しんどかったです」。
それでもタレント活動は続けながら、自分にできることを模索し続けていた。その後、27歳で一つの決断をする。祖父母が創業し、父が代表を務める美容室チェーン「EXCEL美容室」に入社したのだ。以前から、いつかは自分なりの形で会社に貢献したいという思いを抱いていたという。
「父には以前から『経営を間近で学んでほしい』と言われていました。最初は『社長の娘だから』という理由で入るのは、スタッフの方々に失礼だと思っていましたが、父も年齢を重ねてきたこともあって、元気なうちに一緒に働いてみようと考えました。私も芸能での経験だったり人脈だったりと、『EXCEL』に還元できるものができてきたのかもと思って、入ろうと決断しました」

タレントとしての幅も広げたビジネス経験
今年で創業66年を迎える老舗美容室での肩書は「エグゼクティブマネージャー」。担当は求人、ECサイトの展開、新店舗プロデュースまで多岐にわたり、前線に立つ美容師たちを陰で支えている。
「兄も一緒に働いているんですが、昨年の12月からは、北海道から沖縄まで2人で駆け回って、美容学生に『EXCEL』の魅力を伝えようと説明会などに行きました。あとは、自社のシャンプー・トリートメントのECも担当して、昨年の3月には福岡に初めて出店した際、店舗プロデュースにも携わりました。今年6月末には若い方向けの新しいブランドを立ち上げる予定で、そのプロデュースだったり、会議に参加したりといろいろとやっています(笑)」
ビジネスの話になると、よりしっかりとした口調でスラスラと言葉が続く。そして、「すごく楽しいです!」と声を弾ませ、充実ぶりがうかがえた。
「他の美容室ではないような経験や人脈がある分、会社にも新しい風を入れられています。若い美容師さんのために、大型ファッションショーのヘアメイクに入る機会も作ることができました」と打ち明け、タレントのキャリアがビジネスの現場でも生きているという。
今年1月には、事業承継をテーマに企業の看板を守る人々から話を聞く、ニッポン放送『井口綾子 will run』(木曜午後9時)のパーソナリティーに就任。今度は逆にビジネスでの経験がタレントとしての視点を変えた。
「経営者の方のお話を聞いた時の解像度だったり、質問の角度も変わってきたと思いますし、自分も経営を学ぶ立場にいるからこそ話せる幅が広がったと実感しています。そして、よりタレントとしてマネジャーさんたちへの感謝の思いが強くなりました。番組は、いろんな人が準備をして成り立っていると身をもって理解できました」
タレント、そして実業家として走り続け、今年は20代ラストイヤーとなる。抱負を尋ねると、熱い思いを口にした。
「もしかしたら順風満帆に見えるかもしれないですけど、自分としてはすごく足踏みをしたり、悩んだりと葛藤の多い20代でした。ようやく自分の頑張ることがしっかりと見えてきて、5年後、10年後みたいなところも見据えて、30歳への土台作りとともに、飛躍の一年にできたらと思います」
続けて、「経営者としては、まだまだベビーの状態」としつつ、「5年後になるのか分からないですが、一日一日をがんばって父から認めてもらい、安心して事業を承継してもらえるようがんばりたいですし、美容師は本当にもっと評価されるべきだと思うので、地位向上にも貢献したいです」と新たな目標も掲げた。
“二刀流”に励む今、根底にはポジティブな気持ちがあるようだ。
「『EXCEL』の仕事は、自分の中では仕事という感じがあまりないんです。仕事が全然なかったコロナの時を思うと、休みだと逆に不安になるみたいな(笑)。芸能のお仕事もそうですけど、どちらも好きでやっていることなので楽しいです」
迷いながらの歩みを経て、ようやく見えてきた自らの立ち位置。タレントとして前に立ち、経営の現場では支える側に回る。その両輪がかみ合い、井口綾子は「楽しい」と言い切る思いを力に変え、最後の20代を確かな足取りで進んでいく。
□井口綾子(いのくち・あやこ)1997年3月24日、神奈川県出身。青山学院大在学中の2015年に「FRESH CAMPUS CONTEST(フレキャン)」で準グランプリを受賞し、17年に「ミス青山コンテスト2017」で準ミス青山に選ばれる。大学在学中からファッション誌『Ray』の専属モデルを務め、18年に『週刊プレイボーイ』の表紙でグラビアデビューした。その後、グラビアアイドルとしての活動を中心に、数々のバラエティー番組やラジオ番組に出演。現在は父が経営する美容室チェーン「EXCEL美容室」に従事するほか、ニッポン放送『井口綾子 will run』(木曜午後9時)、ABCテレビ『まるどりぃ~ココだけの話~』(深夜1時)に出演中。
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