芦田愛菜が挑んだ“至高の片想い” 脚本のト書きから読み解いた落差ある「ツンデレ」

俳優の芦田愛菜が、3月26日、27日にNHK総合で2夜連続で放送となる『片想い』(午後10時)で主演を務める。片想いラブストーリーのヒロインを演じた胸中、初共演を果たした俳優・岡山天音の印象などを聞いた。

片想いするヒロインを演じる芦田愛菜【写真:ENCOUNT編集部】
片想いするヒロインを演じる芦田愛菜【写真:ENCOUNT編集部】

『片想い』は「ドラマ史上最もピュアな純愛」

 俳優の芦田愛菜が、3月26日、27日にNHK総合で2夜連続で放送となる『片想い』(午後10時)で主演を務める。片想いラブストーリーのヒロインを演じた胸中、初共演を果たした俳優・岡山天音の印象などを聞いた。

 本作は、“片想い”の喜びと幸せを描く、究極の“片想い”ラブストーリー。片想いするヒロイン・菅原優衣役を芦田、片想いの相手・菅原健二役を岡山が演じ、脚本はNHKの連続テレビ小説『ひよっこ』、フジテレビ系連続ドラマ『姉ちゃんの恋人』の岡田惠和氏が務める。

 制作統括の黒沢淳氏は、「岡田さんと『ドラマ史上最もピュアな純愛をやろう』という話をしました。それはやはり片思いだろうと。(片想いは)遠慮なくずっと思い続けていられる。それこそ至高の純愛ではないか。そして、日本中で一番輝いていて、お芝居もすてきな芦田愛菜さんにやってほしいという話をしました。その相手は、とても深いお芝居をする岡山天音さん。この2人で純愛をやりたい、片想いをやりたいと話が挙がりました」とキャスティングの経緯を明かす。

 芦田が演じる優衣は、盛岡市内で母親と2人暮らし。短大を出て地元の会社で働き始めたが、慣れない仕事を抱えすぎてしまい、職場を逃げるように向かった先が、東京のデザイン会社で働く、ずっと片想いの相手である“ケンケン”こと健二(岡山)だった。

 芦田は、「脚本を読ませていただいた時から、岡田さんの描かれる優衣がすごくかわいくて愛おしくて。登場人物たちもすごく温かくて、その世界にずっと浸っていたいような優しいドラマになるんだろうなと、早く演じたい気持ちでウズウズしていました」と語る。

 健二の家で一晩を過ごし、心が回復した優衣は正式に会社を辞め、健二の実家の豆腐屋でバイトとして働くことに。そして、ある日突然、健二が東京の会社を辞めて、盛岡の実家の豆腐屋に戻り、一緒の職場で働くことになる。芦田は健二を演じる岡山とは今回が初共演だが、演出の津田温子氏によれば、2人は撮影の合間もずっと会話をし、「本当に幼なじみのような感じがした」という。

 芦田は岡山の印象について、「最初はお豆腐屋さんでのシーンでした。幼なじみ役ということで、距離感を測るためにもコミュニケーションを取りたいなと思っていたんですけど、どんな風に話しかけたらいいだろうと考えていたら、岡山さんの方から話しかけてきてくださって、それがすごくうれしかったというか、安心した記憶があります」と明かす。

「撮影が始まって2日目くらいに、お好み焼き屋さんでの長い回想シーンがあって、その距離感を上手く表現できるか不安でした。岡山さんとそこで初めてしっかりお芝居をさせていただいて、ど直球にボールを投げてくださる感じというか、家でも現場でも自分だけでは考えていても出てこないようなせりふの言い回しだったりお芝居が出てきて。ずっとパワーをいただくような、本当にすてきな役者さんだなと思いました。ストンと腑に落ちていく感じがすごく気持ち良くて、一緒にお芝居をさせていただいていて本当に楽しかったです」

