エヴァ「完全新作」、庵野監督の名前なし 30周年“卒業”考えた40代ファン葛藤「抜け出せない」
泣いて笑って、「ありがとう」。感謝の思いがあふれた。『エヴァンゲリオン』シリーズ30周年を祝うフェスイベントが、3連休の21~23日にかけて、神奈川・横浜アリーナで行われた。ファン待望の“エヴァフェス”は、多彩なプログラム満載で、声優陣・制作陣が登壇する貴重なトークも展開され、大きな盛り上がりを見せた。中学生の頃に好きになり、40代を迎えた記者が、いちファンとして体感。エヴァを“浴びまくった”。そろそろ大人にならないとと、エヴァとの向き合い方も一区切りかなと思っていた矢先に、「完全新作シリーズ」の制作発表に驚がく……。心の中が大忙しになっている。

横浜で30周年記念エヴァフェス アスカになりきっているコスプレ参加者が多かった
泣いて笑って、「ありがとう」。感謝の思いがあふれた。『エヴァンゲリオン』シリーズ30周年を祝うフェスイベントが、3連休の21~23日にかけて、神奈川・横浜アリーナで行われた。ファン待望の“エヴァフェス”は、多彩なプログラム満載で、声優陣・制作陣が登壇する貴重なトークも展開され、大きな盛り上がりを見せた。中学生の頃に好きになり、40代を迎えた記者が、いちファンとして体感。エヴァを“浴びまくった”。そろそろ大人にならないとと、エヴァとの向き合い方も一区切りかなと思っていた矢先に、「完全新作シリーズ」の制作発表に驚がく……。心の中が大忙しになっている。(文=吉原知也)
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1995年に放送が始まった『新世紀エヴァンゲリオン』テレビシリーズがすべての始まり。多感な青春時代に見てしまった。当時友達の間でプチブームになり、主要キャラの綾波レイと惣流・アスカ・ラングレーを巡って“人気対決”をしたり(筆者はなんだかんだで葛城ミサトさん派である)、考察し合ったり。数年前に実家でVHSタイトルを見つけて懐かしい気持ちになった。劇場版アニメの暗く痛々しい内容は、今でもトラウマになっている。
大学生の頃に、エヴァ再始動の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズが始まった。記者の仕事を選んで社会人になると、ちょっと推し活に熱中してグッズなども買うようになった。相次ぐ苦境、理不尽、ピンチの中で苦悩する登場キャラたち。だいぶクセの強い人物像にも魅了され、自分の人生を投影させるようになった。2021年公開の完結編『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(シン・エヴァ)は何度も映画館に足を運んだ。「庵野(秀明)監督を100億円の男に」と心の底から願った。この頃から個人的に「人生を支えてくれたエヴァへの恩返し」が心のテーマになっている。正直、今もエヴァのストーリーは何が何だかあまりよく分かっていない。その難解さも魅力の一つであると思う。
さて、エヴァフェス『EVANGELION:30+; 30th ANNIVERSARY OF EVANGELION』の開幕だ。3日間のうち、2日間、豪華ステージと展示周遊エリアを堪能した。周遊エリアの目玉の一つであるセントラルタワーの美しく圧倒的な演出、ブラウン管テレビを駆使した上映、セル画・原画の資料展示など、夢中になって見入ってしまった。
やはりお祭りだけに、並々ならぬ思いのファンが勢ぞろい。女性を中心に、コスプレ参戦のファンが目立った。アスカになりきっている人が多く、レイ、ミサトのコスプレも。劇中に出てくるカチューシャのような「インターフェイス」を付けたり、バッグにキャラグッズを付けたりと、さりげないワンポイントのエヴァ好きアピールの数々。個性豊かなファンの姿が印象的だった。
筆者のように“ぼっち参戦”でも、「ここにいる人みんなファンなんだ」と、心地いい雰囲気で楽しめた。そして何より、若い世代の来場者の多さに驚いた。見た感じでは20代が多く、学生の友達同士、家族連れもいた。40代だと「この中ではだいぶ年上かも」と感じたぐらいだ。最新のアニメ・CGの制作技術を取り込み、ブラッシュアップを重ねた新劇場版シリーズは、若者ファンの獲得に成功したと言われている。世代を超えて受け継がれていくエヴァの実相をまざまざと実感。アジア系・欧米系の外国人ファンも結構見かけ、グローバルな人気も見て取れた。

