アイドルが「天職だった」 STU48石田千穂、卒業決断の“やり切った瞬間”と人生第2章への思い
瀬戸内を拠点に活動するアイドルグループ・STU48の1期生である石田千穂が、9年を過ごしたグループからの卒業を発表した。デビューから13thまで全シングルで選抜メンバー入り、センター経験3回、グループ初のソロコンサート開催、グループ初のソロ写真集発売など、結成時から中心メンバーとして活躍してきた彼女が卒業を決断した理由、思い描く次なる人生について聞いた。

卒業を意識した7周年…2年の月日をへて「やりきった」
瀬戸内を拠点に活動するアイドルグループ・STU48の1期生である石田千穂が、9年を過ごしたグループからの卒業を発表した。デビューから13thまで全シングルで選抜メンバー入り、センター経験3回、グループ初のソロコンサート開催、グループ初のソロ写真集発売など、結成時から中心メンバーとして活躍してきた彼女が卒業を決断した理由、思い描く次なる人生について聞いた。(取材・文=小田智史)
「アイドルが天職だなと思いました」
2017年3月から始まった自身のアイドル人生を振り返るにあたって、石田は素直な思いを口にした。
そんな「天職」を離れ、新たな一歩を踏み出す発表をしたのは今月10日。卒業を考え始めたのは、2年前にさかのぼるという。
「(2024年のSTU48)7周年の時期に、みちゅ(今村美月)ら1期生の同期が立て続けに卒業したタイミングから考え始めました。寂しさもありましたが、みんな(アイドルを)やり切った感じ、ワクワクした感じで次の将来に向かって卒業していっているのが印象的で、自分もそういうタイミングが来たら卒業だなと思っていました」
石田自身が「やり切った」と思うまでには、そこから2年の時間を要する。昨年8月、4期研究生が加入するなど、STU48も次世代を担っていくメンバーたちが増えたことも決断した理由の一つだった。
「卒業をふんわり考えてはいたんですが、ライブが好きだし、握手会とかファンの方と接するのが好きだから、無くなったら寂しいと思ってなかなか決断できませんでした。でも、ソロライブの『#ちほコン』で自分のやりたかったアイドル像のままのライブをできてアイドルをやり切ったなと思えました。そして、自分も(グループの中で)お姉さんになって、キラキラした後輩たちを見て、バトンタッチのような気持ちも芽生えて、将来を考えるタイミングだなと思いました。(ドラフト3期生の)中村舞ちゃん、(3期生の)曽川咲葵ちゃん、(2期生の)高雄さやかちゃんは、センターになってすぐと、そのシングル期間が終わるころを比べたらものすごく成長していて、人は経験することによってこんなに変わるんだと感じました。もっといろんな子がセンターを経験して、自信をつけてキラキラが増したら、STU48はさらにグループとして強くなるはずです」

アイドル人生の思い出No.1は『レコ大』新人賞受賞
AKB48の中心メンバーだった板野友美に憧れて、アイドルを目指した石田。今でこそ、王道アイドルとして先頭に立つグループの顔の1人だが、STU48初のオリジナル楽曲『瀬戸内の声』は選抜メンバーではなかった。「当時は悔しさもありました」。アイドル人生のスタートで突き付けられた現実が彼女を強くした。
「『瀬戸内の声』は選抜ではなくて、選抜メンバーが東京で歌番組に生出演してる時に、選抜ではないメンバーで広島のレッスン場でその動画を見ていて、悔しくて涙しました。でも振り返ると、そこでその感情を知れて本当に良かったです。より頑張ることができました」
STU48に加入した時は15歳。「一番女の子として変わる時期、高校1年生になるタイミングで入ったので、社会での礼儀を含めて、全てがSTU48で学んだことです」と石田は語る。9年間で自分自身も大きく変わったという。
「当時は、本当にそのへんにいる15歳(笑)。まだ全然垢抜けていなかったし、性格も『爪痕を残すぞ!』みたいなグイグイ系タイプではなかったです。その中で見つけてくださったファンの方、当時から応援してくださっている方には、感謝しかありません。私自身も変わったと思います。悩みやすい性格でネガティブなところもありましたが、いろんな経験をへて、楽観的になって、いい意味で“ゆるく”生きられるようになりました」
1st~13thまで全シングルで選抜メンバー入り、センター経験3回、グループ初のソロコンサート開催、グループ初のソロ写真集発売と、アイドル活動にとどまらず、舞台、モデルなど様々な形でSTU48をけん引してきた彼女がトップ3に挙げる思い出とは――。
「(2018年に)『暗闇』でAKB48グループ初の『日本レコード大賞』新人賞をいただけたことは、ずっと年末に家族で見ていた番組だったので、最初の親孝行だなと思いました。あと(2021年の6thシングル)『独り言で語るくらいなら』で初めてセンターを務めさせていただいた時も何年もファンの方と一緒に目指してきた立ち位置だったので、念願かなってすごくうれしかったです。個人で言うと、(2022年11月にYouTubeチャンネルの)『THE FIRST TAKE』で『花は誰のもの?』をソロで歌わせていただいて、最近までXの固定ポストにしていたのもあって、いまだに初めて会う方・共演する方に触れていただく機会が多くて、大きなコンテンツに出ることができたんだなと実感します」