初共演となった芦田(右)と岡山天音【写真:(C)NHK】
初共演となった芦田(右)と岡山天音【写真:(C)NHK】

脚本・岡田惠和氏のト書きに感銘

 芦田演じる優衣は、想いを寄せる健二と朝早くから豆腐を一緒に仕込み、配達に出かけ、「これって、長男の嫁みたい」と幸せな日々を送る。けれど、「ずっとずっと好きだった」ことは、言ったとたんにこの関係が終わってしまうから、と言えずじまいだった。

 制作統括の黒沢氏は、「芦田さんのツンデレ(の演技)が本当にかわいい」と見どころを紹介。「(健二に対して)めちゃくちゃデレデレなんですけど、本人を目の前にするとすましている」。芦田の演技の「振り幅」を称賛した。優衣を演じる上では、何を大切にしたのか。

「優衣の中に流れている時間はすごく穏やかで、その瞬間その瞬間をすごく大事にしている子です。その瞬間の言葉を丁寧に真っ直ぐ受け止めて、それに対して真っ直ぐ返答できるような、彼女のピュアさとして表現できるのかなと感じたので、裏の気持ちがあるとかは全く考えず、その瞬間瞬間を楽しんで生きられているような、幸せオーラを出せたらいいなと思いました。だから、全部のことに対して、純粋に、一個一個ちゃんと向き合うという感じでお芝居をしていました」

 役を演じる上では、脚本・岡田氏のト書きにも感銘を受けたという。

「すごく温かくて、優しい平和な世界観の雰囲気がすごく好きだなと思いましたし、台本にはせりふじゃないト書きみたいなのが結構ありました。優衣は思っていることが顔に出てしまう女性なんですが、岡田さんの優衣への思いが詰まったト書きを読んだ時に、優衣ってなんてかわいい子なんだろう、すごく魅力的なキャラクターだなと感じました。岡田さんの脚本を読んだ時の私の気持ちをどうにか見ている方にもお伝えしたいという気持ちで演じさせていただきました。そんな生き生きとしたキャラクター像が、この作品の魅力の一つなのかなと思います」

 演出の津田氏も、「せりふではない部分で(岡田さんが)たくさん思いを書いてくださっていた。優衣ちゃんはすごく真っすぐでかわいいキャラクターですが、だからこそどう演じたらいいんだろうと難しい部分もありました。芦田さんが演じてくださったから優衣ちゃんというキャラクターが出来上がり、岡田さんは言葉じゃない部分をいかに身体で表現するかをイメージされて書かれているんだな、おもしろいなと思って撮影していました」と振り返る。

岡田惠和氏のト書きが「魅力的」で感銘を受けたという【写真:ENCOUNT編集部】
岡田惠和氏のト書きが「魅力的」で感銘を受けたという【写真:ENCOUNT編集部】

優衣は「本当に楽しくて幸せな役」

 岡田氏のト書きが「魅力的」であるがゆえ、「上手く演じられるのか不安もありました」と芦田は明かす。

「でも、真っ直ぐに気持ちを表現するのはすごく楽しかったし、私自身も優衣を通して幸せな気持ちになりました。ト書きがしっかりしてるからこそ、役作りもスッと入っていけた気がします。優衣のツンデレの部分は演じていて楽しい部分であり、同時に難しさもあって、“落差”がすごく激しいので、どういう風に気持ちを持って行って、どこで落ち込んで、また少し明るくして、と考えました。それが優衣の魅力だし、本当に楽しくて幸せな役でした」

 全身全霊で恋するヒロインの優衣を表現する芦田の演技から目が離せない。

□芦田愛菜(あしだ・まな)2004年6月23日、兵庫県出身。ドラマ『Mother』(日本テレビ系/10年)で圧倒的演技が評価され、注目を集める。その後も『マルモのおきて』(フジ系/11年)など多数の話題作に出演。近年は『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日テレ/23年)で117回ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演女優賞、映画『はたらく細胞』(24年)では第48回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞している。

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