「泣いたらキモすぎる(笑)」藤原さくら、10周年で初武道館 苦悩乗り越え…盟友たちと奏でた20曲【ライブレポート】
シンガー・ソングライターの藤原さくらが24日、東京・日本武道館で『藤原さくら 10 th Anniversary 武道館大音楽会』を開催した。2015年3月のメジャーデビューから10周年。この節目を記念して初めて聖地・武道館でワンマンライブを展開。今回は18日に発売されたばかりの最新アルバム『uku』、24年発売の5枚目アルバム『wood mood』の他、デビュー時の楽曲など、20曲を生バンドの演奏とともに届けた。

シンガー・ソングライターの藤原さくらが24日、東京・日本武道館で『藤原さくら 10 th Anniversary 武道館大音楽会』を開催した。2015年3月のメジャーデビューから10周年。この節目を記念して初めて聖地・武道館でワンマンライブを展開。今回は18日に発売されたばかりの最新アルバム『uku』、24年発売の5枚目アルバム『wood mood』の他、デビュー時の楽曲など、20曲を生バンドの演奏とともに届けた。(取材・文=コティマム)
定刻になると、青色の光に包まれたステージに波の音が響く中、8人のバンドメンバーが登場した。その後、シンプルなデニム姿の藤原が現れ、メロウでゆったりとした曲調の『My summer』を歌唱。その後『Angel』、ノリの良いアップテンポな『Dance』を歌い上げると、「皆さん、こんばんは! 藤原さくらです。元気ですか?」と呼びかけた。
手にウクレレを持つと、『OK』を演奏し始めると、会場からはクラップが起こった。冒頭から4曲はすべて英語詞。ノラ・ジョーンズや英国人ソウルシンガーのコリーヌ・ベイリー・レイ、米国人シンガー・ソングライターのキャロル・キングらを思わせるブルージーでハスキーなアルトボイスで観客を魅了した。そして、あらためて「皆さん、元気でしたかー!」と呼びかけ、満面の笑みで続けた。
「10周年イヤーの総決算デーだと思っております。久しぶりの曲もいろいろやりたいと思ってます。楽しんでいってください!」
福岡市出身の藤原は、10歳の頃にクラシック・ギターを父から教わった。父の影響でポール・マッカートニーのファンになり、ビートルズやトッド・ラングレン、XTCなど多様な楽曲を聴いて育った。学生の頃通っていたボーカルスクール主催のオーディションを経て現在の事務所と契約。その後、15年3月にメジャーデビュー。16年には、福山雅治主演のフジテレビ系ドラマ『ラヴソング』で“佐野さくら”役として俳優デビューも果たし、福山が作詞・作曲・プロデュースを手がけたドラマ主題歌『Soup』もリリースした。
低音のスモーキーボイスが特徴で、ジャズシンガーのノラ・ジョーンズに影響を受けたという。アコースティック・ギターやウクレレなども自ら演奏し、オリジナルの楽曲制作も手掛けてきた。カントリーやブルース、ジャズ、フォーク、ワールドミュージックなど多様な音楽を取り込み、英語詞の楽曲も多い。
そんな藤原は、5曲目に『生活』、6曲目でイントロにコントラバスを使用した『Give me a break』を日本語で披露した。その後、ギターを手に持ち再び英語詞の『Cigarette butts』を歌唱。MCでは「せっかくそこにステージがあるんで、そっちで歌ってもいいでしょうか」と、ランウェイの先に設営された中央ステージへ移動すると、間近にいるアリーナ席のファンを見渡し、「めっちゃ近い。いいですね」と喜んだ。続けて「武道館は本当にいろんなアーティストを見に来た場所です。ポール・マッカートニーも、私は向こうの『見切れ席』っていう席で見ましたね」とその方面を指さしながら、思い出を口にした。
そして、「私が大好きなアーティストが歌ってきた場所なので、パワーを吸い取りたい。ここに置き去りにされたポール・マッカートニーのパワーを私が吸収する!」と宣言。客席から「パワー送るよ~!」の声が上がると、藤原は「誰かがパワーを送ってくれている! ありがとう。確かに(パワーが)来たよ!」と感謝した。
ファンからのエールを受け取った藤原は、ドラマ『ラヴソング』で佐野さくらとして歌っていた『500マイル』を弾き語ると、中央ステージにバンドメンバーでドラマーの石若駿を呼び込んだ。
「石若さんとは、ちょうど2年前に『wood mood』というアルバムを一緒に作りまして。その時にちょうど私の姪っ子が生まれて、石若さんもお子さんが『wood mood』ツアー中に生まれて」
さらに「新しい命が生まれるって本当にすさまじいことだと、涙が止まらない日々を過ごしたんです。ここにいる人たちって、みんな赤ちゃんだったってことですよね。命ってすごい。一人ひとりが『sunshine』だよね」と伝え、ギターを手に『wood mood』の収録曲『sunshine』を披露した。
メインステージに戻りバンドメンバーを紹介した藤原は、「10年間、いろいろやってきた中で、『来たるべきタイミング』で大事な仲間がどんどん増えていっているような感じがある」と語り、2曲目に歌った『Angel』について説明した。
「これは、『みんなが私を導いてくれるAngelみたいだな』と思って書いた曲です。リハーサルで歌って、『あっ、(バンドメンバーは)私のエンジェルたちだ』と思ったら、すごく泣きそうになったんですけど、泣いたらキモすぎると思って(笑)、頑張ってグッと耐えた。そのくらい大好きなバンドメンバーです」

“精神的薄着”で立ちたかった「聖地」
その上で、この日に至るまでの苦悩も告白した。
「私がこの武道館に立つにあたってずっと言ってきたのが、『“精神的薄着”な自分になって、みんなの前に立ちたい』ということ。デビュー10周年イヤーが始まった頃、武道館が解禁になったあたりからずっと言っていたことで。私も『いいものを見せないと』って思いや緊張があって、それは向上心としてはいいことだし、プロとしても絶対必要な感情だと思うけど、そればっかりになって頭でっかちに考えすぎていた時期がすごく長かったんです」
そんな日々を乗り越えたことも明かした。
「けど、今はとってもとっても晴れやかな気持ちでみんなの前に立てていることが、すごくすごくうれしいです」
その後は、浮遊感ただようオルタナティブ風な『my dear boy』や、福山プロデュースの『Soup』、ノリノリな曲調の『かわいい』などを歌い上げた。アンコールのMCでは、姪っ子が会場にいることを明かし、会場の一角を指さすと「いる? あ、そこにいたんだ。ありがとうね。かわいい! 会いたい!」とラブコール。微笑ましい一面をのぞかせた。
振り返ると、上京から12年。当時のことを「大学にも行っていないから全く友達がいなくて。1人で『暇すぎる』と思って、『暇』って曲を作ったりしていたんです」と思い返し、「それがメジャーデビューしてから10年。こんなにいろんな人に来てもらえて、仲間がたくさん増えて。本当にすごくいい10年でした」と実感を込めた。そして、「積み重ねてきたものが、どれもこれもすごく大切なもの過ぎて、そういう気持ちで今日を迎えられてとってもうれしいです」と感謝した。
そして、ラストに『mother』と『I Wish I Knew How It Would Feel To Be Free』を披露。歌い終えると、バンドメンバー8人と一緒に並び、「ありがとうございました~!」。今の自身を出し切った藤原は、11年目も大切な仲間、ファンとともに歩んでいく。
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