卒業後は芝居やモデル挑戦に意欲
5月31日にKanadevia Hallで卒業コンサートを開催する石田。卒業したあと、残る1期生は甲斐心愛(3月1日より復帰)、谷口茉妃菜、兵頭葵、福田朱里の4人となる。甲斐からは発表を止められていたという。
「心愛が(KLP48から)帰ってきたと思ったら(私が)減っちゃうので、もどかしい気持ちではあります。心愛にはSTU48に帰ってくると分かる前から卒業の話をしていて、『そうなんじゃ』みたいな感じだったんですが、戻ってくると正式に決まってからは、『発表せんといて』と心愛にずっと止められていました(笑)。ふくちゃん(副キャプテンの福田朱里)には発表まで言っていなくて、きっとびっくりしたと思います。でも、今残っている1期生はみんな、いい意味でのんびり系の人たちだから、そのまま頑張ってほしいです」
“エース”と言える存在だった石田の目に、今のSTU48はどのように映っているのか。
「素直で元気な子が多くて、昨年8月に入ってきた4期研究生ちゃんもすごくかわいいです。私たち1期生は最初“お芋ちゃん”って感じだったから(笑)、今どきの子はめちゃくちゃすごいなって。でも、これから人にいっぱい見られるお仕事だから、ますますかわいくなっていくんだろうなと感じました。今回のシングルでセンターを務める(中村)舞ちゃんには、『先に卒業してごめん』という気持ちですが、彼女もすごく強い女性になっていて、STU48を引っ張っていってくれる心強いメンバーなので、STU48には明るい未来が待っていると思います」
2020年1月、STU48で初のソロコンサートを開催した際、石田はファンに向けた手紙で「私を応援していて良かったと思ってもらえるように、最強のアイドルを目指して頑張ります」と誓った。もっとも、アイドルを9年も続けるとは、この世界に飛び込んだ当初は思っていなかったと明かす。
「一つのことを続けられるタイプではなかったんですが、やっていくうちに自分はこんな全力になって、悔しいとかうれしいとか思えるんだと、全力な自分にびっくりしました。アイドルが天職だなと思うようになりました(笑)。私を近くで見てくださっていたファンの方からしたら、王道アイドルではなかっただろうなと思います。握手会とかで思ったこと全部伝えていたので。でも、飾らずにありのままの自分でずっといられたので、理想としていたアイドル像のままになれたし、それが自分の強みだと思います。AKB48グループに入れて、1期生としてグループの立ち上げから携われて、すごく幸せだなと思いました。本当に48グループで良かったです」
これまでもSTU48の活動と並行して、舞台など別ジャンルにも挑戦してきた石田。グループを卒業した自分の未来をどのように思い描いているのか。
「お芝居も興味があって挑戦したいですし、雑誌の撮影のお仕事が毎回すごい楽しくて、やっぱり自分でメイクやお洋服を選ぶのとプロの方にしていただくのでは全然雰囲気が違う自分になれて、ワクワクするのでやりたいです。いろんなことにチャレンジしてみたいので、アイドルじゃない肩書きで言うなら“フレンドリータレント”を目指します(笑)」
数か月後の“アイドルじゃない自分”は、「今はまだ想像できない」と笑う。それでも不安な気持ちはないという。
「これだけ充実した楽しいアイドル人生を送れたのは、本当にファンの方のおかげです。ただ、『アイドル』という肩書きがなくなること自体は、逆にワクワクします。今まではアイドルというだけで『こういう感じ』といった印象があったと思うので、それが1人の人間としての初対面から始まるんだと思ったらすごく新鮮な気持ちです。良いお知らせができるようにお仕事を頑張るので、これからも見守っていてくださったらうれしいです!」
次のステージでどんな一面を見せてくれるのか、楽しみは尽きない。
□石田千穂(いしだ・ちほ)2002年3月17日、広島県出身。STU48 1期生。おっとりした性格ながら、ひとたびステージに立てばキレのあるパフォーマンスと優しく包み込むような笑顔でファンを虜にする王道アイドル。2017年のデビューから今年3月発売予定の13thシングル『好きすぎて泣く』まで全ての選抜メンバーを務め、シングルでのセンターも3度経験。グループ在籍時からソロ歌唱や舞台での俳優業など幅広く活動しており、卒業後はさらなる活躍が期待される。
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