映画館の観客もシンジと一緒に“置き去り”にされた衝撃作
過去の歴史を振り返るポスターギャラリーは、来場者から思わず声が漏れた。「2013年って、あの仕事やってた時だ」「私、この時、中学生だよ」「この展示会、これ昔あいつと行ったんだよね」「これは懐かしい」……。来場したファンは年齢も育った環境も違うが、一人一人がエヴァ作品やエヴァイベントのその当時に特別な思い出を持っている。ちょっとの間だが、人生の記憶がよみがえり、自分が生きてきたことを改めて感じることができる――。そんなとびきりの時間を過ごすことができた。
自分自身は展示全体を通して、12年公開の『:Q』が頭の中に強く入ってきた。物語はいきなり新展開を迎えて、主人公の碇シンジは「訳分かんないですよ!」と混乱に陥る。これまでのエヴァの設定もかなり変わり、映画館の観客もシンジと一緒に“置き去り”にされた。あの強烈な感覚は今でも鮮明に覚えている。仕事も激務に追われていた時期で、荒野を独りで歩かされるような気持ちがシンジとシンクロした。エヴァの中ではこのQが一番好きかもしれない。
ステージエリアは、オーケストラ、落語、歌舞伎などの異色コラボレーションが展開された。さらに、アニメ主題歌『残酷な天使のテーゼ』などで知られる高橋洋子が登場し、力強く、情感のこもった歌声に酔いしれた。「エヴァンゲリオン放送30周年記念特別興行」として制作された新作短編の初披露にも感動した。庵野総監督や声優陣のトークは、まさに笑いと涙。毎回のプログラムで、会場からは、熱く、温かい拍手が何度も何度も送られた。
非常に面白い現象も起きた。2日目の22日、恐らく声優陣のSNS発信がきっかけだったと思うが、碇ゲンドウ役の立木文彦が、グッズのペンライト・人類補完計画を顔に当てて、自身の演じたゲンドウの“顔まね”をやったのだ。これを相田ケンスケ役の岩永哲哉、加持リョウジ役の山寺宏一、長良スミレ役の大原さやからがSNSで紹介。シン・エヴァにおけるゲンドウの姿を思い起こさせる“ゲンドウごっこ”は爆笑を誘い、大バズりとなった。
早速、ペンライトを使って自分の写真をアップするファンも続出。ゲンドウと言えば、冷徹でシリアスで怖いイメージのキャラクターだ。そんなゲンドウをいじって、ファンも笑って盛り上がっちゃう。30年一緒に歩んできた声優陣だからこその“愛のある遊び”であるし、エヴァ全体のファミリー的な盛り上がりが強く印象に残った。
スタッフクレジットに庵野監督の名前はない…深まる謎
23日はさらにめじろ押しで、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が、TBS系列で地上波初放送。エンターテインメント・トレンドに「シンエヴァ」「カヲルくん」「冬月先生」などのエヴァワードが入り、感想・考察などのコメントが熱気を帯びた。
エヴァフェス開催を記念して、横浜の街全体でのコラボキャンペーンも大々的に実施。大観覧車「コスモクロック21」のライトアップ特別演出やフォトスポット展開、エヴァンゲリオンレーシングの車両展示なども行われ、親子連れやファンが写真撮影をする姿も見受けられた。観光スポット横浜をさらに楽しむことができた。
感謝の思いに包まれたエヴァフェス。30年の時を刻み、一つの集大成になったと言えるだろう。筆者は今でもエヴァ世界にどっぷりハマりながらも、「いつまでもエヴァの世界観から卒業できない」というちょっとした葛藤があり、このあたりで心の区切りを考えていた。
そうしたら、エヴァフェスの最終日に衝撃のニュースが。「エヴァンゲリオン完全新作シリーズ制作始動」の発表だ。特報映像はなんとなくエヴァを感じさせる荘厳でダークな雰囲気に見て取れるが、すべては謎。現状公表されているスタッフクレジットに庵野監督の名前はない。庵野監督はエヴァから“卒業”になるのか。大きな枠組みで、将来的にさまざまなクリエーターたちが新しいエヴァを創造していく。そんな未来も想像できる。しっかり見届けないと――。片足だけでも出ようとしたエヴァの沼。全然抜け出せそうにない。
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