「人生一度きり」品川ヒロシと名匠・大林宣彦監督の共通点 細田善彦が語る“一発勝負”の演出術

なにわ男子・西畑大吾が主演するMBS・TBS系連続ドラマ『マトリと狂犬』(MBS:火曜深夜0時59分、TBS:同1時28分)でメインキャストを務める俳優の細田善彦。本作のメガホンを取ったのは、お笑い芸人で映画監督の品川ヒロシ。その演出スタイルには、かつて出演した大林宣彦監督と同じ匂いを感じ取ったという。2人の意外な共通点とは……。

『マトリと狂犬』に出演する細田善彦【写真:増田美咲】
『マトリと狂犬』に出演する細田善彦【写真:増田美咲】

ドラマ『マトリと狂犬』に出演

 なにわ男子・西畑大吾が主演するMBS・TBS系連続ドラマ『マトリと狂犬』(MBS:火曜深夜0時59分、TBS:同1時28分)でメインキャストを務める俳優の細田善彦。本作のメガホンを取ったのは、お笑い芸人で映画監督の品川ヒロシ。その演出スタイルには、かつて出演した大林宣彦監督と同じ匂いを感じ取ったという。2人の意外な共通点とは……。(取材・文=平辻哲也)

 細田といえば、巨匠・大林宣彦監督の遺作『海辺の映画館-キネマの玉手箱』(2020年)で主要キャストを務めるなど、そのイズムを継承する俳優の一人。かつて細田は、大林監督との仕事を「初めての経験だらけだった」と振り返り、現場を「映画の学校」と表現していた。そんな細田にとって、品川監督の現場には「大林組」と共鳴する驚くべき共通点があったという。

「大林監督との共通点は、大きく分けて2つあります」と細田は分析する。

「一つは、品川監督は現場終わりに『今日ありがとうね』とスタッフやキャスト一人一人に声をかけてくださる。『お疲れさま』ではなく『ありがとう』。その言葉のチョイスが大林さんと同じで、大林組の温かな空気を思い出しました」

 かつて大林監督は、病と闘いながらも撮影現場に入ると誰よりも元気になり、人を楽しませるためにギャグを言い、知識を授け、常に周りに語りかけていた。品川監督の振る舞いにも、そんな「人を楽しませることが大好き」な巨匠と同じ、現場への深い愛が流れているようだ。

 さらに細田を驚かせたのは、演出のスピード感と潔さだった。

「品川監督の現場は、リハーサルをしたらテストを挟まず、カメラを置いて即本番。この『一発勝負』のスタイルは大林監督と全く同じなんです。大林監督は気合が入ると『人生一度きり、用意スタート!』と仰っていましたが、その『後がない』という緊張感が、芝居に得も言われぬテンションを乗せてくれる。品川監督はライブという生モノの現場を数多く経験されているからこそ、人を鼓舞し、その瞬間の爆発力を引き出すことに長けている。そのテンポの良さが、作品のキレに直結しているんだと感じました」

 大林監督の現場では、台本の何倍もの声を吹き込むアフレコを10日間もかけたり、昼に撮ったシーンが編集で夜に変わっていたりと、俳優の想像を超える「進化」が常に起きていた。細田はそこで、芝居を超えた「生きるとは何か」を学んだと語る。

 芝居という枠を超え、現場で“生きること”を追求し続けてきた細田。巨匠との日々で研ぎ澄まされたその感性は、品川監督という新たな才能と共鳴し、観る者の魂を揺さぶる一発勝負の芝居へと昇華されている。その瞳に宿る狂気は、まさに彼が現場という学校で学び取った、表現者としての誠実さそのものだ。

□細田善彦(ほそだ・よしひこ)1988年3月4日生まれ、東京都出身。NHKドラマ『きみの知らないところで世界は動く』(2005年)で主演に抜てき。TBS系『逃げるは恥だか役に立つ』(16年)、日本テレビ系『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(19年)、NHK大河ドラマ『青天を衝け』(21年)など数多くのドラマに出演。映画では『終の信託』(12年)、『羊の木』(18年)などに出演。19年には『ピア~まちをつなぐもの~』『武蔵-むさし-』に主演。近作には『海辺の映画館-キネマの玉手箱』(20年)、『人でなしの恋』(22年)、『カタオモイ』(23年)、TBS系連続ドラマ『フェルマーの料理』(23年)、読売テレビ・日本テレビ系『約束~16年目の真実』(24年)、TBS系『アンチヒーロー』(24年)、カンテレ・フジテレビ系『地獄は善意で出来ている』(2025年)など。

ヘアメイク:平林純子(2°F)

□作品情報
ドラマイズム『マトリと狂犬』
放送:MBS/TBSほかにて放送中(全9話)
配信:TVer、NetflixにてTBS放送後に配信スタート
原作:田島隆・マサシ『マトリと狂犬 ~路地裏の男達~』(秋田書店「ヤングチャンピオン」連載)
監督:品川ヒロシほか

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